北京
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映画のポスターに欠かせない「キャッチコピー」に注目したことはありますか?中国では近年になって、さまざまなキャッチコピーを見かけるようになりました。短い言葉に映画の魅力が凝縮されていて、中には「この映画を観たい!」と思わずにはいられなくなるような名文句もあります。中国語のキャッチコピーの意味を知ることは、映画への理解を深めるだけでなく、日本の皆さんにとって中国語学習の良き教材となることでしょう!
今月の『映画のキャッチコピーに学ぶ』は番外編として、英国の映画雑誌『Little White Lies』が選んだ世界の映画ポスターについてご紹介します。
『Little White Lies』が発表した「世界の映画ポスター・トップ・トゥエンティ2018」にて、第1位に選ばれたのは日本映画『万引き家族』のポスター。ただし、入賞したのは2018年8月3日に中国で一般公開されたときに制作された中国版スペシャルポスターです。
『万引き家族』中国版ポスター
軽犯罪を重ねる一家の姿を通して人と人とのつながりを描いたヒューマンドラマ『万引き家族』は、今年の第71回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品され、日本映画としては1997年の『うなぎ』以来21年ぶりとなる最高賞「パルムドール」を受賞したことで、中国でも大きな話題となりました。この作品は8月の中国一般公開に先駆け、2018年6月に行われた上海国際映画祭への出品を果たしており、是枝監督本人も映画祭出席のために上海を訪れました。
「世界の映画ポスター・トップ・トゥエンティ2018」第1位に輝いたこの中国版ポスターですが、中国人デザイナー、黄海氏が映画の中国一般公開に合わせて手掛けたもので、浮世絵の味わいを感じさせるノスタルジックなデザインが好評を博しました。キャッチコピーを配さず、中国タイトルの「小偸家族」に、スタッフ&キャスト、公開日、「第71回カンヌ国際映画祭パルムドール賞受賞」という基本情報だけのシンプルなデザインになっていますが、それも「侘と寂」という日本らしさの表現ではないかと言われています。ちなみに英国のBBCが2018年に世界各国で公開された映画を対象に選んだトップ・テンにおいて、この『万引き家族』は第2位に輝いています。2019年米アカデミー賞最優秀外国語映画賞を受賞できるかどうか、今から楽しみです。
さて、一方、「世界の映画ポスター・トップ・トゥエンティ2018」で第10位に輝いたのが、日本映画『となりのトトロ』のポスターです。そしてこちらも黄海氏が映画の中国一般公開に合わせて手掛けた中国版ポスターでした。
『となりのトトロ』中国版ポスター
『となりのトトロ』は、日本公開から30周年を記念してスタジオジブリが制作した最新デジタルリマスター版が2018年12月14日から中国で一般公開されました。30年前は中国での大規模な一般公開には至りませんでしたが、丸っこくて可愛らしいトトロのキャラクターはキャッチーな劇中音楽とともに中国で大ヒットし、今でも根強い人気を誇っています。こちらのポスターも『万引き家族』と同様、シンプルな作りになっていますが、基本情報のほか、「2018、12、14擁抱温暖(暖かく見守ろう)」というキャッチコピー的なフレーズが配されています。
残念ながら「世界の映画ポスター・トップ・トゥエンティ2018」に中国映画は選ばれませんでしたが、その一方で中日映画交流の成果が花を咲かせる形となりました(ミン・イヒョウ、謙)