北京
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12月中旬、北京はこの冬最大の降雪に見舞われました。雪化粧した故宮博物院は壮厳な美しさと共に、生き生きとした躍動感を讃えていました。紫禁城の名でも知られる故宮博物院は、2020年に築城600周年を迎えます。今回の中国メロディーでは、紫禁城の歴史と文化を味わいながら、紫禁城にまつわる音楽を楽しみましょう。
盛大な式典
紫禁城は今から600年前の明の永楽帝時代に建てられた王宮で、その華麗な宮殿と豊富な文化遺産は、中国のここ600年の歴史を凝縮していると言えます。
1406年、明の永楽帝によって都に定められたことで、北京は中国で最も注目を集める場所となりました。そして紫禁城は、明と清の、合わせて24人の歴代皇帝が住んだ、まさに中国の中心です。この数百年の間に、数えきれないほどの英雄、野心家、国賊などがこの舞台に登場し、時には勇ましい、時には手に汗握るような歴史的事件が、つぎつぎと繰り広げられました。
数百年の間、紫禁城の太和殿広場はいつも荘厳な雰囲気に包まれてきました。その静粛さが乱されるということは、すなわち歴史に残るような重要な出来事の発生を意味しています。例えば、皇帝の即位式や結婚式、それに重要な出陣式などが、いずれもここで行われました。今、この敷地面積2.5ヘクタールの広場を散策していると、目に浮かぶのではないでしょうか。古代の皇帝が奥から登場し、一斉に太鼓が一斉に鳴り響いて式典が始まる。太和殿の前に置かれた大きな香炉からは線香の煙が雲海を作るように流れ出て、音楽に合わせて文官と武官たちが皇帝にひれ伏し、拝み、「万歳」と声を上げている情景が、ここにあったのです。
紫禁城の宝物
紫禁城は現存する世界最大の宮殿と謳われ、この600年近くの間に24人の皇帝がここに住み、中国全土の統治を行いました。そんな紫禁城は、皇帝の権力の象徴です。神秘のベールに包まれた宮殿内には、数えきれないほどの貴重な芸術品が秘蔵され、中国の文化財が最も多く収蔵された博物館とされています。
中国の数千年にわたる歴史の中で伝えられてきた文化財は、そのほとんどが紫禁城の歴代の主人、すなわち明と清の皇帝たちによって、この上ない最高の権力を行使することで探し集められてきました。
これらの宝物は古代の書画作品、古代文字の刻まれた青銅器や石鼓、さらには精巧で美しい磁器、漆器、象牙の彫刻、家具にいたるまで、すべて芸術的価値の高い貴重品です。これら貴重な品々の背景に、どれだけの労力や陰謀、あるいは殺戮が秘められているのかは分かりません。しかし、純粋な芸術性に目を向ければ、その美しさと、中華文化の魅力に心を奪われることでしょう。
繁栄の大国
紫禁城と聞いて、皆さんは何を思い浮かべるでしょうか。赤い城壁や黄色い琉璃瓦、荘厳な宮殿、あるいは、皇帝の寵愛を競って、互いの腹を探り合う、妃たちの戦いを連想するかもしれません。この歴史ある宮殿には、限りない秘密と物語が秘められています。
1996年に放送された、NHKスペシャル『故宮』が、心に抱く憧れとしての古代帝国の繁栄を美しいメインテーマと共に伝え、多くの人々を感動させました。
それから9年後の2005年には、CCTVの同名のドキュメンタリー『故宮』が、中国人の立場から紫禁城の歴史の変遷を表しました。その挿入歌の数々は、中国の歴史の奥深さを表現し、5000年の輝かしい歴史と文化を奏で上げています。
番組の中でお送りした曲
1曲目 礼儀大典(礼儀盛典)
この曲はCCTV中国中央テレビが2005年に制作したドキュメンタリー『故宮』の挿入曲です。曲は中央音楽学院の唐建平教授が作曲したもので、曲の中に中国の宮廷音楽や伝統儀礼などの要素を取り入れ、中国古代の宮廷の物々しい雰囲気を感じさせます。
2曲目 宫廷珍藏(宮廷の宝物)
この曲は、同じくCCTV中国中央テレビが2005年に制作したドキュメンタリー『故宮博物院』からもう一曲の挿入曲です。緩やかなメロディーが、数百年前の華麗な後宮の様子を描いています。
3曲目 盛世大国(繁栄の大国)
この曲はCCTVのドキュメンタリー『故宮』の中からもう一曲です。曲は、帝国の衰退と斜陽をイメージさせる、雰囲気で始まります。そこから旋律は徐々に明るくなり、まるで朝日が昇るような印象を受けます。この部分は、古い時代が終わって、中国が新しい時代を迎えることを意味しています。