北京
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23/19
ご案内:王小燕&斉鵬
4月20日 北京オリンピック公園の様子(撮影:王冬)
北京では週明けから突然気温が下がり、先週は最高気温26度の日もありましたが、火曜日の今日は最高気温が14度で、最低気温が4度しかありません。内蒙古など北方中国の一部地方では、大雪が降り、気温の下げ幅が20度に達した所もあります。
日本では、「緊急事態宣言」が全国で発出された中、不便を強いられている皆様に心からお見舞い申し上げます。不要不急の外出を控え、無事乗り越えることを北京から祈っております。
今日の番組は前半は「新型コロナウイルスとの戦い」です。湖北省武漢市の最新の様子、世界で感染拡大が止まらない中、国際協力の重要性を訴えてWHOの支援に動き出した中国の民間の動き、上海の感染対策の第一線で活躍している張文宏医師が最近メディアに対して明らかにしたことなどを紹介します。
後半の「新型コロナウイルスとの戦いでつながれた中日の絆」では、中国の診療経験を総括した最新資料を日本の病院や研究所などに届けたく、ボランティアチームを立ち上げて翻訳活動に取り組んでいる若者二人に話を伺います。
<新型コロナウイルスとの戦い>
感染者遺族、武漢市の統計データの訂正を評価
武漢市新型肺炎感染対策本部が17日、綿密な調査、確認、突き合わせ作業を経て、武漢市の新型肺炎感染者数、死亡者数の訂正に関する発表を行いました。最新の発表によりますと、武漢市では4月16日までに、新型コロナウイルスによる肺炎の感染者は新たに325人が確認され、全体では5万333人に、死亡者数は新たに1290人が確認され、3869人となりました。
この発表を受け、市民は「感染者数や死亡者数の訂正は、事実を尊重した正しい行動だ」と評価しています。
湖北省、学校再開の時期を発表
湖北省政府は18日、新型コロナウイルスによる感染が緩和しつつあることを受け、武漢市のリスク評価を低レベルに引き下げました。これを背景に、20日に湖北省は学校再開の日程を発表しました。湖北省に先立って、中国のその他の省・直轄市・自治区はすでに学校再開の時期を公表しました。湖北省も他の省と同じく、学校での授業再開は高校三年生は5月6日から、中学三年生は各州・市が決めて、省に届け出をしてから発表されます。なお、高三と中三以外の学年は未定です。
また、大学入試の日程は、全国の他の地域と同じく7月7日と8日となっています。
武漢の火神山と雷神山病院 役目を終え閉院
4月15日 雷神山病院(写真:新華社通信)
4月15日 雷神山病院(写真:人民網)
新型コロナウイルスの感染による重症患者を受け入れるため、武漢市に建てられた仮設病院の火神山病院と雷神山病院が15日、役目を終えて運用を停止しました。
中でも、火神山病院は73日間運用し、患者3059人を受け入れ、その中の2961人が回復して退院しました。対して、雷神山病院は68日間運用し、受入れた患者は2011人で、その中の1900人が回復し退院しました。なお、火神山病院も雷神山病院も現在は消毒作業を終え、万が一の状況に備えてそのままの状態で保存しています。
ジャック・マー(馬雲)氏が率いる基金会、WHOに医療物資1億件を寄贈
世界での新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない中、中国の民間では国際協力を率いるWHOの活動を支援する行動が続いています。これまでに、日本を始め、世界150カ国・地域にマスクや防護服などの物資を寄贈してきたジャック・マー公益基金会とアリババ公益基金会が21日、世界保健機関(WHO)に医療物資1億件を寄贈すると発表しました。
中国の企業家で、アリババグループ創業者のジャック・マー氏が公式ウェイボーで発表したところによりますと、この二つの基金会はWHOを支援するため、サージカルマスク1億枚、重症患者の治療に不可欠なN95マスクを100万枚 、PCR検査キット100万セットの寄贈を決めました。これらの物資は、WHOが最新の感染状況に基づいて統括的に振り分け、物資が不足しているところに届けることになっています。
ジャック・マー氏は「One World One Fight!」(同じ世界にある同じ戦い)というキャッチフレーズを使って、感染症対応で国際協力の重要性を訴えました。
なお、ジャック・マー公益基金会とアリババ公益基金会によるWHOへの物資寄贈は、今回で2回目になるということです。
ワクチン開発臨床試験第2段階に、ウイルス変異の指摘も
現在、中国では3種類のワクチンが、政府の承認を得て臨床試験に入っています。中でも、中国工程院の院士で、軍事科学院軍事医学研究院の陳薇氏が率いる研究チームが開発を進めているワクチンは、3月末に安全性を確かめる第1段階の試験的投与を終え、安全が確認されました。先日、有効性を確かめる第2段階臨床試験の許可を取得しました。新型コロナウイルスワクチン開発で、第2段階臨床試験を始めたのは世界初となります。
ところが、中国工程院の院士で、国家衛生健康委員会ハイレベル専門家グループのメンバーである李蘭娟氏が率いる研究チームは、19日に発表した論文で、新型コロナウイルスへのゲノム分析を行ったところ、感染症を引き起こす病原性に影響する19種類の新しい突然変異が発見されたことを明らかにしました。李氏は、薬品やワクチン開発はこれらの変異を考慮に入れるべきと指摘しています。
張文宏医師、最新状況をめぐりメディアの取材に応じる
CCTVのインタビューに応じる張文宏医師
上海復旦大学附属華山病院感染科の主任医師で、上海市新型肺炎医療専門家チームの責任者でもある張文宏医師は中国の新型コロナウイルスとの戦いの現状をめぐり、CCTVや上海テレビなどメディアのインタビューに答えました。その主な内容をピックアップして紹介します。
――中国ではいつも通りの生活にいつ戻れそうですか。
今、感染者が完全に消えない限り、いつも通りの生活や生産の再開は無理だという声がありますが、おそらくそれはたわごとだと思います。感染症が長引くのにつれ、人々は勉強や仕事などいつも通りの生活を再開すべきと思います。そうした中で感染対策を継続し、感染症の常態化に慣らしていく必要があります。
――無症状感染者の影響をどう見ていますか。
無症状感染者は、感染者がいることが前提です。検査の実施で無症状感染者を早期に見つけ出すことは重要ですが、過度に心配したり問題視したりする必要はないように思います。上海を例にすると、これまで1カ月にわたり、地元が発生源の新規感染が確認されていません。そこから、上海には無症状感染者がもう感染を起こす存在ではなくなっていると見ても良いのではと思います。
――学校再開についての注意点は?
学校に戻った子どもたちは、授業と授業の合間の休憩時間に、今まで通り集まって遊んだりすることはできます。ただ、近距離で接する場合は、マスクをつけたほうが良いでしょう。
保護者も通勤の際は、職場での感染を避けるために、しっかり防護対策をしておくべきでしょう。社会的距離を保つことにマスクの着用、混雑を避けることですね。
<新型コロナとの戦いでつながれた中日の絆
~医学資料のボランティア翻訳者に聞く>
(左)孟華川さん(右)楊明月さん
中国では1月下旬に新型コロナウイルスの感染による肺炎が武漢でオーバーシュートした後、医療当局は治療活動を展開すると同時に、現場での診察や治療経験をまとめた資料集、「新型コロナウイルス肺炎診療方案」をこれまでに7 回にわたってバージョンアップして公開してきました。
一方、2月以降、日本国内でもじわじわと感染者が増え続けてきた中、未知のウイルスを前に、医療従事者や病院の不安が高まりつつありました。そうしたことを背景に、中国の医療現場で蓄積された経験を日本に届けたく行動を起こした若者がいました。
北京にある中日友好病院で日本交流窓口の担当である孟華川さんと、日本との医療交流サービスを手がける企業経営者の楊明月さんです。
二人は大学院時代の同級生で、同じクラスで学び、同じ寮の部屋で寝泊りしていました。二人はいずれも大学院で日本語を専攻し、卒業後は中日の医学交流でパイプ役の仕事をしています。
二人の呼びかけにより、その後、中国留学歴がある日本人医学生も巻き込んでのボランティアチームが結成され、連携作業で翻訳が始まりました。これまでに「新型コロナウイルス肺炎診療方案(試行第7版)」「新型コロナウイルス感染予防ハンドブック」「新型コロナウイルス肺炎重症・危篤患者看護基準」「医療機関における新型コロナウイルス感染管理ガイドライン」の4種類の翻訳を終え、日本医師会をはじめ、70あまりの大学病院や関連団体、研究所などに提供しています。翻訳活動は現在も続いており、チームメンバーは当初の7人から20人にまで拡大しています。
資料提供に寄せた思いについて、二人にマイクを向けてみました。
<最近届いたお便りの抜粋>
★愛知県清須市・鈴木英夫さん
新型コロナウイルスとの戦い、とても興味深い内容でした。神崎多實子さんのマスクのお話、心が温かくなる内容です。感動しました。今までは日中関係であまり良いニュースはありませんでしたが、新型コロナウイルストいう好ましくないきっかけですが、国レベルでも良い関係に戻って欲しいものです。
★一日本人リスナーより(匿名希望)
コロナ関連の中国情報が知りたくて聴いています。
王小燕さんと斉鵬さんのトークや誠実な感じに好感を感じます。14日の放送では中国の専門家の方の、コロナの最新分析がとても参考になりました。また今後益々、中国の学校や仕事の再開や復興の様子を知りたく思います。これからも火曜日 コロナと中国の状況の話題を期待しています。
★北海道石狩市・上田知晴さん
神崎さんのエッセイは素敵でしたね。そして、国境と時を超えて中日をつなげてくださった神崎さん、中国への感謝と恩返し、それをいつも心の中に秘めていらっしゃるから、その思いは国境も時も超えていくのですね。うらやましいです。
4月14日の放送ではぬくもりと支え合いが必要とのお話もありました。神崎さんは感謝と恩返しをいつも思っていらっしゃるからこそ、ぬくもりと支え合いが自然と生まれるのでしょう。そして、このぬくもりと支え合いこそが人と人、中日の絆の基礎になっていくのだということを今回のコロナが教えてくれたようにも思います。災い転じて福と為す、という言葉があります。
ここまでコロナに苦しめられているのですから、今回のコロナを、コロナとの闘いを、翻って前を向いて考えて、中日の絆を見つめ直し、より深く、素敵なものにしていくための、天からもらった一つのチャンスなんだと考え直すことにしたいと思います。
★東京都大田区・三輪徳尋さん
鐘南山氏は、「大事なのは距離を保つこと、この一言に尽きる。多くの人が集まるような集会に参加せず、会食をしないことだ」と自身の防護に気をつけることも話されていました。自粛によって仕事を休むことによって、収入が無くなってしまう人達が仕事を続けることをせめることは酷なことなのですが、できる防御対策は講じてほしいと思います。
★名古屋・ゲンさん
鐘南山院士の新型コロナウイルス感染の最新状況のお話は、とても集中して聞きました。
直近の新型コロナウイルスの感染は夏に、一通り落ち着くだろう。秋と冬に再発しないかについては、誰も言い切ることはできない。ましてや来年春のこととなると予測不能……だけれども、万が一再発していても、予防、早期診断と隔離を経験してきたので、うろたえるようなことはないだろうと仰っていました。体験を財産にして、ウイルスとの共存に勇気をもって入っていかねばならないのだと覚悟しました。
徐舒さんの「何故日本にマスクを送ったか」というお話は、国境を全く感じさせない寄せては返す海の波動を感じるものでした。
お母さんのお弟子さんへの愛情を娘さんも引き継いで交流されていることは、奇跡に近いものと思います。たまたま「マスク」という接着剤があって、たまたま表面化したのだと思います。自分自身が入院中の病室から海の彼方の人の健康を思いやる徐舒さんの心の清明は、動物や鳥の作品に現れていると思いました。実に美しい写真ですね。
また日本に来て、ぬくもりのある写真を撮ってくださる機会が早く訪れますように。
★高知県四万十市右山五月町・杉村和男さん
新型コロナウイルス感染者が高知県、愛媛県でも増加しています。特に、四万十市の西隣、宿毛市(すくもし)では連日、感染者が出ています。四万十川に架かる橋から宿毛市の山並みが見えるので、「あんな近くで」と、衝撃と不安を感じます。4月20日現在、高知県での患者数は69人に達しています。 4月17日には、愛媛県西予市(せいよし)で初めて、感染者が確認され、4月20日現在の県全体の感染者数は46人です。
感染症の専門家が新型コロナウイルスを含めて、世界的に新しい感染症が増えていると警告していました。その原因の一つとして、人間が自然の営みを乱したことにより、動物と人間との距離が縮まって、動物からウイルスが感染しやすくなっていることが挙げられるそうです。自然は人間だけでなく、植物、動物、いろいろな生き物が共生して成り立っており、自然を見つめ直す機会なのかもしれません。
撮影:杉村和男 撮影日:4月14日
ユキモチソウ(雪餅草)です。名は、花の中心部が「餅」のように見えることによります。深山の肥沃な土壌に見られます。調べてみると、世界的にも高知県、三重県、奈良県の限られた地域だけに分布すると書かれており、貴重な植物のようです。4月14日、自宅から7分ほどの所で撮影しました。深い森の中です。
撮影:杉村和男 撮影日:4月14日
ハハコグサ(母子草)です。「春の七草」の1種で、日本では若芽を食べる慣習があります。田畑の周囲に見られますが、これほどの群生は珍しいと思います。自然の豊かさを感じます。4月14日、四万十市森沢(もりさわ)での撮影です。
撮影:杉村和男 撮影日:4月14日
ウマノアシガタ(馬の脚形)です。名は葉の形に由来するようです。野山に普通に見られます。それでも、これだけ一面に咲くと見事です。4月14日、四万十市森沢(もりさわ)での撮影です。現在は遠出せず、自宅の近くで、花を撮影しています。それでも身近に、これだけ植物の緑や花が有ると、自然の治癒力を感じます。もし、こういう所ばかりだったら、新型コロナは、拡大しなかったのではないかと思います。自然の恩恵の大切さを改めて、感じています。
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