北京
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チベット族の民謡歌手・チャンヤンチュオマー。中国の民謡界で、温かく深く豊かな歌声と端正で重々しい容姿で、「最も美しいメゾソプラノ」と讃えられています。その独特な魅力ある歌声は、チベット族に喜ばれているだけでなく、ほかの民族も魅了しています。今週の中国メロディーは、そんなチャンヤンチュオマーの歌をご紹介します。
音楽との不思議な縁
1985年に四川省康巴チベット族地区の農牧民に生まれたチャンヤンチュオマー。幼い頃は家が貧しく、新しい服も着られず、新しい靴も履けませんでした。しかし、故郷の高くそびえる雪山、滔々と流れる大河、青く澄んだ高原の湖、牛と羊が点在する緑の草原に心が豊かになり、多彩なチベット族の歌や踊りが独特な音楽の才能を与えてくれました。
そんなチャンヤンチュオマーは、幼いころから音楽と不思議な縁がありました。名前のチャンヤンチュオマーは、「美しい歌声の仙女」という意味で、彼女の運命はまさにその名前の通り、音楽と息が通い合っているようです。音楽のおかげで彼女は苦難を乗り越え、輝かしい人生を迎えたのでしょう。
逆境の中の思春期
中国ポップス界で最も美しいメゾソプラノと言われているチャンヤンチュオマーは、逆境の中で思春期を過ごしました。家が貧しく、中学校を3年生の途中で退学しました。その後、まず母親と一緒にリンゴ売りをし、歌好きな彼女はいつも歌声で客引きをしました。その後、家から290キロ離れた県庁で掃除婦をし、また親を手伝い家の生計を支えるため、工事現場でセメントを運ぶなど、男性がするような力仕事もやりました。当時、日々疲れ果てる娘の姿を見て、母親はいつも彼女を抱き寄せ、涙を流しました。
楽しいウェートレス歌手
チャンヤンチュオマーは、人生で最も苦しい時に、母親の温かい愛情に癒やされました。その後、母親の勧めで、つらい工事現場の仕事を辞め、町のレストランでウェートレスを始めました。この仕事で性格も明るくなり、休みの時は職場の仲間とよく歌ったり踊ったりして、まさに楽しい学生時代に戻ったようでした。
歌と踊りが上手な彼女は、やがてレストランの個室担当になりお客さんのためによく歌などを披露しました。自分の才能が初めて認められ、彼女はとても嬉しいと感じていました。そんなチャンヤンチュオマーはレストランの名歌手として知られるようになりました。
番組の中でお送りした曲
1曲目 卓瑪(チュオマー)
歌詞:
草原の風 草原の雨
草原の羊たち
草原の花
草原の水
草原の娘
ああ、チュオマー
草原の娘 チュオマー
君の花のような名前
2曲目 慈祥的母亲(優しい母親)
歌詞:
ああ、優しい母親
美人の中の美人
ああ、女神のように
心が優しい
水を背負って
小道を歩く
柳がゆらゆら揺れる
乳絞りをして 羊小屋を離れる
クワの花が咲き始める
3曲目 西海情歌(西海の恋歌)
歌詞:
あなたが離れてから
温もりを失った
この奥深い雪山で
冷たい風の唸りを聞く
辺りは見えづらく
風が刀のように顔を割く
西海の青空はまだ来ない