北京
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中国の大地には56の民族が暮らし、各民族ごとに独特な風習があります。中国南西部の雲南省、貴州省、広西チワン族自治区は、古来より多彩な音楽を持ち「民族音楽の宝庫」と呼ばれてきました。今回の中国メロディーでは引き続き、その中国南西部の少数民族の、恋愛や結婚に関する風習と恋の歌をご紹介します。
トン族
貴州省の黔東南ミャオ族トン族自治州に暮らすトン族の若者たちは自由恋愛を謳歌しており、親が干渉することはあまりありません。毎年、秋の収穫が終わって農閑期に入る時期は、トン族の若者たちにとって、恋を楽しむ絶好のひとときです。
夜ごとに、若者たちは三々五々集まって意中の女性の家を訪ねます。すると、女性の家族も気を利かしてそこを離れ、カップルは暖炉を囲んで、歌を通して心の内を打ち明け合うのです。もし両親が反対しようものなら、2人は駆け落ちしてしまいかねません。それくらい、トン族は情熱的で自由な恋愛を営んでいるのです。
ヌー族
南西部の少数民族の中でも、ヌー族の恋愛は文芸的な色彩が濃いことで知られています。恋愛の初期に、男性は意中の女性に琵琶を奏でて聞かせ、気持ちを確かめます。女性の方は、それを受け入れる場合、胸の高鳴りを「口弦」というハーモニカのような楽器の演奏で伝えるのです。
ヌー族の若い男女はこのように、楽器の演奏を通したロマンチックな方法で問いかけ、答え、さらには2人の将来についても語り合うのです。音楽で感情を表す恋愛に言葉は不要です。男も女もメロディーだけで心を通じ合わせ、意気投合できるのです。これは世界的にも珍しい恋愛の習慣と言えるかもしれません。
ワ族
雲南省で瀾滄江の畔に暮らすワ族には、古来より独特な恋愛と結婚の風習が伝わっています。ワ族の若い男女が結婚を考え、結納にあたる挨拶をする際に、女性側の両親は謙虚に「我が家には種もみがあるが、質が良くないため、気に入るかどうかわからない」と言います。それを聞いた男性は「我が家の土地は肥沃なので、そこに種を撒けば、きっとよく育つでしょう」と喜んで答えるのです。
側から見れば、ただの農業に関する問答のようで、結婚とは無関係のように見えますが、これこそが、ワ族における結婚を定める合言葉なのです。
番組の中でお送りした曲
1曲目 单身情歌(独身の恋歌)
この歌はトン族のラブソングです。
2曲目 ヌー族のラブソング
歌詞:
村の入り口で会いましょう
君を思うと胸が苦しい
恋の歌を歌いながら
僕を待ってくれるかい
口弦を吹けば 僕はやってくるよ
左手 右手 手を繋いでいつまでも
3曲目 梳头调(梳り(くしけずり)の調べ)
この歌はワ族のデュットソングです。
歌詞:
娘はあの人を思い
髪結いの場にやってきた
彼がそばにいるかのよう
彼を送り出した悲しみに涙が溢れる
あの人は いつ戻ってくるのだろう