北京
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12月上旬、北京は色づいた紅葉の時期が終わり、冬の気配が感じられるようになります。中国南西部の雲南省、貴州省、広西チワン族自治区には、多くの少数民族が暮らし、音楽も多彩で民族音楽の宝庫と呼ばれています。今回と次回の中国メロディーは、その中国南西部の少数民族の、恋愛や結婚に関する風習と恋歌をご紹介します。
チワン族
広西チワン族自治区に暮らすチワン族は、漢族を除いて最も人口の多い民族です。みな歌が上手で、幼い頃から民謡を学び、嬉しい時に唄い、辛い時にも歌を唄い、生活の喜怒哀楽をすべて歌声で表すことができます。歌を歌うのは、チワン族の人々の生活の一部となっており、歌の民族とも呼ばれています。中でも、恋が地元民謡の永遠のテーマになっています。チワン族には、若い男女の間で「対歌」、歌の掛け合いで恋人を探す習わしがあります。
この歌の掛け合いでは、絹布で作ったアジサイのような丸い飾り「繍球」が、恋の気持ちを伝える印となります。祝日や記念日になりますと、若い男女が村の広場に集まり、掛け合い歌で気に入った人の気持ちを探り、女性は心を込めて作った「繍球」を相手に投げてあげます。それを受けた男性が女性を気に入れば、「绣球」に贈り物を結びつけて彼女に投げ返します。こうして歌で互いに心を通じ合い、縁を結ぶのです。だからこそ、歌と「繍球」は、チワン族の男女の愛の証と言えるでしょう。
ペー族
雲南省の大理に暮らすペー族も、歌と踊りが上手な民族で、恋愛と結婚がロマンチックなラブソングに欠かせないものです。美しい洱海という湖の畔に暮らすペー族は毎年、中秋節である旧暦8月15日の夜に、船に乗ってお祭りをする伝統があります。若者たちは美しいラブソングを歌いながら、小舟を漕いで、多くの船の間で行ったり来たりして、相手探しをます。
気に入った女性に出会えたら、まず歌声で引き付けて、そして、蝋燭ともした灯篭を相手の船へと流します。相手の女性は、もしNOであれば、水で蝋燭を消してしまいます。逆に灯篭を舳先に置けば、それはOKの合図で、男性は安心して娘の船に上り、気持ちを打ち明けるのです。
タイ族
中国南西部の雲南省南部にあるシーサンパンナ。美しい熱帯雨林の風景と多彩な少数民族の風情で知られています。ここに暮らすタイ族は、今でも独特でロマンチックな恋の習わしが残されています。
月の光が白く輝き、そよ風が爽やかな夜、竹林の奥から竹笛の音色が聞こえます。それはタイ族の若者が気持ちを伝えるものです。若い男女はふだん、お祭りや縁日などの日に結婚相手を探し、2人とも気になった場合は、男性が夜に女性の家の前でロショウやひょうたんなどの民族楽器を吹き鳴らし、優しい音色で気を引付けます。女性は意中の人であれば、おめかしして男性とデートに行きますし、また両親が部屋に戻った後に男性を家に招いて、暖炉を囲んで気持ちを打ち明けるのです。
番組の中でお送りした曲
1曲目 山歌好比春江水(山の歌は春の川のように)
この曲は、チワン族の民謡を元にアレンジしたもので、中国で初めて放映された音楽風景の映画「劉三姐」の挿入歌で、映画の公開当時に大ヒットし、今でも多くの人々に愛されています。
歌詞
山の歌を歌おう
こっちが歌えば あっちも歌う
山の歌は春の川よりすばらしい
浅瀬もうねる流れも平気さ
2曲目 蝴蝶泉辺(蝶の舞う泉の畔)
この唄は、1959年に上映された映画「五朵金花(五人の娘)」の挿入歌です。映画は大理のペー族の、ユーモラスな愛の物語で、唄の方も非常に美しいメロディーです。
歌詞:
大理の3月は良い季節
蝶々が泉で飛び回り
蜜を求めて花へ飛ぶ
娘らが髪を結うのは誰のため
3曲目 月光下的凤尾竹(月明かりの鳳凰竹)
この唄は、美しい月夜に、タイ族の若い男女が優しい歌声でお互いの気持ちを伝え合う場面を表しています。
歌詞:
月明かりの鳳凰竹よ
まるで柔らかな緑の霧のよう
美しい娘よ
夜に輝く真珠のようなまばゆさ
どれだけの音色が
君に告白するの