北京
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1978年に発足した中国の改革開放。それから40年の間に、中国映画には体制面から制作面まで、様々な変革が起こってきました。この40年の歳月は、中国映画の発展史ともいえるでしょう。その歴史の中で、変革の証として時代の変遷や幾多の盛衰を記してきたのが、「映画ポスター」です。ここで、その色あせることない異彩の数々をご紹介しましょう。
1999年に中影集団(CFGC)が発足。これは、海外作品を輸入する権利を政府に認められた国内唯一の映画制作配給グループで、中国の映画産業における「機関車」のような存在とされています。現在は45社の子会社や映画チャンネルなどをもち、総資産28億元に上る超大手に成長。さらに2002年に、中国映画界の新時代の狼煙ともいえる「映画館系列改革」を実施。映画史上最も重大な改革として知られるこの動きにより、当時国内に2000枚足らずであった映画スクリーンの数が、今では大陸だけでも5.4万枚に増え世界1位となりました。
世界的超大作『タイタニック(中国題:泰坦尼克号)』が1998年に中国で公開されました。3.6億元の興行成績により中国映画ランキングで国産・洋画総合ランキングで歴代1位に君臨。その記録は以降11年間にわたって塗りかえられずにいました。
『遥かな想い チャイニーズ・ドリーム in U.S.A.(原題:不見不散)』(1998)は、『夢の請負人(原題:甲方乙方)』につぐ馮小剛(フォン・シャオガン)監督の賀歳片(正月映画)第2弾。本作をきっかけに、主演の葛優(グオ・ヨウ)とは黄金コンビと称されるようになりました。
『初恋のきた道(原題:我的父親母親)』(1999)は張芸謀(チャン・ イーモウ)監督が両親への思い出をもとに制作した自伝的ラブストーリー。2000年の第50回ベルリン国際映画祭で銀熊賞を受賞。本作は、中国を代表する女優の一人、章子怡(チャン・ツィイー)の出世作としても知られています。
李安(アン・リー)監督の名作『グリーン・デスティニー(原題:臥虎蔵龍)』が2000年に中国で一般公開。翌年の米アカデミー賞最優秀外国語映画賞を受賞。中国映画のアカデミー賞受賞はこれが史上初であり、現在のところ唯一の作品でもあります。同時に、台湾の金馬奨や香港の金像奨最優秀作品賞にも輝いています。カンフーや東洋美学など、中国要素満載の作品であることから、中国文化が世界的に注目されるきっかけにもなりました。
中国上映が果たせなかった王小帥(ワン・シャオシュアイ)監督の『17歳的単車(北京の自転車)』ですが、2001年にベルリン映画祭で銀熊賞を受賞しています。また、日本ではアジアフォーカス・福岡国際映画祭2001での上映を実現。 自転車の争奪をめぐって中国社会の現実に迫った社会派作品の秀作です。
巨匠・張芸謀(チャン・ イーモウ)監督が唐代の詩仙、李白の詩に着想を得て、武侠映画に初挑戦した『HERO(原題:英雄)』が2002年に一般公開されました。出演陣にはオールスターを揃え、3000万ドルを投じた超大作で、同年最も注目された中国映画でした。この作品が「中国映画の超大作時代」の幕開けになったともされています。(ミン・イヒョウ、謙)