北京
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オバマ前大統領と中国人作家・劉慈欣
中国政府の主催により、「技術革新による教育の推進」をテーマにしたGES(Global Education Summit)2017未来教育大会が11月末に北京で行われました。この大会には、米国のオバマ前大統領も駆けつけ、中国の小説家・劉慈欣(りゅう・じきん)との初対面を実現しました。
劉慈欣の代表作『三体』を読んだことがあるオバマ前大統領は今年1月、『ニューヨーク・タイムズ』紙のインタビューを受けた際、同作について「非常に面白い。私は毎日の些細な仕事で頭を抱えてしまうときもあるが、それは宇宙人との闘い(『三体』の主題)とは比べ物にならない」とこの小説への愛着を語りました。オバマ前大統領のこの発言により、米国ではこの小説への関心が一気に高まりました。これも、今回2人の中国での初対面が実現するきっかけとなりました。
小説『三体』
劉慈欣は1963年生まれ、山西省の出身で、本業はエンジニアです。中学生のころから創作を始め、これまでに長編小説を7作、作品集を9作、中篇小説を16作、短編小説を18作書いており、1999年から2006年までの期間に、中国のSF小説賞「銀河賞」に連続入選しています。
『三体』は、劉慈欣の長編SF小説で、2006年5月から12月まで、中国のSF雑誌『科幻世界』で連載され、2007年に重慶出版社によって単行本が出版されました。その後、「地球往事三部作」シリーズとして2作目の『三体II:黒暗森林』が2008年5月に、3作目の『三体III:死神永生』が2010年11月にそれぞれ出版されました。タイトルの「三体」はニュートン力学にある古典的な三体問題を取り入れたもので、ストーリーは異星人——三体星人と地球人の戦いを中心に展開されます。中国で計50万部以上を売り上げたこの作品は、2014年11月に英訳版が出版され、海外でも数多くのSF賞にノミネートされるなど高い評価を得ています。
また、同作品を原案とする舞台劇がいよいよ今年末に上演されるほか、張番番(チャン・ファンファン)監督と馮紹峰(ウィリアム・フォン)主演による映画化も予定されています。
今回のGES2017未来教育大会における2人の初対面では、オバマ前大統領は改めて『三体』を絶賛したほか、「次の新作はいつ?」と劉慈欣に尋ねる一幕もありました。一方で劉慈欣はプレゼントとして2008年に発表され、今年英訳が出版された作品『流浪地球(The Wandering Earth)』をオバマ前大統領に贈呈しました。この作品の映画化もすでに決定し、今年5月26日に由郭帆(グオ・ファン)監督により青島でクランクインしました。制作には、世界的なクリエイターチームも加わり、2019年の公開を予定しています。(ミン・イヒョウ、謙)