北京
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23/19
真夏に入った七月の北京。太陽はまるで火の玉のようにじりじりと夏の空を照りつけています。この焼け付くような暑さをスイカ、アイスクリーム、エアコンでも避けることができない時、中国伝統音楽の名曲「流水」の中のさらさらと流れる清らかな川、「出水蓮」の中の美しく幻想的な蓮の花、それに「良宵引」の中のひんやりとした月光が一服の清涼感をもたらしてくれるかもしれません。今回の中国メロディーは夏に涼しさを届ける中国の伝統音楽をお送りしましょう。
出水蓮
「出水蓮」は晋の時代から伝えられてきた曲で、曲は三つの部分から構成され、蓮の花のさまざまな姿を生き生きと描きました。
一つ目は曲の冒頭部分で、朝霧の中、湖面にすらりと伸びている蓮の花や葉は、すがすがしい香りを放ちます。それはまるで水墨画のように目の前にゆっくりと広がっていきます。遠近感を感じさせながら曲のテーマへと誘います。二つ目は中盤部分で、泥の中で咲く蓮の花は暴風雨と戦います。その勇敢な姿とたくましい生命力を描きました。三つ目は曲の最後の部分で、暴風雨の洗礼を受けたあと、清々しい蓮の花から生気が溢れる様子を表現しました。
良宵引
「良宵引(良き夜~序曲~)」は中国語曲名では「引」という言葉を使っています。これは中国伝統音楽の種類の一つを表わします。曲名だけ見ると、月が明るい夜と月明かりの下の感動的な物語を思い浮かべる人が多いかもしれませんが、実はこの曲は隋の時代の有名な将軍・賀若弼が作曲したものだと言われています。
賀若弼は文武両道に優れた人物で、陳の国を攻撃する時、幾度も功績を立てたため、右武侯大将軍に任じられました。この曲は彼が辺境に駐屯する兵士たちと故郷を偲ぶ気持ちを表現しています。
曲の冒頭部分は倍音の旋律で、静かな夜に月明かりの下、友人たちと共に月を愛でたりする様子を表しています。中盤では人々がお酒を飲みながら、詩を作る場面を生き生きと描きました。そして、曲の最後は再び倍音を用いて、月光が湖を照らし、湖面の光に映えた波が清らかである情景を描きました。
流水
中国では古来より文人達は「達則兼済天下、窮則独善其身(貧窮したなら、一人その身を修養する。栄達したなら天下を救済する)」という理念を求めてきました。歴代の文人たちは志が実現できない時、自然に親しんだり琴を弾いたりして、琴の素朴で重々しい音色で心を落ち着かせました。
琴の音は小さく、公演で聞くよりも自身が楽しむ方が適しているとも言われています。また、琴は気心の知れた友人の間で心の交流を行う楽器とされています。特に、伯牙と鐘子期の真摯な友情を表す名曲「流水」は今でも多くの人々の心を打ちます。また、中国伝統音楽の代表作品として、アメリカの宇宙船のレコードに収録され、広大で果てしない宇宙に流され、宇宙で新たな友人を探しました。
番組の中でお送りした曲
1曲目 出水蓮
この曲は蓮を題材にした古筝曲で、泥の中から綺麗な花を咲かせる蓮の高潔な情操を表現しました。
2曲目 良宵引(良き夜~序曲~)
この曲は琴の名曲で、辺境に駐屯する兵士たちが故郷を偲ぶ気持ちを表現しています。
3曲目 流水
琴の名曲で、春秋時代に琴の名手であった伯牙が、高山や流水を思って琴を奏でると親友の鍾子期がそれを感じ取ったという物語から作られたものです。