北京
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1時間目 中日提携ミュージカル「陰陽師」第2作、夏公演に5万人動員&映画監督王乃真さんの平和への思い
担当:王小燕、斉鵬
立秋が過ぎた北京は、朝晩が過ごしやすくなり、このところ、澄んだ青空の日が続いています。写真(上)は先週末、地下鉄八宝山駅からCRI局ビルの眺めです。
今週の番組は、まずは「CRI時事解説」です。「中国経済は外部からの雨風に抵抗できる」と題するCRI論説員の文章をご紹介します。
続いて「旬の話題」です。先日、北京で千秋楽を迎えた中日提携ミュージカル「陰陽師」第2作の夏公演にフォーカスします。
「陰陽師」は中国のゲーム会社「ネットイースゲームズ」が日本の開発チームを起用して制作したスマートフォン向け3Dロールプレイングゲーム(RPG)です。平安京を舞台とする美麗なグラフィックと豪華声優陣の起用で話題となっています。2016年9月に運営が開始された後、全世界で2億ダウンロードを突破。日本では「陰陽師本格幻想RPG」のタイトルで2017年2月に配信が開始され、5カ月で300万ダウンロードを突破しています。今回は同ゲームを原案とするミュージカル2作目の『ミュージカル「陰陽師」~大江山編~』、中国限定・9都市全35回の夏公演で、35万人を動員したそうです。
後半の「スペシャル・バスケット」は先週に引き続いて、特別企画「私にとっての戦争と平和」、今回は個人の力で発案、制作したドキュメンタリー「戦後中国残留婦人考」(中国語題『戦後遺華日本女性考』)の監督・王乃真さんにマイクを向けてみました。
(左)王乃真さん (右)小林千恵さん
王監督と俳優・小林千恵さんは、日本の敗戦で中国に取り残された13歳以上の女性(「残留婦人」)たちの歩んだ歴史を記録したく、ドキュメンタリーの撮影と制作に7年の月日を費やしました。なお、いわゆる「中国残留婦人」の人数について、日本厚生労働省が最近発表した統計では、2019年7月30日現在、日本に帰国した数だけでも4166人にも上るそうです。
この女性たちの人生を再現するステージ「縁を思えば」は現在、9月下旬に南京で公演することを目指して、リハーサルをしている最中です。脚本、主演は小林千恵さんで、翻訳と演出は王乃真監督です。
王さんは1990年代初め、日本で留学して映画のことを勉強したことがあり、戦争が弱い立場にいる民衆たちに与えた被害の記録に取り組んできました。残留婦人の歴史を記録することに寄せた思いとは何か。王乃真さんのインタビューをぜひお聞きください。
2時間目 子どもたちの目の輝やきに惹かれて~中日韓子ども童話交流事業委員長・河村建夫に聞く
聞き手:王 小燕
8月17日から「第16回中日韓子ども童話交流事業」が北京で開幕しました。2002年に日本の呼びかけで始まったこの事業は、絵本・童話を通して交流し、相互理解と友情を育むことを目指すものです。毎年の夏に中日韓の小学校4~6年生、計100人が集まり、一週間にわたる合宿を行っています。今回のテーマは「園」だそうです。
17日、この交流事業の開会式のために北京入りした、日本の衆議院議員で日中韓こども童話交流事業実行委員長を務める河村建夫さんにお話を伺いました。
河村さんは1943年、山口県萩市生まれ。1990年に衆議院議員初当選以来、文教畑に打ち込んできました。これまでに文部科学大臣、内閣官房長官などを歴任。
――今年も「中日韓子ども童話交流事業」が無事開催されることを心からお祝い申し上げます。
ありがとうございます。1回目から8回目までは日本で開催されました。9回目から日中韓を回るようになりまして、もう15回が過ぎました。毎回100名の子どもたち、これまでに1500名の子どもたちが交流したことは大変感慨深いです。小学生の時からのこのような体験は、必ず大人になってから生きてくると思っています。
――そもそも、この事業を始めたきっかけは何でしたか?
子どもたちに読書環境を作っていくということで、超党派の「子どもの未来を考える議員連盟」ができ、各党派が全て集まってできました。読書環境を整えるには図書館の整備が当然ですが、もっと、中国、韓国など日本と一衣帯水の国家の子どもたちも一緒に学べないかと。そこで、童話を持ち寄って交流しようと各側に呼びかけ、協力を得ることができました。小学校4年、5年、6年の生徒さんを中心に、3カ国で100名集まって開催されることになりました。
子どものときから交流すれば、もっともっと日中韓が仲良くなれるのではないかという期待もあって、スタートしました。
――平和への思いがこめられた交流行事だったのですね。
一番近い国同士がこの年齢から仲良くすることは、世界の平和につながり、アジアの発展につながります。お互いの国を知る大切さを体験してもらえればと思いました。
日中韓の子ども100人が、一週間そろって着るユニフォームがありますが、顔では(どの国の子か)まったく区別がつきませんね。皆さん目が輝いています。この子どもたちを見ていると、これからの日中韓は大丈夫だという思いがしてきます。
――これまで15回の開催を成功させてきました。毎年、夏に合宿する形で開催されているようですね。
日本ではお盆の後だと時間に余裕があるので、最初は日本に招待する形でスタートしました。ちょうど一週間、絵本を持ち寄って合宿します。最初は羽衣伝説を取り上げました。この物語は日本にも韓国にも中国にもありますが、微妙な違い、結論の違いがあります。どこが同じでどこが違うのかを話し合います。子どもたちが関心を持ったら、最後は100人が10組に分かれて童話を作ります。
――読書のために立ち上げた行事でしたが、本を読むだけでなく、本を作ろうというところまで、踏み込んだ交流を行っているのですね。
そうですね。それ以外にも、北京に来た場合なら万里の長城を見学したり……今年は北京国際園芸博覧会がありますので、そちらの見学も予定しています。そして、毎年3ヶ国語が収録される珍しい報告書が出版されています(写真)。ぜひご覧いただきたいと思います。
――15年間の開催の中で、忘れられないエピソードもたくさんあったかと思いますが……。
そうですね。小学生ですから、時々ホームシックにかかってしまいます。実は、昨日は東京で子どもたちの出発式をやったんですが、一人でじっとするとホームシックになるので、早く友達を作りなさい、と話しました。
一つ分かったことは、中国と韓国の子どものほうが、英語がうまくなっていることです。彼らは先に英語で挨拶して会話を進めていて、日本人がそこに入れていません。この事から、日本の英語教育が遅れていると、大急ぎで小学校の英語の授業を強化しています。中国と韓国の方が10年早く英語教育を始めているようです。
――中国では最近、幼稚園から英語教育をしているところもあります。触れ合ってみないと分からないような、子どもたちの様子もあるようですね。
最近は、かつてこの交流行事に参加して、今は大学生になっている子たちが自発的に集まって卒業生の会を作って、せっかくの貴重な経験だからとOB・OG会を作ろう、と。今回も10年ぐらい前に活動に参加した子どもが戻ってきて、各国10人ずつ、30人が話をして、子どもたちをサポートする、というふうに広がっています。これは我々も期待していたことで、大変嬉しく思っています。
――今回は中国開催で、テーマは「園」だと聞いていますが。
毎回、「種子」、「空」、「海」など、それぞれ主催国が題を決めています。今回の「園」は、種をまいて、そして実って、大きな広い園に広がっていく、その広がりが期待できる題だなと思っています。
――中国語では、「園」は円満であるとか、皆さんがつながっている「縁」とも発音が同じですので、豊かなイメージが膨らみます。
おそらくそのテーマを中心にして、思いを語り合うチャンスもあると思います。
――中日韓の子どもたちの交流の開催にあたり、今年は特に韓国と日本の間にいざこざが起きていますが、何かプレッシャーはありませんでしたか。
私も心配していました。しかし、かねてからこの交流事業が始まるとき、政治とかいろんなことがあっても、これだけはきちんとやりましょう、という申し合わせはしてあります。今回もとくに韓国から申し入れがあったとかは一切ありませんでした。これだけは日中韓でやるという合意ができているだろうと思います。
――ぶれない子どもたちの交流に、3カ国の共通した願いが込められているのですね。今回も大成功を祈っています。
~了~
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