北京
PM2.577
23/19
こんにちは、日本人スタッフの森です。久しぶりに乗車シリーズをお届けしましょう。ただし今回は鉄道ではなくバスで、中国語で「快速公交」と呼ばれるBRTに体験乗車しました。
「BRT」というと、日本では東日本大震災の復興事業を思い浮かべる人も多いと思いますが、北京では今から10年以上前に複数の路線が開通しています。当時はまだ地下鉄が少なく、一般的に通勤の足がバスであったことから、バス路線を充実化させていく必要がありました。
当時も体験乗車しましたが、バス専用道にかなりの信号が設けられ、渋滞に巻き込まれることもあり、スピードは一般の路線バス並みで期待外れだったこと覚えています。今回乗車したのは、比較的最近開通した、専用レーンの区間が長い路線です。3月18日の日曜日に乗ってきました。
起点は市街地中心部やや西よりの阜成門という所で、ここから一路西へ向かい、郊外まで走るおよそ25kmの路線です。一般のバスと別に設けられた、ホームドアの備わった専用の乗り場から発車します。車両は2両編成タイプです。写真では行き先表示が消えていますが、これはLED式のためであり、実際には路線名と行き先が正しく表示されています。
車内の様子です。基本クロスシートですが、後ろ向きの座席もあります。またシートは北京では"標準タイプ"の革張りで、やや貧相に見えます(ただし夏場はこの方が涼しい)。
発車してしばらくは一般道を走り、案の定信号にも引っかかってしまいましたが、
ほどなく高架区間に入りました。スピードは50km/h程度と決して速くはありませんが、信号がないのでとても快適に走ります。3車線の一番右側に「公交専用車道」と書かれてあり、専用レーンになっています。
ちなみに路線バスは中国語で普通、"公交车"もしくは"公交"と言います。中国語の教材によく載っている"公共汽车"という言葉は、今はほとんど使いません。
高架路線なので街の景色もよく見えます。この写真はやや殺風景に見えますが、製鉄所の跡地を宅地開発しているところです。
高架部分が終了して再び一般道に入りましたが、もう郊外に近いので、引き続き順調に走ります。この辺りは「門頭溝区」と呼ばれ、山が近くに迫っていて、ハイキングや本格的な山登りを楽しむ人が訪れます。
終点は、その門頭溝区の中心部を抜けた所にある車庫でした。所要時間は55分、日曜日の昼間ということもあって、渋滞もなくほぼ順調な道のりでした。
現在、中国各地で都市交通の発展に力が注がれています。北京も少し前までは、古びたバスが満員の通勤客を載せて苦しげに走っていましたが、こうした新システムのバスの運行が始まり、地下鉄路線も続々と開通し、そしてライトレールや低速リニアも登場しています。経済成長をこのような形で味わえるのは地元生活者の楽しみの一つです。年内に市内でまた路面電車が開通するとのことで、今から体験乗車を楽しみにしています。(森 雅継)