北京
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四月中旬、緑の草や鮮やかな花が北方の大地を彩り、色彩豊かな凧が青空を飾っています。春は大地の香りと湿った潤いある息吹とともに、一歩一歩温かい南国から北方の大地にやってきます。今回と次回の中国メロディーはそんな春の足跡を辿って、皆さんと一緒に中国各地の春の絶景と音楽を探していきます。
大地の彫刻~元陽の棚田
立春以降、雲南省紅河州元陽にある森林や果てしなく広がる雲の海に包まれる山々の棚田は、まるで雲の中の段々畑のようで、壮大な美しさがあります。これらの棚田は地元のハ二族の人々が先祖代々残してきた傑作で、大地の彫刻と呼ばれています。
そんな棚田は季節によって異なる美しい風景を見せます。立春の後、水が一杯に注がれ幾重にも重なる棚田は、太陽の光に照らされて、キラキラと輝き、青空と白い雲の影は水田の中に映り、交錯する光と影の表情はまるで仙境に身を置いているようです。
そして、水田の中で忙しく作業する農家たちの姿とキノコのようなハニ族の住居から流れてくるハ二族の古い民謡から、高い山と崖の間で何世代にも渡って棚田を開墾するハ二族の堅忍不抜な精神を感じさせられます。こんな不思議な春の景色を作るハ二族の人々こそが大地の芸術家と言えるのかもしれません。
高原の春~百里の花の海
青い空、真っ白な雪山、一面の満開の桃の花……三月末、チベット自治区林芝県の桃花村では、雪山の麓でいろいろな姿の野生の桃の木がピンク色の花を咲き競います。延々と百里にもわたる野生の桃の木の花は、まるで花の海のようです。
初春の寒さが残る雪山の麓に、遠くに見える雪山の頂上の真っ白な雪、近くの山一面のピンク色の桃の花、青々とした麦畑、立ち上るかまどの煙……生気あふれる早春の絵巻が目の前に広がります。特に、ピンク色の桃の花は壮大な雪山の懐の中でより清らかで艶やかに見えます。そんなチベット高原の春の景色は最も美しい春の絵巻と称されます。
江南の春~婺源の菜の花
「世間の絶景はいつも奥深い山の中に隠され、最も素朴で温かい思いはいつも人の稀なところにある」と言う言い方があります。春の3月、中国江南地方の江西省、安徽省、浙江省の三つの省が接する婺源では一面の桃や梨の花、青々とした畑、黄金色の菜の花などが白壁と瓦屋根の民家と調和して、美しい江南水郷の風景が広がっています。
婺源は辺鄙で遠い山間部に位置しますが、その独特な水郷文化は美しい自然風景と融合し、まるで真珠のように江南の大地を彩っています。そんな婺源は「中国で最も美しい田舎」と賞賛されています。
番組の中でお送りした曲
1曲目 哈尼族情歌 (ハニ族の恋歌)
この歌はハ二族の民謡を元にアレンジしたもので、若者が好きな人を思う気持ちを唄いました。
歌詞:
白い雲よ
空に漂い
流れていく
太陽は西に沈み
月が昇っている
お月様よ
彼女はどこにいるの?
2曲目 天路(天の道)
チベット族の歌手・ハン・ホンの伸びやかで美しい歌声は故郷への深い思いを歌っています。
歌詞:
早朝 私は青々とした牧場に立ち
コンドルが雲間から差す光を浴びているのを見た
青空に漂うめでたい兆しの瑞雲のように
チベットの人々に幸運をもたらしてくれる
3曲目 映山红(つつじ)
この歌は1970年代の映画「闪闪的红星(赤い星の輝き)」の挿入歌です。江西省の民謡を元にアレンジしたこの歌は1930年代の人々の紅軍を深く愛する気持ちを表しました。
歌詞:
真夜中に夜明けを待ち望み
真冬に春風を待ち望む
紅軍が来るのを待ち望むなら
山一面のツツジが満開になる時