北京
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23/19
映画のポスターに欠かせない「キャッチコピー」に注目したことはありますか?中国では近年になって、さまざまなキャッチコピーを見かけるようになりました。短い言葉に映画の魅力が凝縮されていて、中には「この映画を観たい!」と思わずにはいられなくなるような名文句もあります。中国語のキャッチコピーの意味を知ることは、映画への理解を深めるだけでなく、日本の皆さんにとって中国語学習の良き教材となることでしょう!
今月の『映画のキャッチコピーに学ぶ』は、現時点で興行収入25億元を突破した話題のコメディー映画『西虹市首富(Hello Mr. Billionaire)』にスポットを当ててご紹介します。本作は数々の名作コメディーを世に送り出してきた喜劇団体「開心麻花」所属の人気コメディアン、瀋騰(シェン・テン)主演の2018年の新作です。タイトルにある「首富」とは一番の金持ちという意味で、「西虹市一の大富豪」という意味の題になります。西虹市とは「開心麻花」の2015年のヒット作『夏洛特煩悩(Goodbye Mr. Loser)』に登場した架空の都市であり、今作の舞台でもあります。瀋騰演じる主人公の王多魚はサッカーチームでゴールキーパーを務める冴えないプロ選手。試合に負けクビとなった王は人生のどん底に陥ったところへ、ある財団から「1ヶ月以内に必ず1億元を使い切るように」という不思議なミッションを受けることになりました。果たして、王はどうやって1億元を使うかこの映画の見所になります。
キャッチコピー:是金子总会花光的(shì jīn zi zǒng huì huā guāng de)
日本語訳:カネならいつか使い切る
これは、映画のテーマにぴったり合ったフレーズです。「金子」はもともと「純金」や「ゴールド」という意味ですが、話し言葉の俗語では「おかね」の意味合いもあります。ちなみに、「銀子」にも同じ使い方があり、「純銀」や「シルバー」のほか、「おかね」として日常会話に登場することも多いです。名詞の「花」は、ここでは動詞の「使う」です。不思議なことに、中国では「お金を使う」のときに限って「花」という動詞で表現します。さらに、名詞の「光」もここでは助動詞として、「~切る」という意味になります。「食べきる」は「吃光」、「飲みきる」は「喝光」であるように、「花光」は「使い切る」となります。実はこのフレーズは中国の熟語「是金子总会发光的」をもじったものです。「花」→「発」と一文字が違うだけで、意味がだいぶ違います。「发光」とは日本語と同じ「発光」=光を放つという意味で、「是金子总会发光的」は直訳すると、「金(ゴールド)ならいつか輝く」となり、「優れた人材なら、どこか片隅でくすぶることなく、いつか必ず世界へ羽ばたける日が来る」ということの喩えです。
(ミン・イヒョウ、謙)