北京
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映画のポスターに欠かせない「キャッチコピー」に注目したことはありますか?中国では近年になって、さまざまなキャッチコピーを見かけるようになりました。短い言葉に映画の魅力が凝縮されていて、中には「この映画を観たい!」と思わずにはいられなくなるような名文句もあります。中国語のキャッチコピーの意味を知ることは、映画への理解を深めるだけでなく、日本の皆さんにとって中国語学習の良き教材となることでしょう!
今月の『映画のキャッチコピーに学ぶ』は、中国映画で初メガホンをとった岩井俊二監督の作品にスポットを当てて紹介したいと思います。
キャッチコピー:愿你,活成最好的样子(yuàn nǐ huó chéng zuì hǎo de yàng zi)
日本語訳:僕の願いは 君が最高の人生を送ること
岩井俊二監督の手による待望の初中国映画『你好,之華(Last Letter)』のキャッチコピーがこちらです。中国タイトルの「你好,之華」=「之華、お元気ですか?」に続く言葉としても捉えられます。本作は、中国タイトルとは違った趣きの英語タイトル「Last Letter」からも分かる通り、岩井監督自身のかつての名作『Love Letter』を思わせるもので、ヒロインの袁之嵐が姉の代わりに出席した同窓会で中学時代に思いを寄せていた男性と再会し、手紙での交流を始めるという、センチメンタルなラブストーリーです。「活成***的样子」というのは慣用句で、「***のように生きていく」「***のような人生を送る」という意味で使われます。
キャッチコピー:浪漫、凄美、异色、动作…一首教你心坎悸动的青春挽歌(làng màn qī měi yì sè dòng zuò…yī shǒu jiào nǐ xīn kǎn jì dòng de qīng chūn wǎn gē)
日本語訳:ロマンス、切なさ、異色、アクション…君の鼓動が止まらない青春の挽歌
岩井俊二監督の代表作『スワロウテイル』(1996)のキャッチコピーです。中華圏での一般公開は実現しなかったものの、近未来の架空の都市「円都(イェンタウン)」を舞台に、若者たちの姿を描いたこの衝撃作は中国でも大きな注目を集めました。このキャッチコピーは後に発売となったDVDのジャケットに配されたもので、映画の全体的な雰囲気が伝わるフレーズになっています。「心坎」とは、「心」の雅語的表現で、詩や歌などの文学作品によく登場します。「悸动」は「鼓動」や「トキメキ」の意味で、こちらも文学的な表現です。
キャッチコピー:一封寄往天国的情书,开启了两段刻骨铭心的爱情…(yī fēng jì wǎng tiān guó de qíng shū, kāi qǐ le liǎng duàn kè gǔ míng xīn de ài qíng)
日本語訳:天国宛てのラブレター、心に刻まれる2つの悲恋の始まり
岩井俊二監督の初中国映画『你好,之華(Last Letter)』のインスピレーションの原点ともいわれる名作中の名作『Love Letter』。ご紹介するのは、上映20周年記念台湾版ポスターに登場した、映画のストーリーが浮き彫りになるフレーズです。「情书」とはラブレターのことで、中国版タイトルにもなっています。「刻骨铭心」は四字熟語で、あまりにも印象深くて骨にも心にも刻み込まれて忘れられない様子のたとえです。
(ミン・イヒョウ、謙)