北京
PM2.577
23/19
1時間目 『砂漠経済学―クブチの実践』と中国の砂漠化対策、独身者向けの新しいビジネス
担当:王小燕、斉鵬
今年も年の瀬です。CRI日本語放送でも年末年始の特別番組の準備が始まりました。なにかとせわしく感じます。皆さんのところもお変わりありませんか。
今週の番組は「旬な話題」2本立てでお送りします。まずは中国でこれまで30年にわたって試行錯誤を繰り返してきた、「砂漠経済学」の取り組みです。
(左)『砂漠経済学―クブチの実践』(王文彪著)の表紙 (右)億利資源集団が開発した植樹法による沙柳の植樹現場
この秋、内蒙古のオルドスで開かれた国連砂漠化対処条約(UNCCD)の第13回締約国会議で、『砂漠経済学―クブチの実践』と題した本が中英二か国語でお披露目になりました。中国では砂漠経済学について初めて論じた著書です。著者は中国の民間企業億利資源集団の王文彪董事長です。
クブチは中国7番目に大きい砂漠で、日本の砂漠化対策の専門家・遠山正瑛先生が十数年にわたって、ボランティアの皆さんを率いて、緑化活動に取り組んでいた場所もここクブチでした。
広さ1.86万平方キロメートル。オルドス高原の北部を黄色い龍のように横たわっています。北京から最も近い砂漠で、北京や華北平野の砂嵐の主要な源の一つとされています。
しかし、これまで数十年の努力により、今クブチ砂漠の3分の2のエリアが緑に染まっています。『砂漠経済学―クブチの実践』は、王文彪さんを始めとした億利資源集団が約30年にわたって、砂漠緑化に取り組んできたプロセスやそこから得た経験を総括しています。
砂漠を地域経済発展のチャンスとしてとらえ、地道な対策をとり続けることにより、ネガティブとされている砂漠は緑で、ポジティブな資産に変えることができるという信念から書かれた著作でもあります。
後半は中国で増え続けている独身者と彼らをターゲットにした新たなビジネスを取り上げます。
政府の統計では、2015年末までに、独身の人は2億人。また、独身なのかどうかは別として、中国で「一人暮らし」をしている人、その数は、国際的な調査会社・ユーロモニターの発表によりますと、2012年以降、16%増加して7700万人規模に。さらに2021年までには9200万人にまで増える見込みです。独身の人が増えているなか、お一人様をターゲットにした商品やサービスがどんどん開発されています。独身者のニーズは、多くの業界に大きなビジネスチャンスをもたらしています。
2時間目 インバウンド市場の新しい動向を見据えて~中村好明さんに聞く
聞き手:王小燕
2016年、中国からの訪日観光客が637万人に上り、今年はそれ以上の人数になると見込まれています。日本のインバウンド観光の最新状況をめぐり、訪日観光客を迎え入れる第一線で活躍されているJIS(ジャパン インバウンド ソリューションズ)代表取締役社長の中村好明さんにお話を伺います。中村さんはこのコーナーでは今年の初めに続いて2回目の出演となります。
この12月、日経BP社から新刊『儲かるインバウンドビジネス10の鉄則 未来を読む「世界の国・地域分析」と「47都道府県別の稼ぎ方」』を出したばかりの中村さん。今回のインタビューではこれまでの約一年の訪日観光客に見られる四つのトレンドを踏まえ、2018年以降の動向を展望します。
今回のインタビューでは、中村さんはとりわけ、観光開発における双方向の往来こそ持続可能な発展につながり、これまで日本国内で展開してきた地域連携プレーを域内のその他の国へと広げてとらえることの必要性を指摘しました。そして、変化を畏れずに、大胆に挑んで、新しい状況に対応して、物事を切り開いていく心構えこそ大事なのだと訴えました。
【プロフィール】
中村 好明(なかむら・よしあき)氏
1963 年、佐賀県生まれ。上智大学出身。
2000年㈱ドン・キホーテ入社。広報・IR・マーケティング・新規事業の責任者を経て、08年7月、社長室ゼネラルマネージャー兼インバウンドプロジェクトの責任者に就任。13年7月、㈱ジャパン インバウンド ソリューションズを設立、その代表に就任。
日本インバウンド教育協会理事。ハリウッド大学院大学および神戸山手大学客員教授。日本ホスピタリティ推進協会理事・グローバル戦略委員長。全国免税店協会副会長。みんなの外国語検定協会理事。観光政策研究会会長。一般社団法人国際観光文化推進機構理事。
【主な著述】
•『まちづくり×インバウンド 成功する「7つの力」』(朝日出版社)
•『観光立国革命~インバウンド3.0の衝撃!持続可能なニッポン創生のための処方箋~』(カナリアコミュニケーションズ)
•『[リアルな会話CD付き]接客現場の英会話 もうかるイングリッシュ』(朝日出版社)
•『インバウンド戦略 ―人口急減には観光立国で立ち向かえ! ―.』(時事通信社)
•『ドン・キホーテ流 観光立国への挑戦―激安の殿堂が切り拓くアジア観光交流圏という大市場.』(メディア総合研究所)
•『儲かるインバウンドビジネス10の鉄則 未来を読む「世界の国・地域分析」と「47都道府県別の稼ぎ方」』(日経BP社)2017年12月5日番組紹介