北京
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鹿児島県と清華大学との包括協定(MOU)締結5周年記念講座が18日午後、北京の清華大学で開かれました。
同大学の学生や教員を相手に、日本近世・近代史の専門家である、志學館大学人間関係学部の原口泉教授が「明治維新とアジア」と題する講座を行いました。原口教授は鹿児島県立図書館館長も務めており、NHK大河ドラマ「篤姫」「西郷どん」などの時代考証を担当したことで知られています。
▲清華大学の教壇に立つ原口泉教授
講座では、日本近代化の大きなきっかけである明治維新の革命としての性質や、薩摩藩が明治維新を主導できた理由など、歴史的な背景が詳細に説明されました。
また、「アジア諸国の近代化モデルといえる明治維新だが、このような政治革命を日本だけが短期間で達成できたのは、国際的な環境によるところが大きい。たとえば米国の南北戦争で日本への外圧が一時期緩んだ瞬間に、明治維新は達成されたと言える」として、当時の国際環境など客観的な分析も紹介されました。
原口教授は最後に「情報をいち早く把握し、その情報をアジア全体で共有することによって国際社会を切り開いていかねばならないという薩摩藩の当時の考え方は、今の時代になっても参考になるのでは」と問いかけました。
▲会場の様子
講座を受講した、アジア近代史に興味を持つ中国文学部1年生の女子学生は「今日の講座はとても勉強になった。日本の明治維新の背景、特に当時の薩摩藩の貿易政策などについては初めて知りました。興味深いです」と感想を語りました。
▲横山政子准教授による講演
今回の短期講座は鹿児島県と清華大学の包括協定締結5周年のほか、中日友好平和条約締結40年、明治維新150周年を記念して、清華大学が志學館大学の研究者を招くことで実現したものです。原口教授の講演の後には、同じく志學館大学の横山政子准教授(専門:中国近現代史)による講演も行われました。
▲集合写真 前列左3は清華大学日本研究センターの李廷江執行主任
記念講座は19日に天津市の南開大学、20日に遼寧省瀋陽市の遼寧大学、21日に北京外国語大学でも実施されます。(文・写真:劉非、梅田謙)