北京
PM2.577
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~人生初の中国 吉林・大青山に立つ~
聞き手:王小燕、梅田謙
左から王小燕アナ、星野司さん、梅田謙アナ
冬は銀世界に変わる吉林省吉林市。郊外の松花湖のほとりにある大青山にスキー場ができたのは1962年のことでした。その後1980年代には、全国の青少年スキー大会がここで開かれたこともあります。しかし中国でスキーと言えば、長い間ひと握りの東北出身の選手に限られたスポーツでした。それがようやく市民に普及するのは21世紀に入ってからです
現在の松花湖スキー場は31コース、計100キロ以上を持つ、中国有数のスキー場として知られています。しかし、星野さんが初めて訪れた2011年時点では、麓にクロスカントリースキーの練習をする若者がいくらかいる他は、中腹部に荒れた2本のゲレンデがうっすら見られる程度の山でした。
ーー雪国で生まれ育ちスキー一筋だった星野さんですが、初めて中国に来たのはいつですか。
2011年4月6日でした。会社(株式会社プリンスホテル)からの派遣で、吉林省吉林市への出張でした。到着の翌日に今の松花湖スキー場である大青山の山頂まで登りましたが、その日は天候が悪く、山の中腹から濃霧により視界は20メートル程度で、足元しか見えませんでした。
ですが、その夜に山の地形図を提供してもらってコースを描き始めたら、不思議とスキー場のイメージが湧いて、朝方までにはコースレイアウトが完成しました。それが、実際に開業を迎えたスキー場のコースのうち、約6割のコースになっています。それほど素晴らしい山で、ここに作れば中国NO.1 のスキー場になると、当時から思いました。
ーー中国に来る前も、スキー場の設計開発をしていたのですか。
当社はホテル事業、スキー事業、ゴルフ事業を行っていて、スキー場は自社で設計し運営管理しています。新潟県の苗場スキー場で勤務していた頃に、数カ所のスキー場の設計にチャレンジしたことはありますが、形になったのはここ中国・吉林省の松花湖スキー場が初めてでした。
日本のスキー人口は1998年の長野オリンピックをピークに、減少の一途を辿っていました。そういうわけで、コースの整備やリニューアルの機会はあっても新規に建設するというニーズはなく、私にとってもチームの皆にとっても松花湖スキー場は初めての体験でした。
松花湖をバックに笑顔を綻ばす星野チーム
ーーどのような思いで、松花湖スキー場の設計に取り組んだのですか?
中日友好の懸け橋の一本の釘になれればと思いました。本格的に設計を始めた2011年12月には、私を含む4 人が派遣され、チームで考えた設計コンセプトは「中国のスキー人口底辺拡大に寄与するスキー場!」「地元の地域社会をリードするスキー場!」「日本の子どもたちにも滑ってもらいたい!」です。そして、この3 本柱を基に、設計キャッチコピーを「お客さまの笑顔」と決めました。
設計期間は、山に入っている時も、図面を描いている時も、会議中でも、常に「お客さまの笑顔」を思いながらコンサルティングしました。その強い思いがあったからやり遂げられたと思います。
さて、この「大青山」はスキー場の建設にはもってこいの山だったようですが、吉林省の冬といえば半端ではない寒さです!日本で体験したことのない寒さの中でも、データだけに頼らず現地を歩きながら設計するというこだわりを貫いた星野チームの皆さん――、来週のこのコーナーでは、その仕事の様子を中心に、引き続きお話を伺います。(つづく)
【プロフィール】
星野 司 (ほしの つかさ)さん
1962年新潟県南魚沼市生まれ。
1981年4月、国土計画株式会社、現在の株式会社プリンスホテル。新潟県南魚沼郡湯沢町に所在する苗場プリンスホテル・苗場スキー場入社、スキーパトロール隊に配属され、夏はスキー場整備、冬はスキー場運営管理を行いながらスキーコース設計開発を勉強する。
その後、苗場エリア総支配人、プリンスホテル本社勤務を経て、2011年12月に、プリンスホテルから4名派遣され、中国吉林省吉林市の松花湖プリンスホテル・松花湖スキー場開発コンサルティングを開始。2014年12月に松花湖プリンスホテル・松花湖スキー場の開業を迎え、松花湖リゾート総支配人として7名の派遣社員と運営管理を行う。
2016年3月から松花湖プリンスホテルのフランチャイズおよび、松花湖スキー場の安全管理に対する技術指導、接客対応指導を行っている。
2016年4月に株式会社プリンスホテル 吉林事業部 部長、吉林西武リゾートコンサルティング有限公司 董事長に就任。
2018年1月、プリンスホテルから4名派遣され、河北省張家口市崇礼区の汗海梁スキー場開発コンサルティング開始 、2019月12月31日に開発コンサルティングを終了し現在に至る。
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