北京
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二十四節気の清明の後、中国北方の大地には生気が溢れ、様々な花が咲き乱れます。鳥たちも南から飛んできて、一年の最も美しい季節がやってきました。このほど、北京大興区の梨の花の祭典が始まり、梨の花の優雅な佇まいと豊かな香りは多くの市民に愛され、数百ヘクタールの梨の園を賑わせています。今回の中国メロディーは梨の花をテーマにして音楽をお送りしましょう。
春が深まる所に梨の花
ある詩人は「一輪の花は一人の魂で、春が深まるところに自分を探し当てる」という詩句を残しています。梨の花は古来より純愛の象徴として人々に愛され、その真っ白い可憐な花は風雨の洗礼を通して、上品さと美しさを放ちます。そんな様子は恋の風雨を経る魂こそがより純潔で、美しくなるということを例えています。
春の梨の花は様々な姿を見せてくれます。今にも開こうとしている蕾はまるで真珠のように枝を鮮やかにし、花弁がほころび始める様子はまるで白いラッパのようで上品で可愛く、また、満開の様子は白いドレスを纏う仙女のようで、自信溢れる美しい笑顔を咲かせます。
梨花一枝春雨を帯ぶ
古来より「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」と、美しい女性を牡丹に例えることがありますが、一方、美しい人の悲しむ姿はどのように例えるでしょうか?
実は中国では「梨花帯雨(春雨を帯びる梨の花)」という言葉を使って美人が泣く様子を描く表現があります。これは唐の名詩人・白居易の「長恨歌」の中で絶世の美女・楊貴妃の容姿を形容した「玉容寂寞として涙闌干、梨花一枝春雨を帯ぶ(玉のような美しい顔は寂しげで、涙がぽろぽろとこぼれる。梨の花が一枝、春の雨に濡れたような風情である)という名句から用いられた言葉です。楊貴妃が玄宗皇帝を思う思慕の情を歌ったこの詩句は、美人がひとり思い悩んで悲しむ様子を描きました。
梨の花の悲恋
「梨花颂(梨の花を讃える)」は現代京劇「大唐贵妃(唐の皇妃)」の主題歌で、歌は唐の玄宗皇帝と楊貴妃の悲しい恋をテーマに描きました。
「梨花颂(梨の花を讃える)」という歌は絶世の美人・楊貴妃を梨の花に例えています。中国語の「梨」と「離れる」の発音は同じで、曲の中の梨の花は楊貴妃と玄宗皇帝が離れ離れになる運命の悲しい結末を暗に表しました。
番組の中でお送りした曲
1曲目 梨花香(梨の花の香)
この歌は愛し合っているのに一緒にいられない恋人の気持ちを 歌いました。
歌詞:
梨の香りはなんとも言えない悲しい気持ちにさせる
断腸の思いは千杯の酒で晴らすことができない
あの人を忘れられず あの故郷を偲ぶ
2曲目 梨花帯雨(春雨を帯びる梨の花)
歌詞:
雨季にあなたを特別に想う
表現は遠回しなのに
秘密で
決してあからさまではない女心は
好きな人に気づかせる
あなたを愛している
ここからもう逃げたくない
来世に必ず再び出会うとも限らないから
3曲目 梨花颂(梨の花を讃える)
歌詞:
梨の花が開いて春雨を帯び
梨の花が落ちて春の大地に溶け込む
この世はただ一人のため
皇帝であっても変わらぬ愛情を持つ
天性の美貌を捨て置くことはできない
長恨歌は永遠の謎である