北京
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テイラー・スウィフト、ベネディクト・カンバーバッチ、トム・ヒドルストン……、世を騒がせる芸能界のビッグネームたち。そんな海外セレブの「ちょい長」な名前に戸惑うこと、ありますよね?それが中国語になると尚更、「泰勒・斯威夫特」「本尼迪克特・康伯巴奇」「湯姆・希徳勒斯頓」……、一目見ただけで「面倒くさい!」と思う人も多いハズ。そのため中国では、彼らを呼びやすくする目的でファンたちが愛称を付け、それが定着するという、ユニークな現象が起きています。
このシリーズでは、海外セレブたちの中国での愛称を解説付きで紹介!理由を聞けば納得間違いなしの様々な「ニックネーム」は、話のネタだけでなく、中国の「今」を理解する鍵にもなることでしょう!
第22回は、「~爺(爷)」という愛称で呼ばれるスターを特集します。文字通り「おじいちゃん」という意味の漢字ではありますが、愛称としては、年齢・性別はあまり関係なく、貫禄や存在感のあるビッグネームを仰いで使われているようです。国内の例では、周星馳(チャウ・シンチー)は「星爺」、女優の範氷氷(ファン・ビンビン)は「範爺」として親しまれています。さて、海外では誰が該当するのでしょう!
坎爷(kǎn yé)
本名:カニエ・ウェスト/坎耶·维斯特(米歌手)
米国のラップ歌手、カニエ・ウェストは米ヒップホップ界の大御所の一人。「親爺(おやじ)」的存在かもしれません。中国名の「坎耶」の「耶」を発音の似た「爷」に置き換えたスタイルの、堂々たる愛称です。ところで、彼の名前が中国で有名になったきっかけは、実は音楽ではなく、ドイツ発のスポーツウェアブランド「アディダス」とコラボしてプロデュースしたスニーカーシリーズ「YEEZY(イージー)」です。中国ではこのスニーカーにも「椰子」と愛称が付けられ、大人気商品となっています。「坎爷」は私生活でも、リアリティスターのキム・カーダシアンとの結婚生活がSNS上で日々話題を呼んでいます。
督爷(dū yé)
本名:ジェフ・ブリッジス/杰夫・布里吉斯(米俳優)
ジェフ・ブリッジスは、『クレイジー・ハート』(2009)による5回目のノミネートで第82回アカデミー賞・主演男優賞を受賞した米国の実力派。さらに今年は、長いキャリアでさまざまな役をこなしてきたことから、第76回ゴールデングローブ賞の特別功労賞にあたるセシル・B・デミル賞を受賞しました。そんなジェフ・ブリッジスの中国での愛称は、彼が出演する名作『ビッグ・リボウスキ』(1998)に由来しているようです。ジェフ演じる主人公のあだ名は「デュード」、発音は中国語の「督」に似ていて、劇中で「督爷」と翻訳されています。それがそのまま、ジェフの愛称として使われ続けているわけです。
潮爷(cháo yé)
本名:マーティン・フリーマン/马丁·弗瑞曼(英俳優)
2010年からのドラマシリーズ『SHERLOCK/ シャーロック』にワトソン役として登場し、シャーロック役を演じるベネディクト・カンバーバッチ(中国愛称:巻福)とのコンビで共に大ブレイクを果たしたマーティン・フリーマン。「潮」とは中国語で「おしゃれ」「シック」「トレンディ」「ファッショナブル」などという意味。フリーマンは大のおしゃれ好きとして知られ、日ごろから服のコーディネートに気を配っているほか、インタビューなどでもおしゃれなトークを披露しています。中国でもすっかり、芸能界のおしゃれ番長のイメージが定着しているようです。
(ミン・イヒョウ、梅田謙)