北京
PM2.577
23/19
聞き手:王小燕
湖北省武漢市を中心に、新型コロナウイルスの感染拡大が続いています。そんな中、不足するマスクなどの物資を必要とされている場所に届けるべく「マスク調達旅行」と称し、家族連れで日本各地を奔走する日本人がいます。最低目標は2月7日までに33333枚を調達することだそうです。
熊本出身で、現在は北京で日本料理店を経営する谷岡一幸さん(46歳)は、北京出身の中国人女性と結婚したことで10年前から家族と北京で暮らしています。
日本でも品薄になっているマスクを中国に寄贈したいと考え、現在も日本で調達を続けている谷岡さん。どのような思いで活動に取り組んでいるのでしょうか。微信(WeChat)の通話機能を使ってインタビューしました。
寄贈者からマスクを預かる谷岡さん(右)
--家族との久しぶりの日本旅行が急遽、マスク調達の旅に変わったということですが……。
そうですね。当初は、家族そろって数年ぶりの日本国内旅行で東北を旅する予定でした。1月28日の北京出発前は、北京の薬局やインターネットでもマスクが購入できない状況でした。それで医療関係者を含む多くの友人から「日本でマスクを買って来てほしい」という声があり、私一人の力では限界があるので、日本で支援の活動を起こしたいと思って、急遽、行くはずだったレストランなどを全てキャンセルして、東北ではなく南の九州から東京へと北上する「マスク調達旅行」をすることに変更したのです。
--日本各地を行脚して集めているのですね。
はい。最初は北京から東京に入り、東京で買い求めたのですが、だんだん数が少なくなって……、故郷の熊本でも調達活動を2日間行ってから、福岡県、山口県を巡り、そして今は静岡に来ています。これからまた東京に向かいます。
これまでに、日本の友人数百人から少しずつ寄贈してもらえるマスクを集めています。最低でも33333枚を調達しようと思って今、頑張っています。
寄贈者からのマスクを預かる谷岡さん(左)
--「3」という数字にこだわる理由は?
「3」というのは「散去」の「散(San)」と発音が同じなので、この病気が中国から、世界からなくなってほしいという願いを込めて、33333枚という目標を立てました。
--目標に向けて、3日現在の進捗状況は?
今も続々とマスクが届いています。現状は私個人で調達したのが1万枚、友人たちから集まったのが2万枚で、合計3万枚になりました。
--日本国内でもマスクの調達が難しくなっていると聞いていますが、ここ数日間、各地を回って実感したことはありますか?
この2、3日間で、日本全国の津々浦々の薬局、スーパーの店頭からマスクがなくなりました。今、中国への支援の目的で購入される方もいれば、これから日本でも流行するのではないかということで買い溜めをする方もいますし、ネットで転売している方も多く……。薬局とか店頭では手に入らないので、今、オークションやメルカリなどの販売サイトでも調達を試みているのですが、高くて本当に手が出ない金額まで高騰しています。
谷岡さんが撮影した日本のドラッグストアの様子
--その影響で、目標達成にかかる費用も膨らみそうですね。
私個人は、すでに100万円以上を調達に投じています。それでも、私一人では、目標の数は調達できないので、中国側への支援活動を起こしたいという願いを込めて、今、日本の報道関係の方々からの取材を受け、どんどん情報を発信していただいています。
各地から届くマスク
--周囲からはどのような目で見られていますか。
「日本国内でも足りないのに、なんで中国に贈るんだ」というような見方をされる方もいらっしゃるのですが、やっぱり病気には国境がないし、今、一番大変なところに、余裕のある人がみんなで協力し合って支援するというのはすごく大事なことです。困った時こそお互いに助け合うという精神を、それから、「日本からの善意を中国に届けたい」という思いでやっています。
--寄贈先は考えていますか?
2月7日に北京に帰りますので、8日の時点で医療関係者の知人に相談して、必要とされているところに支援したいと思っています。
--最後に、電波を通じて一番伝えたいことは。
今、中国にお住まいで、この病気に対して不安を抱いている方がたくさんいらっしゃると思いますが、決してパニックにならず、冷静に対応していただきたいです。
中国政府が一生懸命対処していますので、この病気は必ず沈静化していくと思います。冷静に行動してほしいと思っています。
4日現在、一家が宿泊する東京のホテルの部屋に届いたマスク
なお、谷岡さんは7日まで日本に滞在し、マスクの寄付を受け付けています。お問い合わせは「tanioka1973@hotmail.co.jp」までご連絡ください。
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