北京
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8月の北京は燃え立つような真夏になり、この厳しい暑さが続く日々には美しい音楽がひと時の涼をもたらしてくれます。今回と次回の中国メロディーは、中国で有名なオペラ歌手・雷佳の歌を特集してお送りします。
最も中国らしい歌声
雷佳は中国音楽界最高の栄誉とされる「金鐘賞」の受賞者で、中国青年歌手コンクールの金賞を受賞し、さらに世界で最大の規模を誇るグラミー賞の専門家に「最も中国らしい歌声」と評価された人物です。彼女が主演するオペラ「木蘭詩編(ムーランの詩)」は、世界の舞台で中国オペラの存在感を放ちました。
「ムーランの詩」は2004年、中国で有名なオペラ歌手・彭麗媛が主演したオペラです。2009年に中国解放軍総政治部歌舞団はこの劇を再演し、雷佳は二代目のムーランに選ばれました。ムーランという中国古代の女性英雄の毅然とした立ち振る舞いを表現するため、歌唱力を鍛えるだけでなく、毎日15キロもある鎧を着ながら剣の踊りなどの舞踊をひたむきに練習しました。この過酷な稽古は着ている服が汗で濡れてびしょびしょになってしまうほどでした。
2009年11月19日、「ムーランの詩」は日本の東京文化会館で公演され、大きな成功を収めました。公演が終わった後、皇太子は歌舞団の一行と会見しました。これは初の海外公演に臨んだ雷佳にとって、大きな励みとなりました。
努力に努力を重ねる
雷佳は1979年に湖南省の音楽好きな家庭に生まれました。幼いころから音楽の才能を発揮し、言葉がまだ話せない時でもテレビやラジオから流れる音楽を繰り返し口ずさむことができました。
1993年、14歳の雷佳は湖南省芸術学校に入学し、花鼓劇を専攻しました。芸術学校の3年間、彼女は努力を惜しまず、舞台の基本技術をしっかりと身に付けました。学校の卒業作品・花鼓劇「唐伯虎と沈九娘」で、彼女はヒロインに選ばれました。花鼓劇科の馬清蘭先生は彼女の当時の様子について「この劇の稽古で、雷佳は夏休みも冬休みも問わず、毎日稽古室で全身汗びっしょりになるまで練習していました。苦労をいとわず稽古し、先生たちの賞賛を得ました」と振り返っています。
中国オペラ界の新たなスター
芸術学校で基本技術をしっかりと身に付けるため、雷佳は1997年に優秀な成績で中国音楽学院声楽学部に進学しました。音楽学院に在籍していた期間、彼女は歌唱力でも芸術表現力でも飛躍的に進歩しました。特に、歌の内在的な感情を表現する面で非凡な才能を発揮しました。
2001年、中国音楽学院は「再別康橋(さらば、ケンブリッジ)」の舞台稽古をする時、先生は学生たちにこの劇の一部を歌わせました。雷佳が歌うと、彼女の歌声は多くの学生と先生を引き付けて、取り囲まれてしまうほどでした。みんなは教室の中に立っているこの少女が、何故こんなに素晴らしい歌声を歌うのかと驚き、感嘆しました。
そして、2001年12月「さらば、ケンブリッジ」は北京の人民芸術劇場で公演され、雷佳は素晴らしい歌唱力をもって中国オペラ界の新たなスターとなりました。
番組の中お送りした曲
1曲目 オペラ「木蘭詩編(ムーランの詩)」の第1幕第2場の歌のくだりです。この曲は中国古代の女性英雄・ムーランが父に代わって、男装して従軍することを決意し、両親と別れる時の名残惜しい気持ちを表しました。
2曲目 我的爱将与你相伴终生(私の愛は生涯あなたと伴う)
この曲はオペラ「ムーランの詩」のアリアで、ムーランが戦友・劉爽を偲ぶ女心を表しました。
3曲目 一首桃花(桃の花)
この歌は雷佳が出演した「さらば、ケンブリッジ」の一幕「一首桃花(桃の花)」です。「さらば、ケンブリッジ」は、中国の有名な女性建築家で詩人の林徽因の恋愛と結婚の物語です。「一首桃花(桃の花)」は、林徽因が病気で療養していた時に作った詩を基にアレンジされたもので、自然の万物が持つ美しい生命への賛美を表しました。