北京
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日本でも話題となった劉慈欣(りゅう・じきん)の長編SF小説『三体』(早川書房より2019年に刊行)のコミカライズが始まりました。本作は漫画本としてではなく、テンセント(騰訊)のアニメ漫画チャンネルでオンライン連載として配信されていく予定です。
『三体』は、2006年5月から12月まで、中国のSF雑誌『科幻世界』で連載され、2007年に重慶出版社によって単行本が出版されました。その後、「地球往事三部作」シリーズとして2作目の『三体II:黒暗森林』が2008年5月に、3作目の『三体III:死神永生』が2010年11月にそれぞれ出版されました。タイトルの「三体」とは、ニュートン力学にある古典的な三体問題に由来するもので、ストーリーは異星人「三体星人」と地球人との戦いを中心に展開されます。中国で計50万部以上を売り上げたこの作品は、2014年11月に英訳版が出版され、海外でも数多くのSF賞にノミネートされるなど高い評価を得ています。著者の劉慈欣は1963年生まれ、山西省の出身で、本業はエンジニアです。中学生のころから創作を始め、これまでに長編小説を7作、作品集を9作、中篇小説を16作、短編小説を18作書いており、1999年から2006年までの期間に、中国のSF小説賞「銀河賞」に連続入選しています。今年の春節に大ヒットを記録したSF映画『流浪地球(さまよえる地球)』も、劉慈欣の作品として知られています。
「実写化」の動きとしては、『三体』が原案の舞台劇が2017年末に上演されたほか、張番番(チャン・ファンファン)監督と馮紹峰(ウィリアム・フォン)主演による映画化の話も出ていますが、公開日は未定です。映画化に先駆け、漫画版がまず配信される形となりました。(ミン・イヒョウ 謙)