北京
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今月9日からチベットや北京での交流・訪問活動を行っていた「2018日本青年作家訪中団」が14日夕方、無事に日程を終えて帰国の途に就きました。団長を務めた日本中国文化交流協会評議員の中上紀さんは、北京を発つ前、今回の交流活動を高く評価して「これを機に、文学を超えた友好関係の発展につなげていきたい」と期待を寄せました。
中日平和友好条約の締結40周年にあたる今年、中国作家協会と中国駐日本大使館の招きを受け、日本中国文化交流協会からこの訪中団が派遣されました。メンバーは中上紀さん、柴崎友香さん、谷崎由依さん、阿部智里さんの女性作家4人で、9日に北京入りし、そのまま飛行機を乗り継いでチベット自治区のラサに向かいました。ラサでは2日間過ごし、チベット作家協会との交流会などに参加。そして12日に北京に戻り、中国作家協会、中国現代文学館、魯迅文学院、人民文学出版社などを訪問して、中国作家協会の鉄凝主席をはじめ、中国人女性作家や日本文学の研究者、翻訳者との間でそれぞれ座談会が開かれました。
作家で、中国現代文学館研究部・李洱主任(後列左から3人目)の案内により中国近現代文学展の見学を終えた訪中団と関係者
魯迅文学院日本文学翻訳クラスの受講生たちとの記念撮影。左端が中上紀団長
中上団長は、「チベットの作家との交流は今回が初めてのことで、色々な話が聞けて楽しかった。また北京では境遇が似ている女性作家とも出会えた。国は違っても同じ世界を生き、同じ空気を吸っているので、通じ合うものがあると実感した」と話しました。「中国では、ただ個人的な思いで書くだけでなく、中国文学を自らの手で作っていくという強い思いを抱いて執筆する作家が多くて、勉強になった」と、交流で受けた触発を振り返りました。
訪中団との交流に臨んだ大江文学の翻訳家・研究者で、浙江越秀外国語学院外国文化研究院の首席専門家、中国社会科学院外国文学研究所研究員の許金龍氏は、「中日両国が相互理解を深めるには、心の通う交流が求められる。文学は旗振り役を果たせると信じている」と話しました。さらに、中国の文学雑誌「作家」で、今回の訪中メンバーなど青年作家の自選作品の紹介や、自選集の翻訳出版に向けての準備も進めていくことを明らかにしました。
なお、一行の訪中は、中国作家協会と日中文化交流協会との協議に基づく相互訪問の一環として実施するものです。
(取材:王小燕)