北京
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23/19
G20大阪サミットが29日に「大阪宣言」を採択して閉幕しました。日本の学者らはCRI大阪サミット特派員のインタビューに対して、今サミットの開催意義を積極的に評価した上で、世界経済や政治情勢が不明瞭な背景の下、平和的に共に発展していくこと、中日が提携して多国間自由貿易体制をリードしていくことに期待を寄せました。
アジア開発銀行研究所の吉野直行所長
アジア開発銀行研究所の吉野直行所長は、今回のG20サミットは経済や貿易問題だけでなく、海洋プラスチックごみ、高齢化、教育、インフラ、女性のエンパワーメントなど、多くの人にとって共通した関心のある問題を議論し、それを宣言に盛り込んだことで成功したサミットだったと振り返りました。その上で、貿易戦争は世界経済を冷え込ませる危険性があると指摘し、中米両国に交渉を通じて問題の早期解決を目指すことを求めました。
さらにアジア域内各国の連携強化には「大きなポテンシャルがある」としています。吉野所長は「今までは、アメリカと欧州が主導で世界全体が動かされていたが、これからはアジアの中で互いに貿易や資本取引をすることがアジア全体の成長につながると思う。日本、中国、韓国を含めた北東アジアの人たちが手を結んで、より自由で、アジアの中でもっと互いに成長できるところを目指すべきだと思う」という考えを示しました。
兵庫県立大学の五百旗頭真理事長
また、政治学者で兵庫県立大学の五百旗頭真理事長は、「協調、安定した世界の経済関係の構築がほとんどの国の期待である。それに対して、米国は貿易の不均衡が直らなければ、関税を高くすると言っているが、これは自由貿易の原則に反する。世界の自由貿易と国際協調は、日中の協力でリードするほかない」と語りました。
五百旗頭氏は、トランプ米大統領の唱える「アメリカファースト」と「一国主義」への危惧と不安は日中が共有していると指摘し、「日米に同盟関係がある中でも、日本は米国と相対的な独自の立場、独自の路線を取って、欧州と中国のどちらとも良好な関係を築くこと」の大事さを強調しています。
また、中国による「一帯一路」共同構築に関するイニシアティブについて、「周辺国の経済発展に必要な資金を提供する意味では良いことである」とし、安倍首相による「日本も良いプロジェクトについては協力する」という姿勢を評価しています。その上で、これまで約6年にわたる実践を通して、「中国は注意深く世界の発言を聞き入れている」と評価し、「難しい世界だが、平和的に一緒に発展していくことができれば嬉しい」という見通しを示しました。
五百旗頭氏は多国間自由貿易体制の重要性を指摘し、中でもWTO改革について、「中国はWTOのシステムのもとで豊かになれた。今後は良き協力者、良きメンバーになって、ゆっくりと内側から自分の立場を強化するという姿勢を取ることが必要だ」と中国に期待を寄せました。そして、「まだまだ不十分なWTOの制度であるため、欧州、日本、米国、中国が一緒になって、より良い制度を作っていく必要がある。今までの制度が完全とは誰も思っておらず、色々と欠点がある。G20はそれをより良いものにしながら、一緒に発展していくことを考える場にしてほしい」と展望を語りました。(王小燕、斉鵬、李轶豪)