北京
PM2.577
23/19
中国での新型コロナウイルス感染拡大の情報が日本に伝わった直後に支援活動を始め、現在も続けている方々がいます。その中の一人、ブランドコンサルタントで、芸能事務所を経営している福田淳さん(54歳、株式会社スピーディ代表取締役社長)に、WeChatの通話機能を通してお話を伺いました。
ーー福田さんは、中国での感染拡大の報を受けて、真っ先にSNSメディアを活用し、多くの芸能人や企業を巻き込んだ募金活動や支援物資を送る活動を始めたと聞きました。どのような思いだったのでしょうか。
以前からNPOに参加していて、アフリカ支援や環境問題に関心があり、様々な支援活動に参加してきました。今回も事態が発生した時から、何か支援の方法はないかと考えていました。
マスクが日本で買い占められる以前に、まず3000枚集めて送ろうと決めました。中国の現地スタッフが週末の丸2日間を使って情報収集して連絡先を見つけ、北京の紅十字会経由で送ることができたのが最初です。
その時に、このままでは一回で終わってしまうので、芸能事務所のタレントに呼び掛けたところ、みんな喜んでノンギャラでCMに出てくれました。それが国内のソーシャルメディアや記事に取り上げられ、大変良い反応がありました。
ーーどのような手ごたえがありましたか。
ソーシャルメディアでいうと、2万回以上リツイートされて、ものすごい反響でした。たまたま知り合いの知り合いに、消毒液の販売をしている会社があって、そこの社長さんがダンボール箱で1200個を送ってくれたり、いろんな人たちがお金の寄付やマスク、消毒液の寄贈をしてくれました。
ーーところで、中国での感染拡大に伴い、日本国内では中国を見る目に変化が生じたと聞きます。
日本には中国からいっぱいお客さんが来るわけですけど、あまり状況が分からない人は中国人観光客を怖がって、一部の田舎では「温泉に来ないでくれ」と、そういうニュースが出始めました。新しいウイルスを正確に理解して、ある程度予防しておけば大丈夫なんだということを今、啓蒙して回っています。
できることは限られますけど、中国と日本の関係は近いので、早くこのウイルスが撲滅されるように、日中が最大限の協力をしていくべきだと思います。
ーーウイルスとの戦いの見通しをどう見ていますか。
2003年のSARSの時は終息までに約9カ月かかったそうで、今回の場合はもっと短いだろうと思っています。なぜなら、中国の医師がAIを使った最新の医療で抗体を見つけることができると言っていたからです。私自身も最先端医療に投資するなど、興味を持っています。これから中国以外でも、新しいウイルスは出てくると思いますが、人類の叡智を振り絞って、一刻も早く治療方法を確立することができるものと信じています。
ーー最後に、武漢でウイルスと戦っている方々へのメッセージをお聞かせください。
武漢のお医者さんの記事を日本でよく見ますが、みんな勇気がありますし、自分のことだけじゃなく、人のことを考えて、愛して、なんとかしようという力は素晴らしいと思います。我々は武漢から離れていますが、本当に近い隣人です。これからもできることをやりますので、もう少し踏ん張って頑張ってください。
(番外編~取材メモから)
「一衣帯水,守望相助」で中日をつなぐ
中国全土で新型肺炎との戦いが始まってから、早1カ月が経とうとしています。突然降りかかってきた災害に因って、却って中日の距離の近さを実感する――これはおそらく、多くの人々に共有された心境ではないかと思います。
福田淳さんはインタビューの中で、「離れていても近い隣人」という言葉を用いて、ウイルスとの戦いにおける中日の協力の重要性を訴えました。同じ趣旨のメッセージを、中国外交部の耿爽報道官や華春瑩報道官も相次いで表明しています。
特に華報道官は先週、ツイッターの公式アカウントにおいて、初めての日本語によるツイートを3件投稿しました。
そのうちの1件は、「一衣帯水の隣国として、何かあればお互いに助け合いましょう」という言葉と共に、「一衣帯水,守望相助」と書かれた草書の画像を添えたものでした。
日本国内の状況を見ると、ここ一週間は「感染拡大の初期段階に入った」と言われ、緊張が高まりつつあります。これについて、華報道官はツイッターで「日本国内の新型肺炎の感染状況を注視し、日本の皆さんと同じ気持ちでいます。中国はウイルスとの戦いに取り組むと同時に、情報と経験を日本側と共有し、できる限りの支援を提供していきます。双方はすでに関係分野における協力に着手しました」と発言しました。
情報と経験を共有することの重要性は、日本の専門家も強調しています。2月9日放送のNHKスペシャル「感染はどこまで拡がるのか~緊急報告 新型ウイルス肺炎〜」の内容は中国のSNSでも大きな反響を呼びました。
その中で専門家として招かれた東北大学大学院の押谷仁教授は番組の結びで、「このウイルスとの最初の戦いはもうグローバル化している」、「この戦いでは、中国は非常に重要なパートナー」と示した上で、「中国をこの戦いの中に引きずり込んで、一緒に戦っていく。そのためにはWHOがリーダーシップを執って、そういう体制を早急に構築していくことが大切だと思います」と強く訴えました。
人類にとって未知の部分が多い新型コロナウイルスとの戦いはまだ続きます。この苦難の時を一刻も早く終息させるため、今こそ国境を越えて、人類という名の下で叡智を結集する時ではないでしょうか。
この番組をお聞きになってのご意見、ご感想、そして武漢と湖北へのメッセージをお寄せください。
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