北京
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1月下旬に入り、一年中で最も寒い時期がやってきました。それと同時に中国の伝統的な祝日・春節も近づいています。ここ数年、春節は中華圏の人々が祝う祝日だけでなく、海外の人々が中華文化を味わうものにもなっています。2011年、中国の有名な音楽作品「梁山伯と祝英台」がウィーンの黄金音楽ホールで演奏され、両腕がないピアニスト・劉偉は足を使ってピアノを演奏し、多くの人々に感動を届けました。今回の中国メロディーは、両腕のないピアニスト・劉偉の音楽人生をお話しましょう。
ウィーン黄金ホールで頭角を現す
数年前の旧正月の期間に、春節音楽会がウィーンの黄金ホールで行われました。演奏に参加する金髪で青い瞳の演奏家たちの中に、一人の痩せた中国人の若者がいました。その若者は微笑んで舞台の真ん中まで進み、彼が観客たちにお辞儀をした時、観客たちはみな彼が両腕のない障害者だと気づきました。
彼は特注の大きいピアノ椅子に座り、両足で「梁山伯と祝英台」を演奏し始めました。美しく切ない旋律が彼のつま先から流れてくると、みんなこれほど見事な演奏が足で奏でられたことに驚きを隠せませんでした。曲を終えると、すべての観客はこの若者に嵐のような拍手を送り、素晴らしい演奏に敬意を表しました。この時、観客たちはこの若者の名前を胸にしっかりと刻み込んだことでしょう。
パラリンピックのチャンビオンになりたい!
劉偉は幼いころ、他の子供と同じように健やかに成長しましたが、10歳の時に感電事故で両腕を失ってしまいました。残酷な現実に直面し、母親の励ましの下、劉偉は足で衣服を着ること、食事を摂ることなどのセルフケアを学び始めました。また、水治療法のリハビリを通じて自分は普通の人と同じように水泳することができると気付くと、彼はパラリンピックの水泳のチャンビオンになりたいという夢を抱きました。14歳の時には全国身体障害者スポーツ大会の平泳ぎ50メートルで優勝し、翌年、この種目で連覇を果たしました。劉偉が2008年のパラリンピック出場に向けて準備していたところ、アレルギー性紫斑病と診断され、激しい運動が制限されてしまったため、彼のパラリンピックの夢は破れることになりました。
早く死んでしまうか、あるいは素晴らしく生きるか
運命の神様は劉偉が19歳の時、目の前に開かれたチャンスのドアを閉じてしまいました。パラリンピック出場の夢を叶えることができず、人生の交差点に立った彼は、今後の道をいかに歩むのかを考えました。
真剣に考えた末、劉偉はすべての人を驚かせる答えを出しました。彼は両親に「俺は音楽創作に携わりたい」と告げました。しかし、音楽面の知識がまったくゼロだった彼にとって、あまりにも無謀な決定と言えます。音楽作品を創作するために、鍵盤楽器の習得が必要と考えました。劉偉はピアノを選びましたが、身体障害者を対象とする音楽学校がほとんどなかったため、彼は独学の道を歩まざるを得ませんでした。一日でも早く習得するため、彼は毎日、最低でも7時間以上ピアノを練習しました。足に擦り傷ができ、痺れたことなどもありましたが、これらは音楽の夢の妨げにはなりませんでした。彼はわずか一年の努力を経て、ピアノ専門7級のレベルに達しました。
2010年、劉偉は「チャイナズ・ゴット・タレント」に出場して優勝し、ようやくチャンピオンの表彰台に上りました。司会者は「なぜ、足でこれほど素晴らしい音楽を弾けるのか」と尋ねると、彼は「俺の人生には二つの道しかない。早く死んでしまうか、あるいは素晴らしく生きるかだ。ピアノを手だけで引くルールは誰が決めたことだろうか?」と答えました。
「中国を感動させた人物」の表彰台へ
2012年2月、劉偉は「2011年中国を感動させた人物」として選ばれました。CCTVで開かれた授賞式の表彰台に立った彼は、両腕がないため痩せて弱々しく見えましたが、その目は明るく確かな強さを持っていました。劉偉の運命はあまりにも残酷でしたが、彼は強固な意志で生命の奇跡を作り出しました。彼は「今後もしっかりと毎日を送り、素晴らしい音楽プロデューサーの道を引き続き進んでいく。これは俺が生涯求める目標だ」と語りました。
番組の中でお送りした曲
1曲目 梁山泊と祝英台
この曲は中国の民間伝説をモチーフにした音楽作品で、梁山泊と祝英台の悲しい恋の物語を描きました。
2曲目 夢想的符号(夢のシンボル)
この歌は劉偉が作曲、作詞を担当し、自らが歌うアルバム「随心所欲(思いのままに)」の一曲です。
歌詞:
君は知っていた 見ていた
夢は僕たちのシンボルだ
微笑み 不思議 忘れがたい
僕は知っていた 見ていた
粘り強いことは希望の材料だ
3曲目 愛的代価(愛の代価)
この歌は、劉偉が「チャイナズ・ゴット・タレント」で自ら演奏して歌ったものです。
4曲目 美麗的回憶(美しい思い出)
この歌は劉偉が作詞を担当し、名歌手・アンディ・ラウが歌ったものです。
歌詞:
僕はここに立って
君に最も美しい思い出を送る
君に僕の努力を送る
君の励ましはいつまでも心の中に残される