北京
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劉亦菲(リウ・イーフェイ)は1987年湖北省生まれの女優。フランス語学者の父と舞踊家の母を持つ彼女は、9歳の時に、母と共に渡米。少女時代はアメリカで過ごし、14歳のころに女優を目指して帰国しました。2002年にテレビドラマ『華の家族(原題:金粉世家)』で女優デビュー。続いて中国で大人気の武侠小説家・金庸原作のドラマ『天龍八部』のメインキャストにも抜擢されました。2003年には、台湾映画『五月の恋(原題:五月之恋)』に主演し映画デビュー。浮世離れした古典的な中国美人というイメージを持つことから、特に武侠作品の間で引っ張りだこの彼女は、2004年にはパソコンゲームを原作とした武侠ドラマ『仙剣奇侠伝』に出演。2006年7月に、役者の登竜門といわれる北京電影学院・演技学科を卒業しますが、在学中にも、同じく金庸原作の武侠ドラマ『神鵰侠侶』の主演を務めるなど、映画やテレビドラマの話題作への出演が相次ぎました。
日本では、主演ドラマ『天龍八部』の衛星放送が2005年6月から始まり、同年8月にソニー・ミュージックレコーズと契約して、1年間にわたって日本で歌やダンス、日本語のレッスンを受けた後、翌年7月にイーフェイ名義で日本語版のシングル『真夜中のドア』を発売して歌手デビュー、9月には日本語版のアルバム『All My Words』も発売しています。また、同時期に北京語アルバム『劉亦菲』を、中国をはじめアジア各地でリリース。女優としても歌手としても大活躍を見せました。
2006年9月からはスタンフォード大学に留学。2007年、アメリカの大手芸能事務所ウィリアム・モリス・エージェンシーと所属契約を結び、中国を代表する2大カンフースター、成龍(ジャッキー・チェン)と李連傑(ジェット・リー)の夢の競演で話題となった米中合作映画『ドラゴン・キングダム』にヒロインとして抜てきされ、ハリウッドデビューも飾りました。
それ以降、テレビ出演、広告や映画など幅広く活動を展開している劉亦菲ですが、今年もまた米国の大作映画にヒロインとして出演する動きが出ました。それは、中国に伝わる南北朝時代の有名な物語を原案にした、ディズニーによる実写映画『ムーラン』です。年老いた父親の代わりに男装して従軍する少女、ファ・ムーラン(花木蘭)が主人公のこの冒険物語は、1998年にディズニーによって長編アニメ映画化されています。その待望の実写版ということで、ムーラン役には1000名以上の候補が立てられ、その中から「古典作品での人気」や「高い英語力」などが評価され、劉亦菲が選出されたということです。ハリウッドでは、白人以外の人種の役に白人俳優が配役される「白人化(ホワイトウォッシュ)」が問題視されており、ディズニーはふさわしい中国人女優をキャスティングすることに全力を注いでいたという背景もあります。この作品は2020年に公開される予定です。(ミン・イヒョウ 謙)