北京
PM2.577
23/19
担当:王小燕、斉鵬
伊良湖岬菜の花(撮影:片山啓)
二十四節気の雨水(2月19日)も過ぎれば、北京では寒さがずいぶん和らぎ、今週は最高気温が9度の日が続いています。リスナーさんから送られてきた写真では、大阪や伊豆、小田原では菜の花と河津桜が満開し、うららかな早春の風景が広がっていました。新型コロナウイルスの感染者が日本や韓国で増えていることを、中国国内からも多くの懸念する声が上がっています。番組をお聞きの皆さんのところは、お変わりありませんでしょうか。ご無事を祈っております。
今週も引き続き「新型コロナウイルスとの戦い」をテーマに、番組をお送りいたします。前半では、最近いただいたリスナーさんのお便りの紹介に続いて、中国国内の最新状況や、感染症との戦いで必要不可欠のマスクの生産、企業の生産活動再開の状況などを紹介します。また、日本国内のマスクが不足する中、中国はこれまでは日本からの寄贈を受ける側でしたが、先週、上海市の市民がマスク5000枚を日本に逆寄贈しました。その方はどのような思いを抱いて小包を出し、彼女の寄贈をインターネットではどう評価されているのかを合わせてご紹介します。
後半の「CRIインタビュー」は小田原から届いた書と歌声によるエールです。地元で書道の普及活動に携わる堤千恵子さん、ソプラノ歌手の橋本京子さんからのメッセージをご紹介します。
松田山の川津桜(撮影:橋本京子)
<2月25日現在の最新状況>
全国体制による新型コロナウイルス感染症との戦いが始まって、一か月余り過ぎました。これまでの一週間、感染の予防・抑制において前向きな動きが見られました。
2月24日0時から24時の間、湖北省以外の地域での感染者は初めて一けた台の9人にまで下がりました。2月22日現在、感染者が報告された都市のうち、治療中あるいは隔離中の感染例がなくなった都市は40を数えるようになり、全体の12.1%を占めるようになりました。このほか、23の省・自治区・直轄市および新疆生産建設兵団では新たな感染者が報告されていません。
湖北省内の治療中の感染者数も減りつつあり、武漢を例に、22日当日の感染者が506人減少し、一部の重症患者を受け入れる指定病院に初めて病床の空きがあるようになりました。
しかし、感染病学の権威である鐘南山院士を始め、専門家は「現在はまだ予防・抑制の初期段階にあり、少しでも気を緩めると直ちにリバウンドしかねない」と市民たちに引き続き用心を続け、外出を控えるよう呼び掛けています。また、天津市疾病予防コントロールセンターの張穎副センター長はCCTVの取材に対して、「すべての都市から感染者がいなくなり、その後、さらに28日間の観察期間を経て、新たな感染者が報告されなければ、初めて安泰と言える」と述べました。
なお、2月25日0時までに、中国大陸部で確認された感染者は合わせて7万7658人、死者2663人、完治して退院した人は2万7323人となっています。現存の疑い例が2824人で、隔離観察中の濃厚接触者は8万7902人です。
大陸部以外では、香港で81人、マカオで10人、台湾で30人の感染が確認されています。
<企業の生産再開に新たな進展 医療用品の生産を最優先>
感染症対策の継続と同時に、企業の生産再開にも前向きな動きが見られました。中でも、年商2000万元以上の「一定規模」の工業企業の操業再開率は、浙江省では90%を超え、江蘇、山東、福建、遼寧、広東、江西などでも70%を超えています。
業界別では、鉄鋼は67.4%、非鉄金属は86.3%、石炭は76%、自動車業界は75%。また、鉄道での貨物輸送は正常の95%にまで回復し、民間航空、港、水運も運行を再開しています。
ただ、作業員に出稼ぎ労働者が多くいる製造業においては、春節連休で帰省した後、そのまま足止めされている人が多く、作業員の不足が深刻な問題になっているようです。一部の企業は他業種とアルバイトのワークシェアの形で人手不足の問題に当たっています。
感染症の予防・抑制に必要な物資を供給するため、中国の製造業が様々な工夫をしています。中でも自動車企業の創意工夫が注目されています。
自動車企業のうち、緊急に生産ラインを改造して、医療用品の製造に当たる企業が多くあります。感染症の患者の搬送に必要不可欠の陰圧(車内の気圧を外より低くする)救急車がその一例です。製造に必要な日数も普通は30日間もかかりますが、緊急体制の下では10日間にまで工期を短縮して製造しています。
このほか、ハンドジェルのような手の消毒用品も自動車工場で作るようになりました。BYD社は2月12日に専用の生産ラインを設置しました。今では徐々に生産能力が伸び、今後は1日30万本の生産を目指すということです。
また、広州自動車、BYD、長安自動車など複数の自動車メーカーがマスクを製造中です。広州自動車だけでも、20日から大量生産を始め、今月末ごろまでには、1日当たり100万枚生産できる見込みです。
<マスク生産の現状>
新型コロナウイルスとの戦いでは、マスクが必要不可欠なアイテムです。国家発展改革委員会の発表によりますと、全国のマスク生産企業の稼働率が110%に達し、100%以上のフル稼働となっています。チベット自治区を除き、30の省・自治区・直轄市がマスクの生産ラインを導入しています。
こうした取り組みにより、1日あたりのマスク生産量は5477万枚に高まり、2月1日に比べて2.8倍増えました。22日までの約20日間の累計では、5億7000万枚を作りました。
マスク生産の確保に向け、政府は今月1日以来、マスク生産企業の人員、資金、原材料などの確保に全力で取り組んできました。こうした努力が実り、医療用N95マスクは22日現在、1日あたりの生産量は約92万枚に達し、2月1日時点の8.6倍となりました。
ちなみに、武漢市は新型肺炎と戦っている6万人余りの医療従事者のマスク需要を満たすため、毎日30万枚余りのマスクを確保しています。
こうした中、技術革新がもたらす変化に目を見張るものがあります。
上海の会社が新たなナノ材料を利用して、国内では初めての、繰り返し使えるN95規格のマスクを開発しました。煮沸(しゃふつ)消毒、アルコール、消毒液などによる消毒に耐えるもので、最多20回繰り返し利用できます。現在の生産量は1日1万枚に達しています。
広州のある会社が、超高速のマスク自動生産ラインの稼働を始めました。1分間に平面マスクを1000枚生産でき、世界最速と言われています。このラインを24時間フル稼働させれば、1日の生産量は120万枚に達すると見込まれています。
<中国の一般市民が日本にマスク寄贈>
先週、上海市の主婦が帰国する日本人の知人に頼んで、個人で日本に寄贈するマスク5000枚を持ち帰ってもらい、中国のソーシャルメディアで話題を呼びました。
「環球網」Weibo公式アカウントに掲載された写真
話題の主婦、暁倩さん(写真右)は、寄贈に寄せた思いについては、「一つはこれまでに日本からたくさん送られてきた支援に感謝し、そのお返しをしたい。もう一つは、娘に聞いた感動的な話と関係がある。5年前に、京都大学に交換留学した娘は、自転車で通学していた際に転倒して血を流すほどのけがをした。たまたま通りかかった方が看護師で、見知らぬ娘を自宅まで連れ帰り、丁寧に手当してくれた。いつか京都へ行き、娘がお世話になった看護師の方に会って、御礼を言いたいとずっと思っているが、まだ行けていないことを残念に思っている。“滴水の恩を受くる人、必ずや湧泉であい報ゆるべし”、これは私が祖父に教わったことだ。中日両国の国民が今回、新型肺炎の対応の中で結ばれた絆が今後も末永く続いていけるように願っている」と話していました。
暁倩さんの思いが報道された後、インターネットでは「中国と日本は一衣帯水の隣国なので、素晴らしいことをやりました」、「困った人を助けるのは、中華民族の伝統的な美徳です」、「私も日本にマスクを寄贈したいので、方法を教えてください」などと多くのリツイートがありました。
<お便りの抜粋>
★名古屋・ゲンさん
私たちは日中関係に関して、「一衣帯水」という言葉をハンで押したように交わしてきました。18日の放送を聴いて初めて、その「ハンコ」のイメージが壊れました。「私は見ました」「私が一番印象に残ったことは……」という「私」という主体を、私は強く感じたからです。
「ラジオパーソナリティ」という言葉が久しぶりに頭に浮かびました。新型コロナウィルスの脅威という、果てしなく辛い話題の中で、人間らしい、しかも一人一人感じ方が違う個性ある感性を感じたとき、私は初めて『あぁ、一衣帯水ってこういうことなんだ』と、当たり前に、美味しいご飯を食べるように胃の中に落としたのです。とても親しみを覚えた放送でした。これからも、お二人の感性に浸れるよう、放送を楽しみます。
★東京都大田区・三輪徳尋さん
ようやく、新型コロナウイルスに感染し回復した患者の体内にできた抗体を含む血漿を利用した血液製剤が、新型肺炎を治療する最も効果的な手段になるとの報告が出されたことは何よりの朗報であると思います。
また、中医学の治療だけで肺炎が完治した事例は、昨年に公表された「中医薬の伝承と革新的発展の促進に関する意見」による目標によって、中医薬が活用され、早くも一定の成果をあげた事例であると思います。数千年の間、伝承された伝統的中医学には、長い歴史において、幾度となく苦しめられてきた疫病から民を救う技が多く秘めているものと思います。
日々、退院される方が増え、感染される方の勢いが治まっていることはとても嬉しいことです。多くの方が外出を我慢して感染を防いでいることが効果をあげているのだと思います。もうすこしみんなで頑張りましょう。応援しています。
★岩倉市・杁本直正さん
一向に新型コロナウイルス、終息に向かっておりません、怖いです。人の集まるところにはいかないようにしております。岩倉市におきましてもロビーコンサート、健康マラソン等中止になりました。そんな中、切り紙展ですけれども予定通り行います。
こんな時だからこそ、頑張ります。
実は、3月から私のアマチュア無線開局45周年記念展、4月から切り紙展となっております。今、アマチュア無線の展示の準備に追われています。
45年の中で、武漢の局と1局交信しておりました。展示します!
日本語部の皆さん、頑張ってください!
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CRI日本語サイトでは、「新型肺炎と戦う中国にエールを」というテーマで、皆さんからビデオメッセージを募集中です。詳しくは以下のURLをご覧ください。皆さんからのメッセージをお待ちしています。
https://japanese.cri.cn/20200209/fa6ba95e-8afc-2af2-4fad-c83ee5ab356a.html
番組についてのご意見やご感想も大歓迎です。Eメールはnihao2180@cri.com.cn、お手紙は【郵便番号100040 中国北京市石景山路甲16号 中国国際放送局日本語部】もしくは【〒152-8691 東京都目黒郵便局私書箱78号 中国国際放送局東京支局】までにお願いします。皆さんからのお便りをお待ちしております。