北京
PM2.577
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1時間目 <春節スペシャル>北京の縁日会場から、いたずら爺さん・奥田正彦さんのハンコ彫り:春意旧乾坤
担当:王小燕、斉鵬
春節の連休は明けましたが、春節シーズンの締めくくりである3月2日(旧暦十五夜)の元宵節までは、あと数日残っています。今日の番組は、前半は戌年<春節スペシャル>として、北京の縁日(廟会)会場でのマイクリポートをお届けします。
2月17日(旧正月の二日目)、王小燕・星和明・梅田謙の三人で、石景山遊園地で開かれた「洋廟会」(洋風縁日)と、八大処の「新春祈福縁日」を回ってきました。中国では春節の楽しみとして定番の縁日ですが、大都会の北京ではどのように開かれているのでしょうか。現場からのマイクリポートでお聞きください。
(左)八大処縁日には昔の職人に扮した人の姿も(右)洋風縁日に伝統的なステージも。
雑技「中幡」(重さ10キロ余りの幟を手、肩、背中、額などで支え、投げたり受け止めたりする)には黒山の人だかり
八大処縁日の様子(左)入り口を飾る提灯のトンネル
(右)ヒョウタン(葫芦)は「福禄」と発音が近いため、縁起物とされている
後半は恒例の【イタズラ爺さん・奥田正彦さんのハンコ彫り】 です。今月の印文(いんぶん)は「初晴(しょせい)」と「春意舊乾坤(しゅんい きゅう けんこん)」の二つです。南宋の詩人、真山民(しん さんみん)の詩「新春(しんしゅん)」からの引用です。
2時間目 「富士山」にも負けない県名に~静岡県地域外交監・増井浩二さんに聞く
聞き手:王小燕
「日本の自治体職員在中国 加油」、今月は「富士の国」からのお客さんです。「富士山」や「ちびまる子ちゃん」にも負けない県名にしたく、頑張っている地域外交監にお話を伺います。
【増井さんのインタビューから】
――静岡県は浙江省とは友好省県で、これまで30数年にわたり、友好交流活動を地道に展開されてきたと伺っております。
はい。本県と浙江省とは、1982年4月に友好提携して以来、行政と民間が連携しながら、文化、観光、経済、農業、青少年、教育など幅広い分野で交流を進めてきました。
両県省は、富士山と西湖という世界文化遺産に登録された自然を誇る、風光明媚な土地です。気候や風土、産業、観光の面で共通点が多くあり、共にお茶とミカンの産地であると知られています。実は、宋の時代に、本県出身の聖一国師(しょういちこくし)が浙江省からお茶の種を持ち帰り、静岡の地に伝えたのが、日本の茶のはじまりと言われています。
本県による地道な友好交流の活動は、中国政府からも高く評価されており、地域間交流のモデルとして、2010年の中国国際友好都市大会では中国人民対外友好協会等から「対中友好都市交流提携賞」を受賞しました。
ほかにも、両県省では、5年ごとの友好提携記念事業の実施、静岡県-浙江省フォーラム(2013年~)や静岡県・浙江省友好交流卓球大会(2014年~)の開催など、相互交流を推進してきました。
――静岡県は山を通じて、中国との地方交流も行っていると聞いております。
静岡県にある日本一の山・富士山は中国の皆様もご存知と思います。富士山は、2013年6月22日に世界文化遺産に登録されました。自然そのものに精神性、宗教性、芸術性を見出してきた日本独自の文化感と自然感が世界に認められた結果です。意外に知られていませんが、実は、富士山と中国の泰山とは、友好山同士です。2007年11月に、日本富士山協会と、泰山のある山東省泰安市(さんとう省 たいあん市)との間で、「富士山・泰山友好山提携」が結ばれました。それ以来、「山」を媒体とした友好交流を推進するため、訪問団の相互派遣を行っています。
――静岡県は上海には中国駐在員事務所を構えているようですね。
はい。静岡県は、海外に4つの駐在員事務所を設置しているが、そのうちの1つが上海市にあります。
1994年に設立され、本県職員2人と、現地採用スタッフ2人がおり、県内企業の中国国内展開の支援や、本県PRなど、本県と中国との交流を促進するため、様々な活動を行っています。
これまで人気のあった本県PRイベントとしては、例えば上海のスーパー銭湯で開催した、「お茶風呂」体験があります。本県は茶の大産地で温泉も有名であることから、両者を組み合わせ、大浴場をお茶で満たしました。ほかには、同じく上海で「花の都しずおか 和文化体験イベント」を実施しました。本県特産のガーベラ、バラなどを使い、「冬の富士」をテーマにフラワーアレンジメントのデモンストレーションを実施したが、大盛況であったと聞いています。
――昨年、中国からの訪日観光客が延べ735万人(15.4%増)に伸び、買い物よりも「体験」を求めて訪日する人が増え続けていると言われています。静岡県はこういった変化にどう対応していると準備していますか。
静岡県は、豊富な自然資源、温泉施設、舌鼓を打つ山海の珍味に恵まれています。中国各地からの静岡空港への定期便を利用して、中国の皆様に是非、直接見て、触れて、体験していただきたいために、観光しながら日本文化を体験できる新しい人気施設を整備しました。
ひとつ目は、2017年12月23日にオープンしたばかりの「静岡県富士山世界遺産センター」(富士宮市)で、登山をしなくても富士山の歴史や文化、自然などを楽しんでいただけます。
富士山のふもとに位置する建物自体が大変魅力的で、特産の富士ヒノキを逆円錐形に組み上げ、富士山の湧水を引き込んだ水盤に、建物の象徴である逆さ富士を映し出す。水盤には河北省産の石材が使用されています。中に入ると、螺旋スロープを上りつつ、富士山の美しい映像を見ながら、疑似登山体験がイメージできるようになっています。また最上階のホール及び屋外テラスでは、何にも遮られない富士山の絶好の眺望を確保しています(写真提供:https://mtfuji-whc.jp/)。
もうひとつは、3月24日にオープン予定の「ふじのくに茶の都ミュージアム」で、日本一の大茶園である牧之原台地に位置し、博物館、茶室、庭園、商業館からなります。茶の産業・歴史・文化を紹介する展示のほか、茶摘み・手もみ体験や、試飲コーナーなど、子どもから大人まで、五感で感じながら、楽しく、お茶について学べる施設になる予定です。
――中国との交流において、2018年の展望を聞かせてください。
静岡県は、浙江省との交流を軸として、今後も中国との交流を促進していきたいと考えています。また、「富士山」と同じように、より多くの中国の方に「しずおか」の名を知っていただけるよう、北京でのイベントなどの機会を使い、今後も情報発信に努めていきたいですので、ぜひ皆さま、静岡へお越しください。
【プロフィール】
増井浩二(ますい ひろし)さん
静岡県地域外交監
1957年 静岡県生まれ
東北大学法学部卒業した後、1980年に静岡県庁入庁。
総務部、産業部、企画広報(こうほう)部、企業局を経て、2016年4月から静岡県地域外交監に就任して、現在に至っています。