北京
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キーワード①
【一卡通】(yìkǎtōng)[名]共通交通カード.
「一卡通」は1枚のカードにたくさんの個人情報や消費データを記録したもので、ユーザー情報の共有と集中管理を目的としたものです。主にスマート建築、デジタルコミュニティ、デジタル化キャンパス、移動通信、郵便、銀行、メディア、医療機関、交通機関などで使われています。コミュニティには「社区一卡通(コミュニティパス)」、企業には「企业一卡通(統合IDカード)」、学校には「校园一卡通(キャンパスIDカード)」があります。中でも一番良く知られているのは「市政交通一卡通(コミューターパス)」でしょうか。これは日本ではパスモ、イコカなどの愛称で知られているものです。
この市政交通一卡通は中国で十数年に渡って使われており、今日では中国の190都市の交通機関で利用できる全国共通カードまでが発行されるようになっています。今後、全てのカードが全国共通になる日も来ることでしょう。
北京の「市政交通一卡通」は「北京一卡通」とも呼ばれ、2006年から使われ始めたものです。20元のデポジットを払い、自分用のカードを作成、お金をチャージしておけば、バスの1元の運賃が6割引の4角になる、ということで、かなり素速く普及しました。
北京では2003年から、北京全市の121路線、計5169台のバスと、地下鉄13号線でテスト運営が始まりました。その後、2006年5月になると、紙の定期に取って代わって、バスや地下鉄、そして一部のタクシーでも使われるようになりました。さらに2007年からは、定期機能が取り消され、カードを持つ人に対してより優遇された価格を適用するようになりました。運賃の6割引もその時から始まったものです。
しかし、意外にもタクシーでは流行りませんでした。上海ではすんなりと流行したのですが、地方文化の差でしょうか、北京では流行りませんでした。紙幣を好む北京と、硬貨を好む上海といったケースもそうですし、コイン型のチケットを使う天津なども、同様な文化の違いとして対比すると、ちょっと不思議な感覚を覚えます。
最近ではスマホとも連携し、スマホに搭載されたNFC機能を利用して、スマホ自体をカード替わりにすることもできるようになりました。今年はさらに、バスや地下鉄でアプリで生成されるQRコードをスキャンして支払うこともできるようになっています。
北京市内には日本と同じく地下鉄の指令センターがあり、そこの展示コースには地下鉄独自のQRコード改札の試験機が展示されています。これは北京の地下鉄専用のアプリで使うということで、今年の4月末には北京市の地下鉄の全駅に配置が完了しているとのことです。筆者は利用したことがないのですが、どんどんと増え続ける地下鉄の駅は、QRコードを中心に日進月歩で変化する中国の姿を感じることのできる場所にもなりつつあります。
さて、この「市政交通一卡通」の利用可能範囲ですが、今では交通期間だけではなく、駐車場、ガソリンスタンド、映画館、スーパー、コンビニ、ファーストフード、ベーカリー、自動販売機などでも使えるようになっており、利用可能範囲がますます広くなっています。
キーワード②
【降税】(jiàng//shuì)[動名]関税引き下げ.
ここの「税」は関税を指し、「降税」として関税引き下げの意味になります。今年7月1日から、中国は1449品目の日用消費品の輸入関税を引き下げることになります。平均税率を15.7%から6.9%まで引き下げ、同時に210項目の輸入品の最恵国暫定税率を取り消すとしています。
今回の引き下げ対象は主に日用品で、洋服や靴類、帽子、料理関連やスポーツ関連の商品までが含まれるほか、洗濯機や冷蔵庫などの家電製品、水産物、ミネラルウォーターなどの加工食品も含まれています。他にも、洗剤、スキンケア、ヘアケアなどの商品や健康食品も含まれると言われています。
これまで、中国人ツアー客が海外ツアーに参加する際には、「扫货」と呼ばれる、お店にあるものをまるで機関銃で掃射するように買いまくる現象が見られたものです。その後は海外のショッピングサイトで買い物をしたりと、方法も色々になりましたが、今回の関税引き下げによって、そんな苦労も必要なくなりそうな勢いです。
大人気の外国車の関税も下がります。同じく7月1日から、自動車の完成車及び部品の輸入関税も引き下げられることが決まっています。完成車輸入税率は、これまで25%と20%だったものを15%に下げることが発表されていますし、5%、10%、20%と25%に設定されていた自動車部品の税率も一律6%まで引き下げされるということです。これによって、中国の自動車輸入関税は3%から15%の間に抑えられ、発展途上国の平均レベルより低く収まることになります。
今度は国内消費に火が着くことになるのでしょうか。