北京
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日本の尺八演奏家で、紫綬褒章の受賞者である三橋貴風氏が27日夜、「尺八略史と古風音楽鑑賞」をテーマに、北京市内で公開講座を行いました。北京尺八共修、尺八貴風会、北京真.尺八教室、 伏羲琴院の共同開催によるこの講座にSNSで申し込んだ約80人が参加しました。
講演中の三橋氏
9月27日夜、北京方庄青少年活動センターにて
三橋氏は講演の中で、尺八が7世紀(隋の時代)に中国から伝来し、時代を経て日本で起きた変化を説明しました。中でも、江戸時代に確立した尺八伝来の歴史や、古典本曲にまつわる伝説を、昔の日本と中国の文化交流史と絡めて分かりやすく解説しました。三橋氏は中国人の弟子たちと共に、「虚鈴」や「鹿の遠音」を共演したほか、各地の虚無僧寺に伝えられた古典本曲「鶴の巣籠」の一部をソロ演奏しました。
開始前に、中国の弟子たちと「虚鈴」を共演する三橋氏
大学教員で、最近尺八の練習を始めたという来場者の李萌昀さんは、講座について「大変面白く聞かせてもらった。文化は伝わる中で形に変化が生じる。こういった異なった環境の中で起きた目新しい変化こそが、文化交流のだいご味だ」と感想を聞かせてくれました。
活発な質問が上がった参加者たち
講座終了後、三橋氏はCRIの取材に対して、「興味を深く持っている方がたくさん集まったので、つい話に熱が入った」とまずまずの手応えを示しました。その上で、「文化というのは、大陸間を行ったり来たりする生き物のようで、必ず近隣の国の影響を受けて、その国独自の文化が成立する。尺八がその良い例である。7世紀に日本に伝わった時の尺八は正倉院にしかないが、日本で時代を経て今日のような形になった尺八が、中国の皆さんが興味を持つことがとても重要な意義があり、尺八は将来、中国の方によって、どういう使い方がされるのか、非常に興味がある」と、微笑みながら期待を語りました。
「形が変わっても、正倉院の尺八と歌口は同じである」と三橋氏
三橋氏は、1983年に中国交響楽団との共演のために初めて中国を訪れ、近年では演奏や指導などで毎年10回ほど訪中しています。今回も、北京で弟子の指導にあたるとのことです。
(取材:王小燕、張強、撮影協力:韓信)