北京
PM2.577
23/19
聞き手:王小燕
2014年7月から不定期シリーズでお送りしてきました、「大野清司さんのテレビ人生」、いよいよ今回で最終回を迎えます。TBSドキュメンタリー「万里の長城」、「TBS世界遺産」など数々の番組で活躍してきた大野さんに、映像を目指す若者へのメッセージを伺います。
映像制作は少数の専門機材が使える人に頼っていた昔とは違い、今はスマートフォンがあれば、いつ、どこでも動画が撮れます。しかも、その撮られた動画が、すぐにインターネットにアップされ、世界中の人とシェアできます。こうした時代の変化を前に、プロダクション所属のテレビ人だった大野さんは、これをどうみているのか。また、このような時代だからこそ、プロのディレクターやプロデューサーに求められる素質とは何か。
「世の中には、抜群の才能に恵まれた人が確か少数います。同様に、この仕事にはどうしても向いていないかもという方も極少数います。しかし、それ以外の大部分の人、僕も含めて、平凡な人です。仕事を拒まずに、数をこなすことで成長すればよい。そして、そんな凡人の作った下手な映像ですが、人の心を揺さぶる力があるものがある。そんなことを忘れないで取り組み続けてほしい」と大野さんは言います。
そして、「それぞれの仕事にそれぞれの奥義がある。普通にやっているように見えることでも、じっくり見ると、その凄さが分かることもあります。まずは、そういったことを見抜く目を養うことです。それができれば、人間の厚みが変わってくるし、撮り方も変わってきます」と続けます。
さらに、「映像の世界では常に力の持っている人を求めています。基礎体力を身につけて、自分のスタイルを見つけ出せば、かならず活躍の場が訪れてきます。失敗の仕方にもよりますが、一度失敗しても、だいたいまたチャンスが訪れてきます。今、日本では映像の仕事がきつくて、この世界に進んで身を投じようと思う若者が少ないですが、これは逆に言えば、チャンスです」と若者たちを激励しています。
最後に、4年近く続いてきたこの不定期シリーズのエンディングでは、「世の中に多様な世界があります。色んな人がそれぞれの個性とやり方があります。それが全体となって、ふくよかで、奥行のある世界が作れたらいいなと思っています」と結びんでいました。
「映像を目指す若者へのメッセージ」というテーマで大野さんに伺ったお話の数々は、もはや特定の業種を乗り越え、自己さがしの旅をしている若者、キャリアデザインで悩んでいるすべての人にとって、参考になれる話でした。
シリーズ企画の最終回、ぜひお聞きください。そして、このインタビューをお聞きになってのコメントなどをぜひお聞かせください。ご感想、お問い合わせは riyubu@cri.com.cn宛てにお送りください。
【プロフィール】
大野清司(おおの きよし)さん
1949年、東京都生まれ。
東京大学卒業後、1974年に株式会社TBS映画社(現社名:TBS VISION)に入社。主にドキュメンターリ番組のディレクター、プロデューサーとして番組制作に係わる。特に、1979年からは海外取材番組を担当し、世界60ヵ国を取材。
【主な担当作品】
・『美をもとめて』シリーズ、『世界の子供たち』シリーズ
・『世界めぐり愛』シリーズ、『世界遺産』シリーズ
・『遥かなるアンコールワット』、映画『敦煌』公式記録VTR
・中日共同制作『万里の長城』(日本TBS&中国CCTV)
・TBS開局40周年記念番組『日本海大紀行』
・『緒形拳:シルクロード列車の旅』
その他、多数