北京
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7月23日は暦の上では大暑。一年で一番、夏の暑さが盛りを迎える頃で、蛙の声、セミの鳴き声、雨音、花が開く音、賑わう人の声、風の音などの様々な夏の音は、まるで夏のソナタを奏でているようです。今回の中国メロディーは夏の音をテーマに音楽をお届けしましょう。
夏のソナタ
ある詩人は「夏は音がある季節 草が伸びる音 花が開く音 私たちがひっそりと大きくなる音だ」という詩句を残しています。
木の上から聞こえる「ミンミン」「コロコロ」「リンリン」という可愛らしい鳴き声はセミ、コオロギ、鈴虫が奏でる風情を感じさせます。また、「ドブン」「ドブン」と数匹の蛙が水の中に飛び込みます。すると突然、空で「ピカッ」と稲妻と共に「ゴロゴロ」と雷の音が聞こえてきて、そのすぐ後に風が吹いて木の葉が「ざわざわ」と騒ぎ出し、「ぽつぽつ」と雨が降り出しました。この時、すべての声は一斉に鳴き止み、雷、稲妻、雨の音しか聞こえません。
雨が止んで空が晴れた後、虹が空に現れるまで、虫たちは再び嬉しそうに鳴きはじめます。この自然のミュージシャン達がみな自分のリズムで高い声や低い声で歌う様子は、まるで夏のソナタを奏でているようです。
夏のミュージシャン・蝉
多くの人にとって一番夏らしい音はやはり蝉の鳴き声でしょう。夏のある日、初めてセミの鳴き声を聞いた時、その喜びは本当に言葉で表すことができません。その鳴き声はまるで夏の到来を告げる使者のように「夏が来た」と宣言しているようです。「ミンミン」という頑張る鳴き声はみんなに「私と一緒に夏の日差しを楽しみましょう」と呼びかけているように聞こえます。
セミの生命力溢れる鳴き声を聞くと、日々、忙しさの中で暮らす人にとっては気持ちがいら立って落ちつかないかもしれませんが、心が静かに落ち着いている人にとってはこの都会の喧騒の中で、「蝉躁林静(蝉の高らかな鳴き声は森林の静けさを際立たせる)」という中国古代の文人達が残した心の静寂を保つという考えが感じられるかもしれません。
日常生活の交響曲
1970年代生まれの私にとって、蝉の騒がしい声のほかに、近所から聞こえる音も夏の音と言えます。幼い頃、中央放送楽団のすぐ隣にある宿舎に住んでいたことがあります。クーラーがない時代には、夏になると、家々はみなドアを開けていたため、様々な音が各家庭から飛び出してきました。ご飯の時になれば、キッチンから鍋やお碗、野菜を切る音、夜になると時々聞こえる夫婦喧嘩の声、子供の泣き声、さらにバイオリン、クラリネット、トランペットなどを練習する楽器の音色が入り混じって、まさに日常生活の交響曲を奏でているようでした。
番組の中でお送りした曲
1曲目 風吹過的夏天(風が吹く夏)
歌詞:
昨日の夏を覚えている?
そよ風に吹かれる瞬間
すべてを吹き飛ばし
寂しさしか残らない
2曲目 寧静(静かな夏)
歌詞:
静かな夏 満天の星が輝いている
心の中に思いを隠す
あなたのことを恋しく思う
私は見えないふりをしながらこっそりと思う
あなたの温かい顔に触れるまで
蝉も寝入り 安らぎのうちに眠りにつく
3曲目 少年之夏(少年の夏)
歌詞:
海の匂いが少年時代の記憶に残る
蝉の音は午後の子守唄
風が吹く夏の美しい黄昏
憂いもない少年時代の日々が過ぎていく