北京
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九月の北京は、晴れやかな秋空と爽やかな風が心地良い季節となりました。2014年に放送されたテレビドラマ「紅高粱(赤いコウリャン)」の挿入歌「九児」は、美しいメロディーでヒロイン・九児の胸一杯に溢れる思いを表現し、多くの観客の心を打ちました。ここ数年、様々な名歌手がこの歌をカバーし、多種多様な楽器の独奏曲や合奏曲なども相次いで登場しています。今回の中国メロディーはそんな「九児」という曲の音楽の魅力を味わってみましょう。
「赤いコウリャン」の不屈の主人公・九児
テレビドラマ「紅高粱(赤いコウリャン)」は中国初のノーベル文学賞受賞者・莫言の長編小説「紅高粱家族(赤いコウリャンの家族)」を基に制作されたものです。
舞台は1930年代初め、山東省の没落した地主の娘・九児は親が金銭を得るためという理由で、ハンセン病にかかっている酒造所の息子と結婚しなければなりませんでした。その後、紆余曲折を経て、彼女は盗賊団の首領・余占鰲と愛し合うようになり、頭が切れる腕利きの酒造所の女性主人として成長しました。そして、抗日戦争勃発後、国が破れ、家族が危険の中に身を置かれていた時、九児は故郷を守るために自らの命を犠牲にして救いました。
譚晶が歌う感嘆すべき「九児」
実力派歌手・譚晶は去年、湖南省衛星テレビの人気番組「歌手」の中で「赤いコウリャン」の挿入歌「九児」を唄い、多くの観客を魅了しました。
目の前に広がる原野よ
棗の花が芳しい香りを漂わせる
コウリャンが熟して空を赤く染める
私はあなたが遠くに行くのを見送る
歌の歌詞には四つの句しかありませんが、三回繰り返して歌われます。譚晶はこの三回繰り返す中で、九児の気持ちを順に表現しました。
最初の部分では、譚晶の甘く優しい歌声は恋に落ちる九児の喜びと幸せを表しました。譚晶の歌声から九児の花のような美しい容姿と激しい炎が燃え上がる不屈の性格を感じることができます。2つ目の部分では、譚晶の切ない歌声は恋人が間もなく戦場に身を投じるものの、九児が名残惜しくて離れられない様子を再現しました。3つ目の部分では、譚晶は泣いているような、訴えているような悲しい歌声で「コウリャンが熟して空を赤く染める」を歌った後、曲の元のキーのさらに上の5つキーを上げて、九児が悲しみ、憤る心情を表わし、曲のクライマックスを迎えます。この時、目の前で恋人が重傷を負い、九児が敵軍をコウリャン畑の奥へと誘い込み、コウリャン畑でコウリャン酒を燃やして、敵と相討ちするという悲壮な場面が目に浮かぶようです。
愛に満ちたバイオリンが奏でる「九児」
テレビドラマ「赤いコウリャン」が2014年に放送されて以来、挿入歌「九児」は広く歌われるようになり、多くのアーティストは情熱と才能で自分の心の中の九児のイメージを描きました。
例えば、バイオリンバージョン、二胡バージョン、竹笛バージョン、ピアノバージョンなど、様々な特徴を持つ「九児」が生まれ、みなそれぞれに特色を備えています。特にバイオリンの表情豊かな音色は人々を広々とした山東大地へ誘い、メロディーを通して、この大地に暮らす人々の生々流転する溢れるほどの生命力を感じることができます。また、九児の限りない愛情と運命と戦う不屈の精神も込められています。
番組の中でお送りした曲
1曲目 譚晶バージョンの「九児」
歌詞:
目の前に広がる原野よ
棗の花が芳しい香りを漂わせる
コウリャンが熟して空を赤く染める
私はあなたが遠くに行くのを見送る
2曲目 バイオリンバージョンの「九児」