北京
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3月24日、北京国際彫刻公園に咲くコブシの花(撮影:燕)
北京はずいぶん春めいてきました。コブシの花が満開となりました。白もあれば、紫もあります。黄梅(迎春花)がピークを過ぎて散り始め、黄色いレンギョウが見頃です。しだれ柳の芽がみるみる大きくなり、ライラックのつぼみ、ボタンのつぼみもすさまじい勢いで膨らみ続け、つぼみのまま、色づき始めています。
先週、80万枚のマスクを日本に寄贈した中国の民間企業の責任者へのインタビューをホームページで配信したところ、日本各地から感謝、感動のメッセージをたくさんいただきました。その感動を、ラジオをお聴きの皆さんとも分かち合おうと、今日は日本各地の皆さんのメッセージを交え、インタビューの内容を改めてご紹介します。
さて、特別企画「新型コロナウイルスとの戦い」の8回目となる今回の番組は前半、新型肺炎と戦う中国と世界の最新の動きについてです。後半は「CRIインタビュー」、日本企業や団体の元・現任の中国駐在員たちが東京にある「薬の神様」を祭っている新井薬師寺から中国向けに届けてくれたメッセージをご紹介します。
3月23日の北京国際彫刻公園(撮影:燕)
<新型コロナウイルスとの戦い、中国と世界の動き>
中国大陸の感染が終息に向かいつつある
中国共産党中央の新型肺炎対策指導グループは23日の会議で、「武漢を主戦場とする中国大陸部での新型肺炎感染はほぼ抑えられている。でも、感染者の増加が続いており、局地的に感染が再び拡大するリスクも依然として存在しているので、外部に対しては流入を防ぎながら、内部では再度拡大を防止しなければならない。大陸部の省・自治区・直轄市の大多数が、リスクが低いので、正常な生産、生活を妨げる予防・抑制措置を停止すべきだ。また、新型肺炎のため、湖北省に足止めされていた人々が故郷や生活する都市などに戻ることをサポートする必要がある」と求めました。
入国者が持ち込む感染者数が増加続ける
国家衛生健康委員会の発表によると、3月21日までに19の省・自治区・直轄市で海外からの入国者による感染が報告され、そのうち、9つの省で初めて海外からの流入が発生しました。感染元となる国の数は12から22に増加しています。
また、3月11日にWHOが「パンデミック」を発表してから、22日までに、大陸部での入国者の感染の累計は85人から269人に急増し、増加幅は216%で、同じ時期における世界の感染者の増加幅(98%)を大幅に上回っています。
国家衛生健康委員会は、「感染は世界180あまりの国と地域に蔓延しており、海外からの入国者による感染を厳格に抑制する必要がある」と指摘しています。
マスク生産への転身 海外でも相次ぐ
中国では、防護用品の不足を補うため、多くの自動車メーカーも生産ラインを改造、導入して、マスクなどの生産をしています。たとえば、自動車メーカーのBYDがマスク、消毒ジェルの生産をしています。現在の生産能力は、マスクは1日あたり500万枚、消毒ジェルは1日30万瓶となっていますが、これからさらに生産能力を高めて、国内の需要を満たすとともに、感染状況の深刻な国に提供する予定です。
これを学んで、海外でも、業界を跨いで、防護用品や医療設備を生産する企業が出ています。
例えば、イタリアの自動車メーカー・フェラーリとフィアットが、同国の人工呼吸器の製造企業との連携を検討しています。技術者を提供したり、自動車メーカーの設備を使って人工呼吸器を造る計画です。
欧州の航空機メーカー・エアバスは、3Dプリントなどの技術を活かして人工呼吸器などの医療設備を製造しています。
米国の自動車大手GM、フォードも医療設備の生産を検討中ということです。
中国が自主開発のワクチン、第1期臨床試験開始
武漢市でワクチン接種を受けるボランティア(写真:新華社通信)
中国工程院院士で軍事科学院軍事医学研究院の陳薇研究員(55歳)が率いるチームによる組み換えワクチンが、今月16日、1期臨床試験開始の許可を得ました。
3月22日までに4667人がワクチン試験を受けるボランティアに応募しています。身体検査を経て、108人が第1段階の試験に参加し、ワクチンの接種を受けることになっています。22日時点で数十人が接種しています。接種後、指定されたホテルで14日間隔離観察を受け、食事と宿泊は無料です。また、これから半年、接種を受けたボランティアに異常はないか、定期的な確認を行うことで、ワクチンの安全性と効果を確かめます。なお、1期臨床試験で最初に接種を受けたボランティアは陳研究員自身です。
【CRIインタビュー】 新井薬師寺からの桜便り
3月20日、東京・新井薬師寺に集まった北松岡川レジェンドBANDの皆さん(写真提供:大岡夕伽子)
日本では春分の日の休みに、東京の新井薬師寺からCRIのために、わざわざ歌とメッセージによるさくら便りを寄せてくださった方たちがいました。
北京と縁のある元駐在員、あるいは現在も駐在中の4名です。この4名の方は、3年前にCRIで恒例の新年特別番組「紅白歌比べ」のために、「北松岡川レジェンドBAND」を組んで出場しました。とても熱のこもった歌い方で、聴取者から大好評でした。
皆さんは、「今は北京に渡航できないので、コロナワクチン早期開発を願って」、薬の神様である新井薬師から素敵な桜便りを寄せていただきました。
<お便りの抜粋>
★千葉県柏市・高橋雪枝さん
武漢の桜堪能させていただきました。やさしく咲いていますね。お花見の皆さんの楽しそうな様子、平和ですね。桜の足元に咲いている紫色の花は紫金草かしら?
「CRIインタビュー」の記事から、又沢山の四字成語を教えていただきました。お若い経営者の方から、心に残る素晴らしい言葉を引き出してくださっていますね。感動しました。ありがとうございました!
★高知県四万十市・杉村和男さん
中国では新型コロナウイルスの感染が落ち着いてきたようで、良かったですね。四万十市では、連日のコロナウィルス報道に慣れてしまったことと、高知県では3月8日に新たな感染者が出て、計12名になって以降、新たな感染確認の無いことに、巷では「たいしたことないじゃないか」と、一段と楽観傾向にあります。
自粛要請は出されているものの、3月20日から22日にかけての3連休中、県境で誰かが移動をチェックしている訳でもないので、感染者が急増している大阪府や兵庫県から、「なにわナンバー」、「神戸ナンバー」などの車が、四万十川沿い、高知県の海岸沿いを無数に走っています。四万十川の屋形船(やかたぶね)乗り場には、県外からの観光バスが停車していました。
高知市内では2週間中止されていた、野菜、魚類、地元特産物などを売る露店がたくさん並ぶ「日曜市」が22日より再開されています。この調子であれば、延期、中止されていたイベントも次々に再開されていくことでしょう。マスクを付けていない人達も、大勢居ます。高知県を含む四国4県では今、コロナウィルスに対する危機感、緊張感が全く有りません。
更に3月は異動や転勤の季節です。公務員、教職員など、市外、県外へ転出入する異動も普通に行われています。こういった行為は新たな感染経路を作ることにつながり、非常に危険と思います。控えるべきではないでしょうか。馴れと言うのは恐ろしいもので、この油断が感染拡大に繋がるのではないかと大変心配しています。
中国では、このウイルスに対して様々な策を講じ、国民一人一人が生活の中で、どのようなことに注意を払ってきたのかという経験があります。鈍感になっている四国の人達に対し、危機意識を高めるよう、ご指摘、アドバイスいただければ、大変有り難いです。
3月15日、四万十市トンボ自然公園に咲くフジツツジ(撮影:杉村和男)
話題を変えまして、写真(上)は3月15日、四万十市トンボ自然公園で撮影した、フジツツジです。四万十川流域で見られるツツジの仲間では、最も早咲きの品種です。まだ咲き始めです。3月22日現在、桜の開花しているのは、東京、京都、名古屋などで、高知はまだ咲いていません。高知での花の主役は変わらず、ナノハナです。
★小田原・堤千恵子さん
中国のみなさんのスピード感のある対応は素晴らしいです。感謝感謝です。この見えないウイルスは、皮肉なことに日本でのこれまでの働き方や、あらゆるものを海外に頼っていたことや、人の気持ちの浅ましさを露呈しています。中国でのオンライン化による仕事、教育への対応の速さ、ウイルス対策のスピード、徹底さに感心しています。また、日本や諸外国が困難になってきた今、今回のような対応や、「花は咲く」に込められていた気持ちの温かさが心に沁みます。冷静に強い気持ちで頑張ります。
<「友よ、一緒に乗り越えよう」兆泰集団・王全董事長の記事を読んで>(抜粋)
★名古屋市・ゲンさん
ビジネスで活躍をされている方のインタビューとは思えず、何だか、一編の小説を読んだ後のような、深い余韻を感じています。
何度も読み返し、読むほどに王全董事長さんの謙虚さに心打たれます。一番心に残った言葉は、「弊社が初めて海外向け寄贈を行う相手は、日本以外には考えられません」でした。どれだけ日本との交流に「時」を費やされ「心」を耕してこられたことかと、しみじみとした想いに満たされました。
「礼尚往来」「山川異域、風月同天」「投桃報李」という熟語が泉のように湧き出てくるインタビューでしたね。それこそ中国と日本の悠久のお付き合い、歴史の井戸から汲みだされたものだと思います。なかなか実行できることではない、今・今・今の日本の必需品の贈呈に対し、メーカーさんも「日本への寄贈用」として快く応じて念入りに品質保障をしてくださったとのこと。適時適所に確実に寄贈してくださったことに、心より感謝致します。ありがとうございました。
北海道はやっと非常事態宣言が解かれました。まだまだ油断できませんので、こんな時の貴重な贈り物は後々の人々にも、心を繋いで友情を紡いでいくと思います。まさに「相知在急難 独好亦何益」ですね。李白さんは生きておられる!!
助け合い、経験と教訓をくみ取り、公衆衛生と健康の分野での協力を強化することで、せめて人類のより良い社会づくりにつながってくれるようにという発想に心から賛同します。
★東京都・三輪徳尋さん
中国からの公民を問わない様々な寄贈をいただいていることに心からの御礼を申し上げたいと思います。送られた真心のこもった物資が必要な施設に届くことを願っています。一般の薬局では未だにマスクなどは品切れが続いており、高齢者施設や保育園などでは、病院などと異なり、入手が難しくなり、とても困っているとの報もあり、そうした施設に支援物資が届くことになれば、蔓延防止に大きな力となるものと思います。
新型肺炎の流行という不幸な出来事がきっかけで、お互いのことを思いやる気持ちをはっきりと示すことができて、心のこもった贈り物もできて、中日間の絆がより強まったように思えています。決して喜ぶことではないとはわかっていても、なんだかあたたかな気持ちになっています。
「ありがとうございます。」
日本をはじめとして、対応が緩いと指摘されている国にも、すでに、新型肺炎に対抗する時間の猶予を中国の皆さまの活躍で与えられ、加えて、「再発」することや「常夏のエリアでも発症」などまだまだ解明できていないことも多くあるものの、武漢での大きな犠牲によって、得られた貴重な情報が詰まった新型肺炎対策の貴重な教科書が提供されています。
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