北京
PM2.577
23/19
新型コロナウイルス感染症の大流行で経済の構図が大きく変わり、外出自粛が続く中でも利用できるサービスへの需要が高まっている。中国では、昨年から人気を集め始めていたライブコマース(直播帯貨=ライブ配信型のネット通販)が、ここに来て急激な盛り上がりを見せている。
元々はネット上のKOL(Key Opinion Leader、オピニオンリーダーやインフルエンサーのこと)が中心となっていた分野だが、今年4月以降はCCTVを筆頭とする国営メディアや、全国の企業、ブランドが一斉にライブコマースに参戦。景気刺激はもちろんのこと、地域に特化したスタイルの導入が、武漢市など感染症の流行で大きなダメージを受けた地域や貧困地区への支援に一役買っている。
人気の理由はまず、配信者にとっては低コストで、リピーターが多く望めて、成約率が高いといったメリットがある。非常に魅力的なビジネススタイルだ。一方の消費者にとっても、動画を通して商品の特徴が分かりやすくリアルに伝わり、インタラクティブ性により疑問や問題解決などをライブでやり取りできるといったメリットがあり、特にスマホを使い慣れた若者を中心に絶大な支持を得ている。もちろん、ライブコマースの実現に不可欠なプロバイダーやマルチチャンネルネットワーク(MCN)、ビジネスサービス企業、アプリ業者などにも利益がもたらされ、新技術の開発と多業種の融合発展を促進する効果も見え始めている。
国内のライブコマース市場の規模は2017年に190億元であったのが2019年に4338億元に急成長し、2020年には市場規模9610億元、ユーザー数は5億2400万人になる見込みとなっており、数字の上でもそのポテンシャルが裏付けられている。新型コロナウイルスの脅威が去った後でも、現在急ピッチで進められている市場と経済の復興のために、ライブコマースが益々重要な役割を果たすことが期待される。(CRI日本語部論説員)