北京
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中日国交正常化45周年の今年、これを記念するために10月2日、3日の2日間にわたって東京の新宿文化センターで中国国家歌劇舞劇院のオリジナル舞劇「孔子」の公演が行われます。中国の有名な思想家・孔子をテーマにしたこの作品は、中日文化交流の舞台を彩ることが期待されます。今回の中国メロディーは、古代中国の秋を讃える詩と音楽作品をお届けしましょう。
孔子『猗蘭操』
秋風が北方の大地を吹き渡り、様々な花が枯れ始める頃、秋の蘭の花が次第に咲きはじめます。蘭の花は古来、上品で格の高い花として中国の文人たちに愛されてきました。春秋時代の有名な思想家で教育家の孔子は、蘭の花を称える琴の曲「猗蘭操」を作りました。この曲は孔子が自身の体験から作ったものです。
諸侯を歴訪して、自分を国政に用いるように求めた孔子でしたが、任用されることはなく自分の祖国・魯に帰ることにしました。人里離れた谷を通り過ぎると、芳しい蘭がひとりぼっちで咲いているのを見つけました。それを見て、孔子は時節に合わない自分の様子と重なり、「猗蘭操」を作りました。唐の名詩人・韓愈はこの曲をモチーフにした詩の中の名句「蘭之猗猗,揚揚其香(色つやのよい蘭が美しくよく茂っている。誇らしげに威勢の良いその香りが漂っている)」はそんな孔子を蘭の花にたとえ、「不采而佩,于兰何伤(だからと言ってその花を身に着けるために取ることはない。かといって蘭の方が傷み悲しむことはないだろう」という内容は、孔子が逆境に置かれても、寛大な気持ちを持っている様子を表しました。
柳永『雨霖鈴』
秋は詩の情緒に溢れる季節で、秋風に舞う落ち葉も、凛とした秋の花も、枝に蓄えた秋の果実も趣があります。特に赤や黄色に染まった木々も葉を落とし始め、南へ飛んでいく渡り鳥の鳴き声が聞こえる頃になると、秋の持つ独特な寂しさが湧いてきます。宋の詩人・柳永の名作「雨霖鈴」からも、秋の物寂しさをしみじみと感じることができます。
王維『山居秋暝』
雨上がりの後、秋は最も美しくなります。唐の詩人・王維の名作「山居秋暝(山住まいの秋の夕暮れ)」の中に「明月松间照 清泉石上流(明るい月が松の木の間から光を輝かせ、澄んだ泉は岩の上に音を立てて流れる」という名句は、伝統文化の情緒溢れる詩句で水墨画のような風景を描いています。
番組の中にお送りした曲
1曲目 猗蘭操
この曲は韓愈の「猗蘭操」をモチーフにした同じタイトルの歌です。この歌は2010年に上映された映画「孔子」のテーマソングで、フェイウォンが歌っています。
2曲目 雨霖鈴
この曲は柳永の詩「雨霖鈴」をモチーフにした同じタイトルの曲です。
歌詞:
秋の蝉 ヒグラシの声はもの悲しい
日暮れの宿で 止んだばかりの雨と向かい合う
城門に近い所で 酒を飲むが気分はのらず
名残を惜しんでいるところに 船出の合図があった
手を取って見つめ合うと 涙は溢れ
なにも言えずに むせび泣く
思えばこれから もやに包まれた千里の波の上を行く
広い空に 夕方のもやは重く立ち込めている
昔から感性豊かな者は 別れに胸を痛めてきた
まして今は 寂しい秋の季節 どうして堪えることができるだろうか
今宵酒から醒めるのは どんなところか
柳の岸辺 夜明けの風 沈みゆく月
時は流れて 歳月が過ぎれば
よい季節 よい眺めも 虚しいものになるだろう
無数の風情が わたしの前に現れようと
いったいそれを 誰と語り合えばいいのか
3曲目 山居秋暝(山住まいの秋の夕暮れ)
この曲は王維の「山居秋暝(山住まいの秋の夕暮れ)」をモチーフにした歌です。歌詞
人気の無い山に 新たに雨が降った後
空の気配は夕刻になって ひんやりと秋らしくなった
明るい月が松の木の間から光を輝かせ
澄んだ泉は 岩の上に音を立てて流れる
竹薮のほうでは洗濯する女たちが賑やかに帰り
蓮の葉が動いているのは 釣り舟が下っているからだ
春の風情が終わっていくのは構わない
私はしばらく この夕べの光景の中に留まっていたいと思う