北京
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中国の尺八愛好団体「尺八貴風会中国貴園支部」が主催する新年音楽会が27日、北京市内の書店で開かれました。ソーシャルメディアを通して募集した約50人の観客を相手に、全国各地から集った会員7人が、古典本曲や現代曲、日本民謡などを次々に披露したほか、来場者の質問に答える交流会も行われました。この音楽会は「尺八の中国における復活を願って」企画されたもので、参加費は無料でした。
書店併設のイベント会場での尺八新年音楽会
来場者の様子
同団体は日本の「琴古流尺八貴風会」の中国支部として、2015年5月に創設。現在は北京、上海、大連の三か所に道場を設けており、中心となるメンバーは40人います。支部名に使われている「貴園」とは、10年以上前から中国で講習会を開き、尺八の現代中国での復活のために功績を残した、琴古流師範の神崎憲氏(故人)の竹号(ちくごう)です。
「尺八貴風会中国貴園支部」の責任者で、琴古流師範取得者である駱金晶さん(33歳、竹號:貴篪)は地元蘇州市の在住。本職は銀行員で、13年前に尺八の音色に魅せられ稽古を始めたという駱さんは、「尺八の修行を始めてから、心が穏やかになったことを実感している」と振り返り、中国の古代文化であり、人間形成にも役立つ尺八の魅力を一人でも多くの人に知ってもらいたく、仲間たちと共に新年音楽会を企画したと笑顔で話してくれました。
来場者の質問に答える尺八貴風会中国貴園支部責任者の駱金晶さん(右端)
尺八の譜面を見せる中国貴園支部・北京道場責任者の張世哲さん
尺八は古代中国で誕生した伝統楽器で、唐代に日本に伝わりましたが、南宋(1127-1279)以降、中国ではその姿が途絶えていました。近年、琴古流の神崎憲師範(1949-2015)、三橋貴風大師範らの献身的な努力により、中国大陸では都市部を中心に尺八を習う人が増えており、その数はすでに1000人を超えているとみられています。(取材:王小燕)