北京
PM2.577
23/19
今年の北京のバレンタインデーは久しぶりの大雪となりました。空いっぱいの雪は市民たちに幸せをもたらす「瑞雪は豊年の兆し(瑞雪兆豊年)」となっただけではなく、カップルたちにもサプライズを届けました。今回の中国メロディーは雪にまつわる音楽と物語をお送りしましょう。
紫禁城の純愛
大雪が降った後、北京は真っ白な雪に覆い尽くされ、一面の雪景色となりました。雪化粧した広大な紫禁城は、まるで幻想的な宮殿のように不思議な魅力を放ちます。絵画のようなその光景は、数百年前に繰り広げられた清王朝の前庭と後宮の駆け引きや色恋沙汰のシーンを目の前に浮かばせるようです。
去年、中華圏で大ヒットした時代ドラマ「瓔珞<エイラク>〜紫禁城に燃ゆる逆襲の王妃(原題:延禧攻略)」では清の時代の後宮で繰り広げられた駆け引きなどを描くと同時に、乾隆帝と富察皇后の真摯な愛情も多くの視聴者を感動させました。
歴史上では乾隆帝と富察皇后は高貴な身分であるものの、普通の夫妻のように生涯愛し合い、皇帝家族としては非常に珍しい話となり、今も美談として伝えられています。乾隆帝は生涯に渡って数えきれない詩作を作りましたが、亡妻・富察皇后を偲ぶ詩作は強い印象を残しました。80歳の時に作った「平生難尽述、百歳妄希延。夏日冬之夜、遠期只廿年(君と別れた40年間に多くを経験した。皆私が百歳まで生きてほしいと願うが、私は長生きしたくはない。君と早く会いたい」という詩句は時代を超えて人々を感動させる名句となりました。
まじめな雪
僕は君を愛した 僕自身を失うほどに
こんな真面目に愛していても
君はまだだめだと言う
上海は10数年ぶりに雪が降り始めた
君が別れを告げる瞬間に
ポップ歌手ジャッキー・シュエは2006年に「認真的雪(まじめな雪)」で一躍、時の人となり、さまざまな音楽賞を獲得しました。歌はジャッキー・シュエが彼女と別れた後に作ったもので、歌詞の一字一句はみなジャッキー・シュエの心の真実を写し、その優れた音楽的才能も余すところなく発揮され、多くの若者の共感を呼び起こしました。この歌は「シュエ式恋の唄」の代表作とされています。
歌はこのカップルの別れを予知するように上海という街が雪を降らせる様子を描きました。特に「僕は君を愛した 僕自身を失うほどに こんな真面目に愛していても 君はまだだめだと言う 上海は10数年ぶりに雪が降り始めた 君が別れを告げる瞬間に」という部分ではジャッキー・シュエの恋への未練と心の痛みを歌っています。
愛情の誓い
神様
私は彼と出会い 命のある限り心変わりすることなく
彼とともにありたいと願うのです
山に丘がなくなり 川に水がなくなり
冬に雷がとどろき 夏に雪が降って
天地が合わさるほどの天変地異が起きた時
その時に初めて 私は彼から引き離されるでしょう
「上邪」は今から2000年前の漢楽府の民歌で、ロマンティックな色彩が濃い恋の歌です。詩の中の女性の主人公は恋人にいつまでも変わらない愛を告白するため、神様に誓いを立てて、恋人と永遠に愛し合い、寄り添いたいと願います。「山に丘がなくなり 川に水がなくなり 冬に雷がとどろき 夏に雪が降って 天地が合わさるほどの天変地異が起きた時」というあり得ない状況が発生しない限り、女性は自分の愛情をいつまでも貫くとしています。彼女の愛情はまるでほとばしる溶岩のようにとても迫力があります。その情熱溢れる詩句に触れると、芯が通った女性の息遣いに耳を傾けることができるようで、「上邪」は情熱と生命で綴る恋の絶唱と言えるかもしれません。
番組の中でお送りした曲
1曲目 雪落下的声音(雪の降る音)
この歌は時代ドラマ「瓔珞<エイラク>〜紫禁城に燃ゆる逆襲の王妃」の主題歌で、男性歌手・周深が男性でありながらも女性のような優しく美しい歌声で恋人の心に残り続ける忘れられない愛情を表しました。
歌詞:
軽くて 私の手の中に落ちる
静かに 手の中で氷が張る
出会いは運命で予め定められているもので
辛いけれど 楽しみも満喫できる
2曲目 認真的雪(まじめな雪)
歌詞:
僕は君を愛した 僕自身を失うほどに
こんな真面目に愛していても
君はまだだめだと言う
上海は10数年ぶりに雪が降り始めた
君が別れを告げる瞬間に
雪は深くまじめに降る
僕の傷跡が雪に映し出される
僕はその積み重なる傷跡を気にしない
3曲目 上邪(神様)
この曲は漢楽府の民歌「上邪」を基にアレンジした同じタイトルの歌です。
歌詞:
神様
私は彼と出会い 命のある限り心変わりすることなく
彼とともにありたいと願うのです
山に丘がなくなり 川に水がなくなり
冬に雷がとどろき 夏に雪が降って
天地が合わさるほどの天変地異が起きた時
その時に初めて 私は彼から引き離されるでしょう