北京
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全世界で2億回のダウンロード数を誇るソーシャルゲーム「陰陽師」が原案の『ミュージカル「陰陽師」~大江山編~』が11日夜、北京天橋芸術センターで千秋楽を迎えました。中国限定・9都市全35回の夏公演は円満に幕を閉じました。
北京天橋芸術センター大劇場・千秋楽のカーテンコール
ミュージカル「陰陽師」は中国発のコンテンツを日本の制作陣が舞台化したことで話題を呼んでいます。主催は中国のゲーム会社「ネットイースゲームズ(網易遊戯)」と北京に拠点を置く運営会社「璞潤国際」、制作担当は東京都に本社を置く舞台企画・制作会社の「ネルケプランニング」。6月14日の上海初演を皮切りに、鄭州、成都、重慶、長沙、武漢、西安、天津、北京の9都市で35公演が実施されました。主催者発表によりますと、35回の延べ動員数は5万人に上り、一部の都市ではチケットが販売開始から1時間足らずで売り切れたということです。
同ゲームに基づくミュージカルの中国公演は、昨年に続いて2作目です。昨年、良知真次らが出演した『ミュージカル「陰陽師」~平安絵巻~』の成功を踏まえ、今年は夏と冬の2回に分けて中国14都市で60公演を実施することが決まりました。新作「大江山編」は前作に引き続き、演出・脚本・作詞を毛利亘宏、音楽を佐橋俊彦、振付を本山新之助というミュージカルの「ゴールデントリオ」が手がけ、キャストには新しい顔ぶれの森田桐矢、武藤賢人らが起用されています。夏の9都市に続いて、年内に中国での冬公演が予定されているということです。
千秋楽のステージは1500人収容の会場が満員になり、大きな拍手とファンたちの声援が響き渡りました。カーテンコールの際に妖刀姫役の長谷川唯さんは中国語の自己紹介で会場を沸かせ、「中国の首都北京の舞台に立てたことを光栄に思う。この公演が中国の皆さんの夏の思い出になるよう気を引き締めて頑張ってきた」と挨拶しました。
天橋芸術センター外観
(左)開演前の様子(右)開場を待つ観客の列
8月10日午後の劇場ロビー、特設の「陰陽師」鳥居をバックに記念撮影する来場者たち
(左)入場の列(右)願掛けの桜の木のコーナーでしおりをかける来場者
来場者のうち、原作ゲームのファンだという30代の男性は「役者たちのパフォーマンスは素晴らしく、照明などの演出も良かった。特にバトルシーンが刺激的で好きだ」と話し、コスプレ姿で来場した女子学生は「ゲームが原案の2.5次元ミュージカルを見るのは初めて。もっと知りたくなった」と感想を聞かせてくれました。
ミュージカル「陰陽師」は日本語劇でありながら中国ツアーがメインで、日本ではプレビュー公演が1回行われるのみとなっており、正式公演の日程は現在のところ発表されていません。そのため、今回のツアーに合わせて中国各地の会場を回ってきた日本人ファンたちの姿もありました。出演俳優の追っかけとして千秋楽にも来ていた20代女性3人組は「海外での観劇は初体験で、中国の観客たちのリアクションの大きさに驚いた。特にカーテンコールは日本より盛り上がって嬉しくなった」、「海外で困ることもあったが、劇場で知り合った中国人の優しさに助けられた。人の心が温かい国だという印象を持った」、「辛い食べ物が得意になった」など、観劇旅行をきっかけに中国が身近に感じられるようになったと話してくれました。
「陰陽師」はネットイースゲームズが日本の開発チームを起用して制作したスマートフォン向け3Dロールプレイングゲーム(RPG)で、2016年9月に運営が開始されました。平安京を舞台とする美麗なグラフィックと豪華声優陣の起用で話題となり、全世界で2億ダウンロードを突破。日本では「陰陽師本格幻想RPG」のタイトルで2017年2月に配信が開始され、5カ月で300万ダウンロードを突破しています。
劇場内の公式グッズストアに並ぶ列
ネットイースゲームズによりますと、ゲーム「陰陽師」の関連グッズはこれまでに600種類以上が開発され、販売数は累計100万点を超え、売上は2019年末までに2億元に達する見込みです。なお、同ゲームを原案にしたアニメーションや映画化の準備も進められており、同社は版権(IP)を活用したメディアミックス展開により「陰陽師」ブームの長期化を狙うとしています。
見栄を切る主演の8人
今作の主人公に当たる鬼切(おにぎり、演:森田桐矢)
今作のヒロインの一人、妖刀姫(ようとうひめ、演:長谷川 唯)
(取材:王小燕、趙芸莎、梅田謙/写真提供:@Musical OMJ 2019)