北京
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上海市浦東新区には、国家タンパク質科学センターや上海スーパーコンピューターセンターなど、十数カ所の科学専門機関が集中しており、就職や起業のために国内外から多くの人材が集まっています。ここ浦東新区の、人材誘致の経験と秘訣に迫ります。
中国東部に位置する上海市は、90年代初頭に中国初の保税区が、2013年に中国初の自由貿易区が設立されるなど、中国の改革開放の歴史的プロセスと深くかかわってきた都市と言えます。
世界的な製薬会社・ロシュ社(スイス)の上海支社で総経理を務める周虹氏はドイツ国籍を持つ中国人で、幼少の頃から両親とドイツで暮らしていました。周氏は7年前に海外人材として帰国し、就職した一人です。
2017年6月、浦東新区に中国初の海外人材局が誕生し、海外から優秀な人材を誘致するための9つの措置が発表されました。この措置により、上海自由貿易試験区管理委員会の推薦を経ることで、周氏のような外国籍を持つ人材が上海に永住できる身分証明書を得ることができるようになりました。周氏はこの制度により、自由貿易試験区管理委員会の推薦を受けて永住身分証明書を得た海外人材の第一号となりました。
1990年4月、中国政府は浦東地区の開発と開放や、経済技術開発区と経済特別区に関する政策の実施を発表しました。それから2年後、同地区に浦東新区を設立することが採択されました。その後、人材誘致のための一連の措置が講じられ、環境が整備されました。誘致は、初期は広い範囲を対象に行われていましたが、やがて産業人材を対象とした誘致へと変わり、国内と国外、2つの人材市場を活用してきました。そして現在は、ハイテク産業の人材を引き付けるようになっており、行き届いたサービスを与えることで、彼らに良好な雇用環境と起業環境を作っています。
上海浦東国際人材発展センターの黄逸飛主任はインタビューを受け、組織、制度、仕事それぞれの面での革新を強調しました。そのうち、制度面の革新について、黄主任は「4月に人材発展35カ条が発表された。これにより、上海または国家の重点プロジェクトのミッションを担う外国籍職員であれば、中国の永住権を申請できるようになる。今後は、公共サービス、市場サービス、PR交流活動、オンラインサービスなどの場を提供していく方針だ」と説明しました。
データによりますと、2017年に上海市人的資源社会保障局は海外からの人材11万人以上を国内へと導いたということです。国家・上海重点プロジェクトに関連する外国籍ハイテク分野専門家プロジェクトと重点人材誘致プロジェクトには、計100件のプロジェクトがあり、1500万元が投資されているということです。今年3月末にかけて、上海は外国のハイレベル人材100人に『外国ハイレベル人材確認書』を配っており、この数は全国で最多となっています。調査によりますと、上海は6年連続で外国籍人材にとって最も魅力のある中国の都市となっているということです。
現在、優秀な人材こそが、科学技術のイノベーションと持続可能な発展を推進する上での重要な要素だという見方がなされています。中国の改革開放の新措置を実施するプロセスの中で、上海は優れた人材を活用することで、新たなパワーと活力を発揮しています。(殷、謙)
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