北京
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段奕宏(ドアン・イーホン)は1973年5月生まれ、新疆ウイグル自治区出身の俳優。高校時代から学校の文化イベントに出演するなど、俳優としての才能の片鱗を見せていました。彼の演技が上海戯劇学院監督学科の教授の目に留まり、演芸学校の演技学科への進学を勧められたそうです。最終的に、イーホンは中国俳優の登竜門とも言われる名門の中央戯劇学院に合格し、1998年に優秀な成績で同校を卒業しました。
段奕宏は卒業後、すぐに国家話劇院に入り、舞台俳優の活動をメインにしながらドラマに出演するようになりました。1999年に人気ドラマ『刑警本色』で殺し屋役を好演。映画デビューは王小帥(ワン・シャオシュアイ)監督の2002年の作品『二弟』。この作品は第56回カンヌ国際映画祭ある視点部門に出品されたほか、イーホンはこの作品で第34回ニューデリー国際映画祭の最優秀主演男優賞に輝きました。
俳優として初めて頭角を現したのは2006年のテレビドラマ『士兵突撃』。同作品は、人気俳優、王寶強(ワン・バオチャン)演じる一介の兵士・許三多が主人公で、許が軍隊の仕官と戦友たちとともに成長していくヒューマンドラマ。若者兵士の軍隊生活をリアルに活写した作品として当時中国全土で大ブレイクしました。イーホンはこのドラマの中で、堅く信念を持ち続ける上官の袁朗を演じ、印象的な演技を見せて全国的に注目を集めたほか、同年の数々俳優賞も獲得しました。イーホンは近年、映画を中心に活動しています。映画の代表作には、2011年の『白鹿原』と『西風烈』、2012年の『我願意 I Do』、2015年の『烈日灼心』などがあり、この『烈日灼心』で上海国際映画祭の主演男優賞を受賞しました。
2017年は段奕宏の主演作品が4本も公開されるなど、スクリーンで大活躍した一年になりました。そのうち、この11月に公開された『暴雪将至 (The Storm Looming)』は中国公開に先立ち『迫り来る嵐』のタイトルで東京国際映画祭に出品されました。本作は大きな経済発展に向けて中国社会が激変した1990年代を舞台に、小さな町の国営工場に勤めながらも刑事に憧れる保安部の警備員が女性の連続殺人事件に巻き込まれていく様子を描いたヒューマンサスペンスです。作品自体が同映画祭の最優秀芸術貢献賞を受賞したほか、主人公の警備員を演じたイーホンは最優秀男優賞に輝きました。中国の俳優が同賞を受賞したのは彼で6人目です。