北京
PM2.577
23/19
こんにちは、日本人スタッフの森です。春節の大型連休中は、北京でのんびり過ごしました。
さてこの期間は、地方出身者はほとんど里帰りし、地元生活者は先のレポートの通りに廟会などを見て回ります。市内の交通機関は閑散としており、バスなども渋滞に見舞われることなくスイスイと走ります。
そして、「春運」と呼ばれる故郷への大移動も、連休の半ばは帰省からUターンの境目となり、一旦落ち着きます。そのタイミングである旧正月3日目の18日に、河北省北部の承徳という所まで、乗り鉄も兼ねて日帰り旅行してきました。
重厚長大なディーゼル機関車が古めかしい客車をけん引する昔ながらの鈍行列車。朝8時過ぎに北京市の外れの小さな駅を出発しました。
ところで「河北省」の場所ですが、行政区画上は北京、天津という2つの直轄市を取り囲む形になっています。スケールはかなり違いますが、日本で言えば東京都と神奈川県を除いた関東地方全域、といったところでしょうか。そして今回行った承徳は、その北東部の山あいにあり、避暑地でもあります。
列車の車内です。北京地区では最も古いタイプの客車で、日本ではほぼ絶滅した旧型客車に相当します。写真の座席はクッションがほとんどなく、車内は非冷房でドアは手動、ついでにトイレは垂れ流しです。でもオールドファンにはそれが魅力だったりします。
約240kmを7時間近くかけて、午後3時前にようやく承徳駅に着きました。
駅から15分ほど歩くと、大きな川があります。そこにはこのように、鉄道廃線跡を利用した遊歩道がかかっています。こちらは北京よりも気温が低いので、川面はご覧の通りにほぼ全面結氷しています。
その凍った川面を利用して、天然のスケートリンクが営業していました。この時期、北京市内にある同様の施設は、気温上昇のためすでに営業を終了していますが、こちらは氷の厚みも充分でまだまだ楽しむことができます。ただこの日は比較的暖かく、お出かけ日和でした。
そして、こちらが最大の観光スポットである避暑山荘(マウンテンリゾート)です。古色蒼然とした建物が並び、中は広大な散策場所がひろがります。ただし入場料も高めです(特に市外からの観光客は別扱いで高い入場料となる)。
日はとっぷりと暮れ、春節のライトアップのためかきれいな夜景が広がりました。
帰りは急行列車に乗りました。写真にある2階建ての座席車のほか、2段式、3段式の寝台車も連結しています。4時間20分ほどで北京に到着しました。
のんびりと列車に揺られて、実質的に乗り鉄旅行となってしまいました。ただし現在、中国全土に急速に拡大している高速鉄道がこの区間も建設中であり、承徳までわずか1時間ほどで着くといった時代がすぐそこまで来ています。移動は大変便利になりますが、老朽化した鈍行列車での旅も風前の灯となりそうです。昔ながらの「汽車旅」を楽しみたい方は早めの乗車をお勧めします。(森 雅継)