北京
PM2.577
23/19
聞き手:王小燕
比較文学者で、映画史家の四方田犬彦さんにお話を伺います。
この1月に、四方田犬彦著『日本映画史100年』(集英社新書 2000年)の増補版『日本映画史110年』(同 2014年)が中国で翻訳出版されました(新星出版社、翻訳:王衆一)。これを記念するため、四方田さんはこの春、招きに応じて中国を訪れ、北京や西安などで講演会や交流会を開きました。北京で二日にわけて開かれた講演・交流会では、四方田さんは21世紀以降の日本映画、日本のアクション映画などをテーマに、映像を交えながら中国の映画愛好者に紹介し、来場者の質問に答えました。
北京での交流会が終わった後に、四方田犬彦さんにインタビューさせていただき、その内容を今週と来週に分けて、お届けします。
翻訳者の王衆一さんと共に臨んだ北京市内の交流会
今回の番組では、四方田さんに子ども時代の映画鑑賞体験、中国の第五世代監督の映画との出会い、シルクロードのスタート地点である西安での見聞に続け、『日本映画史110年』など一連の映画史著書の執筆によせた思いを伺います。
インターネットやデジタルメディアが普及した今では、映画の見方にも様々な変化が生じています。しかし、四方田さんはイタリアのオペラの歩んできた歴史を引き合いに、「決して悲観的思うことはない。どんな時代でも、映画館はきちんと残る」ときっぱり言いました。
微笑ましい少年時代の思い出もあれば、映画に対する深い愛が伝わる今回のインタビューです。ぜひお聞きください。
【プロフィール】
四方田 犬彦(よもた いぬひこ)さん
比較文学者、映画史家。
専攻は比較文学、映画史、漫画論、記号学。
1953年大阪府箕面生まれ。東京大学で宗教学を、同大学院で比較文学を学ぶ。エッセイスト、批評家、詩人。文学、映画を中心に、多岐にわたる今日の文化現象を論じる。明治学院大学、コロンビア大学、ボローニャ大学、テルアヴィヴ大学、中央大学(ソウル)、清華大学(台湾)などで、映画史と日本文化論の教鞭をとった。
著書は140冊に及び、この中の4冊が中国で翻訳出版。うち、『映画史への招待』でサントリー学芸賞を、『モロッコ流謫』で伊藤整文学賞を、『翻訳と雑神』『日本のマラーノ文学』で桑原武夫学芸賞を、『ルイス・ブニュエル』で芸術選奨文部科学大臣賞を受けた。詩集に『人生の乞食』『わが煉獄』が、訳書に『パゾリーニ詩集』他がある。
【リスナーのお便りから】
四方田犬彦さんのお話、とても面白かったです。「林のおばちゃんにちょっとようじ」って堂々と無料入場したり、学校サボって婦人警官に歩道された子供さんが成長するとこんなに素適な映画の神様みたいなおじさんになるのですね。痛快です。「映画を学問の対象として認めてほしい。映画の歴史と理論を美学の問題として大学で教える」という四方田氏の燃えるような想いを感じました。 (名古屋・ゲンさん)
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