北京
PM2.577
23/19
2018年年末特別企画(6回)何かが変わったシリーズ
第1回 政策 編
【“双创”升级版】(shuāngchuàng shēngjí bǎn)[固]双創政策アップグレード版.
「双创」は、去年も取り上げたことのある言葉ですね。中国経済の新たな成長エンジンとされる「大众创业 万众创新(大衆による起業、民衆によるイノベーション)」という政策を省略した言い方です。このコンセプトは2014年9月の夏季ダボスフォーラムで提起されたものです。元来、0から1への展開を欠いていた中国の各種の産業を活性化するための政策で、学校によってはキャンパス内に「双創センター」という建物が建てられていることもあります。
去年8月、国務院から「双创」のさらなる推進に関する『意見』が公布されました。これは2014年の政策のバージョンアップ版とされるもので、「双创」をより広い範囲で、より高レベルに、より深く推進していく、という国務院の考えを表すものです。
ここでいう、①より広範囲というのは、これまでの重点分野であるインターネット+(プラス)をさらに拡大し、中国製造2025、軍民融合発展、次世代人工智能(AI)までを加えたものです。また、参加主体も多様になり、これまで中小零細企業がメインだったものが、今回は大手企業まで取り込む形で進めています。②より高いレベルというのは、科学技術の関与比率をさらに高めるという意味で、③より深く推進するというのは、イノベーションと実体経済の融合を深め、新しい技術や業態、モデルの発展と産業構造の最適化とアップグレードを促すことを言ったものです。
これまでも中国では、「中国制造2025(中国製造2025)」や「中国创造(クリエイテッド・イン・チャイナ)」などのスローガンが発表されてきましたが、この「“双创”升级版」もそれらと並ぶものと言えます。つまり、みんなで力を合わせ、様々な分野で、実用性が高くクオリティも高いオリジナルの中国製品を作ることを政府が後押ししていく、という思いが強く現れた政策といえるのではないかと思います。
【智慧城市】(zhìhuì chéngshì)[名]スマートシティ.
情報技術と通信技術を活用して、都市運営システムの各情報を収集、分析、統合することにより、生活、環境保護、危機管理、都市サービス、商業活動などなどを含む様々なニーズに効率的なレスポンスを提供する構想を指すのがこの「智慧城市」でしたね。
この「智慧城市」を造る目的は、「情報技術を駆使した都市の管理と運営の実現」にあります。これは中国では既に一般的な概念になっていますが、世界各国の動きはまちまちのようです。
スマートシティは、よく「数字城市(デジタルシティ)」、「感知城市(センシングシティ)」、 「无线城市(ワイヤレスシティ)」、「智能城市(スマートシティ)」、「生态城市(エコシティ)」、「低碳城市(ローカーボンシティ)」など、地域開発に関する概念と混用されています。また、Eガバメントやインテリジェント・トランスポーテーション・システム、スマートグリッドなど、様々な業界のIT化コンセプトと共に用いられたりしています。
ここから分かることは、「重点が違えば呼び方も変わる」ということです。そのカギとなる部分、つまり重点となる部分は、①「テクノロジーの応用方法」である場合もあれば、②「ネットワークと人の関与レベル」である場合もありますし、③「スマート効果」である場合もあります。
例えば、IT化の進んでいる都市では、人に優しいことと持続可能なイノベーションの二つの概念が強調されており、技術と人間が如何に呼応しあって、エネルギーの無駄のない、時短効果の上がる生活ができる都市を作るか、という点が重視されているようにです。
この捉え方から考えると、スマートさというのは、単にテクノロジーを使いまくるだけではなく、人間が如何に関与していくかという点も大事なことがわかります。こうした働きが進んでいくと、都市の機能やあり方だけではなく、ライフスタイルが本当に大きく変わりそうです。
中国政府はこのスマートシティへの取り組みを強めており、2017年末現在、中国では500の都市が「智慧城市」を建設中、或いは、スマート化に向けた建設目標を掲げています。大都市への人口集中と限界集落の増加に伴って、エネルギー面やITインフラに関するソリューションを提供することが喫緊の課題、という状況になっているのです。ですが、こうして国を挙げて早め早めに対策を打つことで、現在の生活をより便利にするだけでなく、将来に向けて資源の無駄をなくすことに繋がっていけばよいのではないかと思われます。