北京
PM2.577
23/19
1時間目 フォーカス:「長江経済帯」、イタズラ爺さん・奥田正彦さんのハンコ彫り:四水抱城斜
担当:王小燕、斉鵬
こちら北京は、湿度も気温も高い日が続いています。外で10分だけ歩いても汗だくになってしまいます。日本でも、日中の最高気温が統計史上の最高になったところが出て、熱中症で倒れた方も数多く出ていると聞いています。北京からお見舞い申し上げます。猛暑の中、水分補給など十分な対策を取るようお気を付け下さい。写真は、7月31日、北京の炎天下にも負けずに、きれいな蕾をつけたギボウシの花。
今週の番組、前半は「旬な話題」。中国で話題になっている「長江経済帯」構想についてご紹介します。注目されている理由や構想提出の経緯、具体的な目標など詳しくチェックします。上海、重慶の2直轄市のほか、江蘇、浙江、安徽、江西、湖北、湖南、四川、雲南、貴州の9省からなるこのエリアには、全国4割以上の人口とGDPが集まっています。
後半は毎月最終週にお送りする「イタズラ爺さん・奥田正彦さんのハンコ彫り」。今月の印文は、清の詩人・阮元の詩「呉興雑詩(ごこうざつし)」からの引用で、「四水(しすい)は城(しろ)を抱(いだ)いて斜(なな)めに」です。
2時間目 日本の産業の中心、武将のふるさと愛知!~愛知県上海産業情報センター・余語克昭首席代表に聞く
聞き手:王小燕
「日本の自治体職員在中国 加油」、今月はこの番組では、初めて取り上げる県です。「日本の心臓」に位置することで知られる愛知県です。ゲストには、愛知県上海産業情報センターの余語克昭首席代表をスタジオにお迎えしました。見学に訪れた大学生の皆さんからの質問を交えながら、歴史、文化、観光、産業、グルメなど多くの視点から愛知の魅力を語っていただきます。以下は余語さんのご案内からの抜粋です。
【昇龍道の入り口】
名古屋駅
この6月、愛知県は北京国際旅游博覧会(BITE)で、クレア(日本国自治体国際化協会)ブースにある「チーム昇龍道」に出展しました。「昇龍道」とは、愛知、岐阜、静岡、長野、福井、石川、富山の中部北陸地方7県に三重、滋賀を加えた計9県でつくる広域観光ルート。日本海に突き出た能登半島が竜の頭のように見えることから名付けられました。この昇龍道の入り口にあるのが 愛知県です。県内の中部国際空港へは、北京からは1日3便(デイリー2便、週5日の便が1便)、上海からは1日10便が就航しています。
【焼き物でつながる宜興・常滑】
中部空港近くにある常滑市は、日本では招き猫の故郷としても知られています。今では急須の名産地でもあるこの町は、100年あまりにわたり、江蘇省の宜興市と焼き物での交流をしてきました。そもそも、1878年に宜興から金士恒(きんしこう)氏という方が常滑を訪れ、急須製作の技法を伝えたことが始まりだとも言われています。2016年、宜興と常滑の焼き物業界団体間で「友好交流提携」を締結したのに続いて、今年5月には、常滑市と宜興市が「友好都市提携に向けた覚書」を交わしました。現在、両市交流の一環として、「急須でお茶を―宜興・常滑・香味甘美」と題した企画展を常滑で開催中。
大須商店街
【愛知ならではの産業観光】
愛知県は、自動車関連産業と航空機産業など、製造業が非常に盛んな土地。日本を代表する多国籍企業のトヨタ自動車の本社がここにあります。自動車などの輸送機器などを中心に、製造品出荷額は1977年から40年以上ずっと日本で一番。またボーイングの最新型機であるボーイング787の機体の35%は日本で作られており、その最大の製造拠点が愛知を中心とした中部地区。
そのようなものづくりの地域なので、産業をテーマにした観光施設も多い。中でも、昨年、今年と航空機関連の観光施設が立て続けにオープン。ひとつは、2017年11月にオープンした、飛行機をテーマにする体験型 博物館「あいち航空ミュージアム」。
もうひとつは、中部国際空港セントレアに、今年の夏にオープン予定の複合商業施設 「FLIGHT OF DREAMS」(フライト・オブ・ドリームズ)。本物のボーイング787の初号機の展示や、飛行機の魅力を最新のデジタルコンテンツで体験できるエンターテイメント施設となる予定。
【サムライと触れ合える愛知】
名古屋城
もうひとつのキーワードは「武将(サムライ)」。日本の戦国時代、日本を統一した「三英傑」の織田信長・豊臣秀吉、徳川家康は、みんな今の愛知県出身。最後に天下統一した徳川家康が部下を全国に配置したので、戦国時代の後260年間続いた江戸時代、全国の大名の7割は現在の愛知県出身であったと言われています。だから日本の全国の都市は、愛知県出身の武将が作った都市が多い。例えば、今の日本を代表する大都市である大阪は豊臣秀吉が、東京は徳川家康が作った街。他にも例えば、金沢(前田利家)、熊本(加藤清正)など。武将のふるさと愛知!
「尾張名古屋は城で持つ」と言われているくらい、名古屋のシンボルは名古屋城。天守閣は木造での再建を予定して現在閉館していますが、本丸御殿(お殿様の住んでいた御殿)は、今年6月に復元工事が完了し、いよいよ完全公開されました。
このほか、今年3月には名古屋城の名古屋城正門(南側)と東門(地下鉄市役所駅側)の2ヶ所に、新たな商業施設「金シャチ横丁」がオープンしました。飲食店のほか、歴史や知識を提供し「名古屋の魅力」を深く伝える文化的な拠点となります。ぜひお城とセットで訪れてみてください。
【ご当地グルメ】
味噌うどん
ウナギのひつまぶし
ご当地グルメの「名古屋めし」も、いま日本で大人気。手羽先は中国の方にもなじみやすいのか、名古屋市内の手羽先屋さんでは中国から観光に来られた方もよく見かけます。
なお、愛知県は中国語でも積極的に発信しています。詳しくは公式ホームページ「Aichi Now」の中国語ページをご覧ください。
(写真提供:愛知県上海産業情報センター)
【プロフィール】
余語 克昭(よご・かつあき)さん
1977年3月生まれ、愛知県日進市出身
1999年3月 南山大学法学部法律学科卒業
全日空トラベル㈱での勤務を経て、2010年4月に愛知県入庁(民間企業等職務経験者採用)、2016年3月愛知県上海産業情報センター(日本公益財団法人愛知産業振興機構上海代表処)首席代表に就任。