北京
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場面や分野別によく使われる単語や短文をまとめたキーワード帳シリーズ
【居住環境編】
【租房】(zū fáng)[動+名]部屋を借りる.
【房产中介公司】(fángchǎn zhōngjiè gōngsī)[名]不動産仲介業者、エージェント.
【房东】(fángdōng)[名]家主.
【物业】(wùyè)[名]不動産物件.
【物业公司】(wùyè gōngsī)[名]不動産管理会社.
【业主】(yèzhǔ)[名]物件所有者.ネットの世界では、茶化して声調の違う同音の「野猪(イノシシ)」という言い方で呼ぶこともあります.
【业主委员会】(yèzhǔ wěiyuánhuì)[名]物件所有者委員会,(マンションなどの)管理委員会.
【城市住宅小区】(chéngshì zhùzhái xiǎoqū)[名]団地.
【社区】(shèqū)[名]コミュニティ.
【社区居民委员会】(shèqū jūmín wěiyuánhuì)[名]コミュニティ自治会.
【街道办事处】(jiēdào bànshìchù)[名]地区出張所.
「租房」をするには、日本の場合、まず不動産会社に行きますね。中国の場合も同じですが、そうした会社のことを「房产中介公司」、「房产中介」と言います。部屋を借りる、物件を買うというシチュエーションでは、「中介公司」とだけ言っても「不動産会社」として理解されます。
さて、借りる流れとしては、どの国も同様に不動産屋さんにつれられて物件を見て回る事になります。中国の場合、部屋が気に入ったら、物件の持ち主である「房东」または「业主」とも呼ばれる家主さんに直接会って契約することもあります。もちろん、不動産屋さんが借り上げているパターンも出てきていますので、相手はエージェントの人かも知れません。後者の場合は、不動産屋さんが物件を借りあげて、内装までしてしまいます。ちなみに中国では家の内装は自己責任とでもいうべきでしょうか、持ち主がやる事になっていますので、同じマンションの中を歩いても、2つとして同じ内装の物件に出会う事はありません。
ちなみに、不動産のことを中国語では「物业」と言います。これは香港から入ってきたと言われる言葉で、財産や資産など、資産として運用することのできる固定財産を指す言葉です。そして、その不動産物件の持ち主が「业主」とも呼ばれるわけです。
そして、こうした物件は、それぞれの団地或いは住宅地を意味する「住宅小区」(略して「小区」ということもあります)の中の一軒一軒を構成しています。そしてこの「小区」、日本的には団地としか呼びようがないのですが、中国の小区の場合、日本と違って必ずそのエリアを囲む壁があり、入り口には門番・ガードマンが立っています。
他にも、それぞれの「住宅小区」には「业主」の組織である「业主委员会」があります。この「业主委员会」は、その小区に物件を所有する「业主」の投票によって選出されるもので、その主な役割は、「业主」を代表して物件の管理会社に意見や要望を提出したり、「物业公司」の運営を監督し、評価したりする事にあります。
他にも、中国で街を歩いていると、「なんとか社区」という言葉をよく目にします。日本語ではコミュニティと訳されることが多いようです。先ほどの「小区」というのは「城市住宅小区」の省略した言い方で(他には「居民小区」とも言います)、一つの都市の、ある地域の中で、比較的独立した居住環境をもつ住宅地を指した言葉です。その周辺にはレストランやスーパー、幼稚園、学校、病院など、居住者に必要な関連施設がセットになっています。日本語では一般的に団地、住宅地と訳されています。一方の「社区」はこう見えても外来語の一種で、1930年代に中国の社会学者が英語のcommunityを「社区」と訳したことから、今日に至るまでに定着してきたものです。範囲は「小区」よりもう少し広くなり、いくつかの「小区」をまとめた、ある一定の面積のエリアを指す言葉になっています。日本では「地域共同体」とかそのまま「コミュニティ」などと呼ばれますが、要は一定規模の生活リソースを共有する地域社会と考えればわかりやすいのではないかと思います。
中国では、20世紀の後半から「社区建设(コミュニティの整備)」が国策とされるようになり、多くの地域では、それまでの「居民委员会」が「社区居民委员会」に改められ、政策の伝達と実施や、民意把握の為の末端組織となっています。なお、この委員会は行政システム上、「街道办事处」の管轄下にあります。
「街道办事处」は日本語で言うと「なんとか通り出張所」と理解して間違い無いでしょう。一見わかりにくい組織なのですが、機能的には日本の市役所・区役所の出張所のような感じのものです。そして、もう一つの「居民委员会」は、直訳すれば住民委員会となり、日本でいう自治会に近いものなのですが、中国の場合は何千人もの地域住民に関して、公安局の補助業務として治安維持のための補助作業をしたり、その他の役所の仕事のお手伝いもしています。以前の番組の中で、「编制」という言葉を扱ったことがありますが、この「社区居民委员会」は政府の仕事をするものの、行政システムのカテゴリーには入っておらず、「社区」で働く人は、なぜか「行政编制」にも「事业编制」にも入っていません。その活動は「社区干部」と呼ばれる人たちが主体になっていますが、この人たちは三年に一回の住民選挙で選出される存在で、あくまでも地域住民の自発的組織の形がとられています。その人数は地域内の住民人口に比例した人数が選ばれており、その人たちは政府から業務の委託を受けています。その補助業務とは、例えば地域に見慣れない人がいたりとか、何かおかしなものを売っているとか、住民同士の喧嘩があったとか、そうしたものが主で、そのような活動の過程で地域の情報を集約し、政府機関と連携して問題を解決することで、地域のおだやかな生活を守っていく、という、謂わば政府の意を汲む草の根組織のような存在となっています。