北京
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2月16日の中国のお正月「春節」は、中華圏で最も重要な祝祭日です。春節が近づくと、「回家過年嗎?(帰省して正月を迎えますか?)」と挨拶することがよくあります。中国人にとっては、故郷を離れて結婚して子供がいても、親が健在であれば、生まれ育った実家こそが本当の家で、お正月を迎える終着点になります。今回の中国メロディーは帰省をテーマに、音楽の中にある中国人の故郷、親への思いを感じてもらいましょう。
家
有名な女性作家・三毛は「家はすべての人の喜びの源で、どんなに苦しくても温かい家である。ここには久しぶりの再会の温かい抱擁、晩餐後ののんびりとした散歩、出勤前の言葉、帰宅した時の優しい言葉がある」と言っています。きっと多くの人にとっては家があることで、すべての努力の原動力となり、家があることで、暮らしに意義があるようになり、家があることで、幸せの意味を味わうようになります。
実家を目指す理由
中国人にとっては春節の時に一番大事なことは大みそかの夜、親族が一堂に集まって食事をしながら新年を迎えることです。そんな大みそかの夜の年越しのごちそう「年夜飯」に間に合わせるため、中国の交通機関は毎年旧正月の2週間前から大移動の「春運」が始まります。特別な輸送体制で臨み、春運期間に延べ30億人の凄まじい大移動が繰り広げられます。
なぜ、これほど多くの中国人は苦労に苦労を重ねて、実家を目指すのでしょう?それはきっと、この一年中故郷を離れて経験した苦労や流した涙、仕事が順調にいかないことなどのすべてを一家団欒の年越しのごちそう「年夜飯」の中に溶かすことができるからではないでしょうか。
帰省は両親への贈り物
中国の有名な思想家・孔子の『論語』には「父母在せば、遠く遊ばず。遊ぶこと必ず方ありと( 両親が存命の時は、遠くに旅行しない。心配をかけぬよう、旅行するなら行き先を必ず告げるものだ)」と書かれています。
2000年前の孔子の頃と現代を比べてみると、状況は大きく変わってきています。多くの人は生計を立てるため、あるいは夢をかなえるため、故郷を離れ、祖国を離れ、天下を放浪します。自分の努力を通して親により幸せな暮らしを送ってほしいと考えます。一方で、親たちはいつも「私たちは今の暮らしに十分満足しているから、心配しないでね」と言ってくれます。親も子供もみんな思いやりを持って心からの愛を育んでいます。
しかし、実際、旧正月の時には故郷の両親は口に出さないものの、心の中では子供たちが早く実家に帰ってきて、一家団欒することを待ち焦がれています。旧正月の時にいち早く帰省することこそが両親への一番いいプレゼントになるのではないでしょうか。
番組の中でお送りした曲
1曲目 回家(家に帰る)
この歌は出稼ぎの人たちが故郷を偲ぶ気持を歌っています。
歌詞:
何時家に帰ってくるの?
僕は答えることができない
僕の声がかすれているからだ
異郷の地で何度も日の入りを見たことがあるけど
故郷を離れる時の夕陽を再び見ることはない
冷たいビールで苦痛を麻痺させようとした
母のあのお茶が飲みたい
家に帰るよ 家に帰る
家に帰ることは僕がいつまでも気にかけていることだ
2曲目 帰郷(帰省)
この曲は旧正月に、厳寒の中、重い荷物を担いで故郷に帰る人たちが道を歩み、一家団欒の喜びを待ち望んでいる様子を描いています。
3曲目 一時間(一時)
歌詞:
一時 私は忙しくて昼も夜もわからない
よく頑張れば 家族にいい明日を作れると思っていた
私こそが彼らにとって大事であることを見落としていた
何時の間にか40歳になっていた
私は何時までもあなたの傍に付き添っていたい
慎重に深く愛を届けたい