北京
PM2.577
23/19
三月中旬、早春の北京の街角でレンギョウの花がひっそりと咲き、木の上の鳥も賑やかに鳴いて、自然の万物は春の生気と活力を示しています。また、北京の北海公園では先月から、百羽余りの渡り鳥を迎えています。この可愛いお客さんたちにはトモエガモなどの珍しい鳥も含まれています。このような春の使者は市民たちにサプライズをもたらすと同時に、ここ二年の北京の大気汚染状況がよくなっている証拠とも見られています。中国メロディーで去年1月に放送した「失った青空を取り戻す」という回では大気汚染に直面する人々の考えと行動を紹介しました。あれから1年が過ぎた今、各界の注目を浴びた大気汚染の状況や、失った青空はいったいどうなったのでしょうか。今回の中国メロディーは、北京の空をテーマにしてお送りします。
失った青空
作家・郁達夫は北京の最も美しい風景について次のような言葉を残しています。「朝起きてから、濃いお茶を立て、庭の中に座り、あの高く青い空を眺め、飼っている鳩が青空を飛びまわり、翼に付けられた鳩笛が立てる美しい音が聞こえる」
しかし、ここ数十年、経済の急速な発展に伴い、北京の街は大きく変貌しました。多くの北京っ子さえも「今の北京の様子はますます見分けがつかないようになる」と驚くほどです。特に数年前から、大気汚染の影響によって北京などの大都会では青空が広がる日が少なくなり、スモッグに覆われた北京は市民たちから「蜃気楼のようなワンダーランド」と皮肉を言われていました。
取り戻しつつある青空
2015年と2016年の冬、暖房の季節になると、暖房から排出される排気の量が多くなり、大気汚染が深刻になりました。スモッグ対策用のマスクや空気清浄器が売り切れになり、学校は休校、航空便も欠航が続出し、健康のために毎日、広場や公園で「広場ダンス」を踊っていたおばさんたちでさえもマスクをして踊らなければなりませんでした。
これらの苦しい経験を踏まえて、大気汚染を処理するため、多くの工場が操業停止命令を受けました。また、車のナンバーによる通行制限や道端の屋台の取締り、春節の爆竹や花火の禁止令など、多くの対応措置が講じられ、市民生活に様々な不便をもたらしました。しかし、子供もお年寄りも青空の下で自由に新鮮な空気を吸い、有害物質による心配が無くなることを考えると、すべての努力と代価は価値のあるものだと思う人は多いでしょう。
日差しが溢れる空を
取り戻しつつある青空の下で立っていると、心の中に感謝の気持ちが溢れてきます。とはいえ、今の大気の質はまだまだ思うようにはいきませんが、国や個人のそれぞれがみんなで自分の力を尽くしていけば、空はますます綺麗になり、空気もより新鮮になって、子供達は日差しが溢れる青空の下で幸せに育つことができると信じています。
番組の中でお送りした曲
1曲目 牧歌(ぼっか)
この歌は中国の有名な女性作曲家・瞿希賢が蒙古族の民謡をベースに作った合唱曲です。その緩やかな美しいメロディーで青空と白い雲の下の美しいモンゴル草原を描き、蒙古族の人々の故郷への溢れる愛情を表現しています。
歌詞:
青々とした空に白い雲が漂い
白い雲の下に雪のような羊の群れが動いている
羊の群れはまるで白銀のようで
この白銀が広がる草原はなんと可愛いことなのだろう
2曲目 白云居住的地方(白い雲が住むところ)
歌詞:
ここは太陽に最も近いところ
広大な雪山が夕日とキスをし
白い雲が悠々と漂う
それは雪原の白い衣裳
白い雲が住むところ
私の夢の中に偲ぶ故郷
3曲目 仰望星空(星空を見上げる)
この歌は若者たちが夢を求める気持ちを描いています。
歌詞:
この日 僕は星空を見上げて
星は遠くない 夢も遠くない 君が爪先を立ててこそと気づいた
僕はある両手が 僕を君の前に連れていくと信じている
僕はある糸が 夢と現実を繋げると信じている
僕はこの日に 運命が変わり始めると信じている