北京
PM2.577
23/19
1978年に発足した中国の改革開放。それから40年の間に、中国映画には体制面から制作面まで、様々な変革が起こってきました。この40年の歳月は、中国映画の発展史ともいえるでしょう。その歴史の中で、変革の証として時代の変遷や幾多の盛衰を記してきたのが、「映画ポスター」です。ここで、その色あせることない異彩の数々をご紹介しましょう。
1988年は中国映画にとってめでたい1年でした。張芸謀(チャン・イーモウ)監督のデビュー作『紅いコーリャン(原題:紅高粱)』(1987)が中国初の金熊賞(ベルリン国際映画祭コンペティション部門のグランプリ)を獲得し、同年の第60回米アカデミー賞では『ラストエンペラー(原題:末代皇帝)』(1986)も最優秀作品、最優秀監督をはじめ9部門を独占する快挙を達成し、中国映画や中国文化の魅力が全世界に轟きました。
『開国大典』(1989)は、中国共産党が「三大戦役」に勝利した1949年1月28日から、中国建国の1949年10月1日までをドキュメンタリータッチで描く歴史映画で、中国の革命の歴史を題材とした作品群の中でも、一里塚的存在となった1本です。
呉子牛監督による『晚鐘』(1989)は、第39回ベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞した作品。抗日戦争直後の中国東北地方を舞台に、終戦を知らず洞窟に潜む日本軍の兵士たちと、彼らを降伏させようと説得する八路軍遺体収容小隊とのやりとりを描くもので、今でも類を見ない、戦争を生き抜く様々な人間像をリアルに反映した異色のヒューマンドラマです。
1990年には、姜文(チアン・ウェン)が主演を務めた、謝飛(シェ・フェイ)監督の『本命年』が中国映画として2年連続でベルリン国際映画祭銀熊賞受賞を果たしました。中国第4世代監督作品の中で、最もインパクトのある作品と称される本作は、かつての「禁欲時代」を生きる中国人の生き方を内向的な手法で表現し、西側の映画ファンにも衝撃を与えています。日本では「黒い雪の年」と邦訳されたこともあります。
黄健中(ホァン・ジエンチョン)監督の『過年』(1990)は、改革開放初期の中国農村を舞台に、ある一家の喜怒哀楽を通して、改革開放の潮流が中国人に与えた影響と衝撃を反映したドラマ映画で、中国社会で大きな反響を呼び起こしました。主演女優の趙麗蓉(チャオ・リーロン)はこの作品により東京国際映画祭最優秀主演女優賞に輝きました。ちなみに、本作は中国初の同期化ステレオ映画でもあります。
張芸謀(チャン・ イーモウ)監督、鞏俐(コン・リー)主演の『紅夢(原題:大紅灯篭高高掛)』(1991)は中国映画の名作。原作は蘇童の小説『妻妾成群』で、封建的倫理や道徳に縛られる女性たちの運命を描く悲劇の物語です。同年に第48回ベネチア国際映画祭で銀獅子賞を受賞したほか、翌年北米上映も果たし、260万ドルの興行記録を達成し、同年の米アカデミー賞最優秀外国語映画へのノミネートも果たしました。『菊豆』に続き、中国映画として同賞ノミネートは2回目。さらに、 2015年には、英の『エンパイア』誌に映画史上最優秀外国語作品第28位(大陸映画として最高順位)に選出されています。
『秋菊の物語(原題:秋菊打官司)』(1992)もまた、張芸謀(チャン・ イーモウ)監督×鞏俐(コン・リー)主演という黄金コンビによる代表作。中国の社会発展における法制面の問題を掘り起こした社会派作品で、同年、第49回ベネチア国際映画祭のグランプリ、金獅子賞をはじめ、中国の第13回金鶏百花奨最優秀映画とバンクーバー国際映画祭の最人気映画賞などを受賞。(ミン・イヒョウ、謙)